アニメ版「にゃんこい!」における、ふり幅の大きなBGM楽曲のおもしろさ

 
テレビアニメにゃんこい!」の第一話を見ました!
 

 
劇中でのコメディー要素は楽しいし、主人公のキャラクターは好感を持てるし、声優さんのキャストも良くて、そしてネコや女の娘が可愛い! というわけで、とても好きな作品でした。
中でも、個人的におもしろかったのが劇中のBGMの豊富さでした。今回のエントリでは、その辺についてちょっと感想文を書いてみたいと思います。
 
 

■「にゃんこい!」におけるBGMの豊かさ

にゃんこい!」を見ていて、特に興味を惹かれたのが劇中のBGMの豊富さです。
 
アニメの中では、スティールパン大正琴アコーディオン、ピアノ、フルート、エレキギタークラシックギター、口笛などなど。さまざまな楽器を使った「音」がBGMに使用され、カラフルなメロディーを奏でています。
それらの音の大部分は、恐らくはシンセサイザーの打ち込みによるものだと思うのですが*1、様々な楽器の音を使用できるシンセサイザー作曲の強みとしてにゃんこい!」のBGMのふり幅はかなり広くなっています。
 
例えば、猫を可愛がる主人公の家族の姿を描いた前半の日常パートではスティールパンの音色を用いた楽しげな曲を使ったり、
 

前半の日常パート。スティールパンのような明るい音が印象的に使われています。
 
物語の後半では主人公の精神的な落ち込みの度合いと孤独感を演出するために口笛っぽい音のメロディーラインによるマカロニウエスタン調(?)の曲を使用したり、
 

一転して、終盤のこの場面では音色も曲調も全く違う悲壮感溢れる曲が使われています。
 
はたまた深作欣二仁侠映画仁義なき戦い」っぽいイントロが顔を覗かせたり…と、その音楽のジャンルやイメージはバラバラながらも、トータルとして実に奔放かつ楽しいBGMに仕上がっています。
 
アニメのBGMを作る際に、例えば「カウボーイビバップ」ならばジャズ、「エウレカセヴン」ならばテクノ…という具合にアニメ作品のイメージや世界観によって曲調に統一性を持たせるという手法もあると思うのですが、「にゃんこい!」では敢えて音や曲調をバラバラにし、ふり幅を設けることによって、劇中の賑やかで明るいイメージを演出しているのではないかと思うのです。
 
 

■「にゃんこい!」BGMの作曲者、大川茂伸さんの手腕

様々な音とメロディーを駆使してアニメ本編を盛り上げ、またキャラクターの魅力や感情表現を彩ってくれる「にゃんこい!」のBGM。
それらの作曲を担当されているのが、大川茂伸さんと三輪学さんのお二方です。
お二方の作業量の比率がどのようになっているか…そもそも、曲も合作なのか分けて作っているのかすら現時点では分からないのですが、何気にアニメ音楽のクレジットが連名になっている作品って珍しい気がします。
 
大川さんといえば、アニメファンの間では「魔法先生ネギま!」のOP主題歌「ハッピー☆マテリアル」の作曲者として有名ですよね。
 
魔法先生ネギま! 最終ヴァージョン ハッピー☆マテリアル/輝く君へ〜Peace

魔法先生ネギま! 最終ヴァージョン ハッピー☆マテリアル/輝く君へ〜Peace

 
ハッピー☆マテリアル」はアッパーな打ち込み音が特徴の楽曲でしたが、大川さんが手掛けた他のアニメ主題歌を聴いてみると、「コヨーテ ラグタイムショー」のオープニング「COYOTE」では管楽器が、「我が家のお稲荷さま。」のオープニングだったヒトミソラの「KI・ZU・NA 〜遥かなる者へ」ではストリングスっぽいアレンジが非常に印象的に耳に残り、その音楽表現の手法は実に様々。そこからは、大川さんが持っている豊富な音楽的語彙と、各音楽ジャンルへの知識と素養が伝わってきます。
 

大川茂伸
 
幼少の頃よりピアノを習い、その後独学で音楽理論を学び、現代音楽、クラシック、ジャズ、ロック 等、習得したジャンルは多岐に渡る。常に、POPなメロディを書くことを大切にし、打ち込みだけでなく、ストリングスアレンジやピアノアレンジにも定評があり、他ジャンルに精通したマルチな楽曲センスを持つ。
 
 
                  Wikipedia - 大川茂伸の項より

 
にゃんこい!」における様々な音の使い方、メロディーの豊潤さにも、こうした大川茂伸さんの幅広い音楽ジャンルと音への探究心が大きく貢献をしているのではないかと思います。
 
また、もう一人の作曲者である三輪学さんは、Manack名義で「リトルバスターズ」などのPCゲームの作曲を中心にご活躍をされている美少女ゲームファンの間では有名な作曲家さんらしく*2、一人ではなく二人で作曲を行っているのも、「にゃんこい!」という作品における音楽のふり幅の広さや自由度の高さに繋がっているように感じます。
 
 

■まとめ

他にも、「にゃんこい!」は劇中だけではなく、オープニング後、次回予告後の提供クレジットのバックでも曲や歌を流すなど、音楽的な遊び心に満ちた作品という印象を受けました。
普通は、提供クレジットの時に流れる音楽って、アニメのOPやED曲、あるいは劇中BGMの一部を流すというのがスタンダードだと思うのですが、「にゃんこい!」ではOPでもEDでもない「ネコふんじゃった」のアレンジ曲が使用されているのです。
 

オープニング後の提供クレジットでは「ネコふんじゃった」のアレンジ曲が、次回予告後には小林ゆうさんのイラストをバックに、またもや音楽が使用されています。
 
恐らくは、今後ああいった楽曲もCD展開がされていくと思うのですが、そちらも今から非常に楽しみです。
 
にゃんこい!」第一話は、アニメ本編の可愛らしさやコメディ感覚は勿論のこと、劇中での豊かなBGMと楽曲センスも非常に愉快で楽しい作品でした。個人的には、今後もそういったところにも注目をして本作を楽しんでいこうと思います。
 
 

■おまけ

視覚的な部分でおもしろかったのが、劇中で時々挿入される猫視点(?)による煽りからの絵の数々です。
 

 
にゃんこい!」は第一話を見た限りでは割りかしスタンダードな絵やキャラクターの配置が多かったので、こういう視点を変えた映像っていうのは良いアクセントになっていて、かなり印象に残りました。
 
あと、オープニングでやたらと女の娘のお尻(尻尾)を強調してたのは何故なんでしょうかね?
 

 
本編では、お色気みたいな要素って全くなかったので、これも結構強烈でしたね(笑)。
 
 
 
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*1:…といっても、筆者は音楽ファンではあるものの、楽器が全く出来ない&リズム感や音感が皆無の人間なため、アンマリ自信がありません。生楽器やサンプリングによるものも沢山あるかも…。

*2:筆者は美少女ゲームに全く詳しくないので、この辺の認識も間違っていたら申し訳ありません…。