先割れスプーンと、「今日の5の2」が描くノスタルジー
アニメの「今日の5の2」が、とてもおもしろいです。
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- 発売日: 2009/01/21
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小学生の日常生活をギャグタッチで描いた作品で、大人の視点から見た「エロ」のバイアスがかかってはいるものの、登場する男の子や女の子がみんな可愛らしく描かれていて、基本的にはノンビリと見れる良い作品です。
ところで、見ていてちょっと気になったのが、主人公達が学校給食を食べる時に、スプーンの先がM字状になった、いわゆる「先割れスプーン」を使っていること。
10代後半〜30代半ばくらいまでの、「今日の5の2」のような深夜アニメのファン層にとって、あの形の食器って馴染みが薄いものだと思うんですよ。
今、Wikipedea で調べてみたらアニメで出てきた形状のスプーンは最近だとあまり見かけないようです。今では「先割れスプーン」というと「spork」というスプーンとフォークの中間のような形状が一般的だとか。
僕の場合だと、小学校から中学校までが給食だったんですけど、あの形 のスプーンっていうのは使ったことがなかったですね。学校にもよると思いますが、多分、もっと上の世代の人たちにとってはポピュラーな形状なんじゃないでしょうか?
感覚的になんですけど、先が尖ってるスプーンが使われてたのって多分、昭和の時代までなんじゃないかなぁ。
そこで、ふと思ったんですけど、「今日の5の2」の時代設定って、いつ頃なんでしょうね?
先割れスプーンが給食で使われているということは、実は結構昔?
でも、劇中で主人公達が着ている服は今時の子ども服のようですし、水鉄砲のエピソードで出てきたのは、空気を溜めて勢いよく水を打ち出す現代的なヤツです。それに、街や学校の描かれ方は、そんなに時代を感じさせるようなものでありませんし……。
恐らくですが、子ども時代のノスタルジーを描くための一種の記号として、先割れスプーンは登場したのではないでしょうか?
先割れスプーンを使用した経験はなくても、あの独特の給食食器の形状から、「小学校」を連想する人は結構多いはずです。
僕は、恥ずかしながら原作を未見(アニメ版が、とてもおもしろいので、時間があればぜひ読んでみたいのですが)で、先に製作されたOVA版も見ていないのですが、決定的に時代を特定させるアイテムや描写っていうのは、現行のアニメ版を見ている限り「今日の5の2」には登場していないように思います。
子どもたちの遊びといえば、スーパーボールや水鉄砲やサッカーであり、ファミコンや携帯電話って劇中には登場しないんですよね。
見当はずれなのかもしれませんが、「今日の5の2」で描かれる小学校時代というのは、割と幅広い年代にノスタルジーを起こさせるように描かれているように思います。
「先割れスプーン」のように時代錯誤な給食食器が登場するのも、上の年齢層にアピールをするのと同時に、現代的な描写の中に、意図的にそういった古い年代のものを紛れ込ませることにより、時代性の特定を防ごうとしているのかもしれません*1。
「今日の5の2」は、(非常に極端な例ですが)「三丁目の夕日」や「じゃりん子チエ」といった作品のように、ある年代にとって懐かしさの象徴であるアイテムを劇中に数多く登場させるといったやり方ではなく、「小学校時代」という不特定の人々にとっての共通体験を描くことで、観る側にノスタルジーを喚起させるような作り方がされいるように感じます。
ファミコンや携帯ゲーム機といった特定の年代にとっての共通項ではなく、専ら「エロ」で視聴者に共通体験を思い起こさせるというやり方も、世代の枠を超える効果があるのかな、と。
ただ単に萌え、エロ系のアニメと思わせておいて、その実すごく戦略を考えて作っているのかな? と思いますね。
う〜ん…ところで、作者の桜場コハル先生って一体おいくつなんでしょうか? 気になる、凄く……。
- 作者: 桜場コハル
- 出版社/メーカー: 講談社
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