「第七女子会彷徨」っていう漫画の擬音表現がスゴ過ぎる!

 
「月刊comicリュウ」で連載されている、つばな先生の「第七女子会彷徨」がおもしろいです!
 
主人公である、「金やん」と「高木さん」という二人の女の子が、不思議な出来事に巻き込まれながら送る日常生活を描いた漫画なんですが、高木さんの傍若無人っぷり(と金やんの巻き込まれっぷり)や、劇中での学生生活における怠惰な脱力感と物語に登場するSFチックなアイテムやシチュエーションとのギャップ、ストーリー展開やオチの巧みさが本当に素晴らしくて、毎回読むたびにニヤニヤしちゃいます。
 

<金やんと高木さん>
 
更に、この漫画は劇中の擬声語オノマトペ)の表現とボキャブラリーが、もの凄いセンスで、読んでいて思わず惹かれちゃうんですよ。
 
例えば、リュウの2008年12月号に掲載された「食べたつもりガムdayeat」というエピソードでは、「噛んだだけで、満腹になったつもりになる」という不思議なガムが登場し、高木さんが、このガムを使ってダイエットを行うんですが、ガムを噛んでも食べたつもりになっているだけで、実際に食べ物をお腹にいれているわけではないので、どんどんやつれていくんですよ。
 
で、例えば、この文章を読んでくれている貴方が漫画家だったとして、「やつれた」とか「痩せた」状態を、一体どんな音で表現しますか?
 
普通は「ゲッソリ」ですよね。
 
でも、つばな先生は違うんです。我々、読者の遥か斜めを行く、斬新な「音」を漫画に用います。
 
 
 

 

 
 
「らむーる」
 
 
「らむーる」! 何なんでしょう、この全然意味は分からないんだけど、確かに「痩せた」「やつれた」感じが伝わってくる不思議な響きは!
 
もちろん、「ばたばた」とか「ぽてっ」とか「ガガーン」とかいかにも漫画っぽい表現の擬音もあるにはあるんですけど、時たま「え、何それ?」みたいな斬新な表現が顔を覗かせるんですよ。
で、そういった音の一つ一つが、もの凄く説得力があるといいますか、確かにキャラクターの感情や、シチュエーションの雰囲気が伝わってくるんです。もう、その辺のセンスが抜群!
 
同じく「食べたつもりガムdayeat」の回で登場した、印象的な擬音。
 
<頭が混乱した時>

 
「こんがら」
 
 
<空腹時のお腹の音>

 
「ぐりぐりぐるるる」
 
この言語感覚! テレビの世界だと、宮川大輔さんが、やはり「おもしろい音」を飛び道具的にトークに使用することで、人気を博していますが、つばな先生の言語センスも負けず劣らず凄いよ!
 
これ以前の掲載号でも、上記のようなおもしろい擬音がところどころに効果的に使われていて、そのトリッキーな響きが、物語における日常生活に根付いた少しだけ不思議なSF感覚と非常にマッチしていて、グイグイ引きこまれるんですよ。
 
そういうおもしろさが、最もよく現れているのが、2009年の1月号掲載の「時空探査機Deep diver」というエピソードで、「リュウ」らしい硬派なSF要素を特異な言語感覚が盛り上げます。
 
<時空を超えて、「何か」がコチラの世界に来る時の音>
 


 
「ズマー」「ズピピピピ」「ふきゅ〜」
 
 
<アンドロイドが壊れた時の効果音>

 
「ピュロロピギィィロロージジジキ」
 
 
<光線銃で街を壊した時の音>

 
「ピドォン」 …音もそうだけど、SFと牛丼屋が同じ世界に描かれてるのもすごいなぁ。
 
 
……つばな先生、凄い…。個人的には、「ジョジョの奇妙な冒険」のメメタァ(カエルを殴った時の音)以来の衝撃でした。
  
第七女子会彷徨」は、毎回8P〜16Pくらいの短編な上に、不定期連載(こんなにおもしろいのに…)なので、なかなか単行本が出そうにないんですが、第二話だけ自分は見逃してしまっている&この魅力的なストーリーと擬音を何度も楽しみたいので、早く単行本化されないかなぁ……。