2009年アニメベスト/ワースト あるいは、おっぱいとお尻から考える、川口敬一郎監督の作家性のようなもの

 

 
はてなでアニメ関連の優れたエントリを数多く書いていらっしゃる「EPISODE ZERO」さんと「反=アニメ批評」さんによる年末の合同企画「2009年アニメベスト/ワースト」に、「枯れ木も山の賑わい」とばかりに拙BLOGも参加をさせていただきたいと思います。
 
 

■先ず、話の大前提として…

さて、本年度のベストをワーストを決める前に話の大前提として考えておきたいのが、各作品に対する何を持ってベストをとワーストとするか、という視点の設定。評価の判断基準であります。
 
DVDの売り上げ、ネット界隈での盛り上がり、後世への影響力、「好き」「嫌い」レベルでの非常に個人的かつ生理的な反応、または、出演者の中に白石涼子さんがクレジットされているか否か*1、或いは余り光が当たっていない作品を評価し、商業的に大成功した作品に罵りの言葉をかけることで「通」を気取り「こいつ、意外とやるじゃねえか」と周囲にアピールをすることで、来年の今頃は女の娘に囲まれてウハウハになっているのではないか、という果てしなくアレな妄想に裏打ちされた打算…などなど、ありとあらゆる判断基準を想定してみましたが、何ていうか難しく考えれば考えるほど無理。
 
だって、俺、アニメ好きだもん。
 
今年、お世話になった作品それぞれに良い所があって、「ベスト」や「ワースト」という冠詞は付け難い! というわけで、ここは余計な雑念と複合的・客観的な価値判断は全て捨て去り、自分の気持ちや趣味に正直になって、各作品に対する評価基準を「ある視点」のみに絞り込んで作品を選出したいと思うのです。
 
そして、その「ある視点」とはズバリ「おっぱい」です!
 
おっぱいの描写が素晴らしいアニメは良いアニメ、そうじゃないアニメは悪いアニメ。そんな、最高に頭が悪い、「オメー、脳の中に寄生獣でも沸いてるんじゃねぇか!?」的な視点を用いて、街中で物凄い巨乳のお姉ちゃんとすれ違った際に思わず振り返って二度見してしまうあの感じで、2009年のアニメ界を振り返ってみたいと思うわけです。
 
あ、ちなみにここでいう「おっぱい」とは所謂「巨乳」のみに限定して話を進めさせていただきます。それ以外は認めねぇ。貧乳? そんなもん、愛でている暇があったら「COMIC RIN」的な成年漫画でも読んでなさいな!
 
 

■ベスト作品「にゃんこい!」

そんなわけで、本年度の最優秀おっぱいアニメベストアニメとして、私が推したい作品が川口敬一郎監督のにゃんこい!」です。
 
にゃんこい!」は、単純に物凄く好きな作品で、本年度最もハマッた作品ではあるのですが、自身の没入具合や思い入れをある程度排除し、客観的に見たとしても本年度に放映されたアニメ作品群の中でも抜群のハリとツヤと弾力を持つ作品であることは間違いがないと思います。
 
特に、サブヒロインである住吉加奈子さん。もう、この娘が最高に素晴らしい!
そして、「にゃんこい!」のエピソードにおいて、その卓越したおっぱい描写が一際光を放っているのが、この加奈子のメイン回となったニャンコ09匹目!「ガールズ・イン・ザ・ウォーター」です。
 
中でも特に自分が気に入っているのが、以下のシークエンス。
 

 

 

 
プールの中にいる加奈子の胸を、水中と地面の境界線に配置し、なおかつプールサイドに「乗せる」ことによってその大きさを強調し、更には水中から身体を出す際にはキチンと胸の形を変形させることによって、その柔らかさをアピールするという、ひたすら構図とアニメーションの動きのおもしろさが(おっぱいを表現するという一方方向のみに)最大限に発揮された秀逸な一連の流れ。
 

 
そして、次の瞬間にはカメラを切り替え、今度は背後からムッチリとしたお尻と脚を接写。更に、下から見上げるおっぱいという新たな視点を画面の中に持ってくるという素晴らしさ! 多分、今から国語辞書で「おっぱい」って引いたら、そこには用例として「住吉加奈子」って書いてあるはずですよ、きっと!!
もう、この短いシークエンスの中に、アニメでおっぱいを描くというおもしろさが、そしておっぱいの素晴らしさそのものが表現され尽くされているといっても過言ではないでしょう。
 
このくらいの細かい作画なら、他のアニメ作品でも出てくるよ? とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、「にゃんこい!」は作品のスピード感とテンポを最優先したラブコメ作品なので、ゴダールのジャンプカットくらい劇中の登場人物たちの空間と時間はスキップをしまくるのです。その作品の中で、このサービスシーンをよく動くアニメーションとキレたカメラワークで表現した価値は非常に大きいと思います。
 
そして、このエピソードで絵コンテを描き、フェティズムたっぷりに加奈子のおっぱいを表現したのが、誰あろう本作の監督である川口敬一郎その人なわけです。
 
 

■おっぱいとお尻から見る、川口敬一郎作品

川口監督によるこうした優れたおっぱい、あるいはお尻の仕事を見た後では、やはり私たちはその作家性のような部分についても思慮を馳せる必要があるでしょう。
 
思えば、「にゃんこい!」以前の監督作品である月面兎兵器ミーナもえたん」「絶対可憐チルドレンといった作品でも、川口監督が絵コンテを担当した回においては変態的なフェティズムと旺盛なサービス精神により、おっぱいやお尻が必要以上に強調された、キレにキレた構図を用いたカットが数多く使用されていました。
 

 

 
ただし、「ミーナ」では露出度の高いサービスカットが必要以上に描かれてしまったために、まるで、サイズの合っていないブラに、ムリヤリ押し込まれた巨乳の如くシナリオ面が圧迫されてやや窮屈な印象を受けましたし、「絶チル」や「ハヤテのごとく!」「もえたん」では、いずれもメインヒロインが胸もお尻もペッタンコなキャラクターだったために、ややヤル気が出なかったのか、お色気や萌え描写を用いつつも、監督のもう一つの特徴でもあるアナーキーなパロディギャグが目立つ結果となりました*2
 
そんな中で、この「にゃんこい!」という作品は、作中でおっぱいやお尻に対するカットがバランス良く配置され、適度なガス抜きができたせいか、川口監督の作品の中でも抜群の安定感を感じさせるコメディ作品に仕上がっているように私は思います。サービスカットはありますが、決してシナリオや劇中のギャグを圧迫する程に強烈でイヤらしくはありませんし、パロディネタに関してもクドさを感じさせない出来になっています。とにかく、作品全体としてバランスが非常に良いのです!
 
そんな中で監督のフェティズムも冴え渡り、同じく川口監督が絵コンテを担当したOPアニメーションでは「傑作」否「尻(ケツ)作」といっても差し支えないほどに馬鹿馬鹿しい優れた、お尻への愛情表現が行われていますし、前述のプール回のようなグレートなエピソードも誕生しています。
 

 
にゃんこい!」以上に、おっぱいやお尻の露出やエロの過激さに溢れた作品はあります。しかしながら、ここまで徹底したフェティズムに基づいて、こだわりのあるおっぱいやお尻をアニメで表現できるのは、やはり川口監督の才能とそこに基づいた作家性によるものでしょう。単純な、過激さよりも、表現者のフェティズムが伝わる「エロ」が私は好きです。そして、そのフェティズムと、シナリオやキャラクターの魅力、笑いの要素といったアニメとしてのおもしろさが非常にバランス良く描かれている「にゃんこい!」という作品を、本年度の最優秀おっぱいアニメベストアニメとして選出するのに、私は何の抵抗もありません。
 

 
また、女の娘の裸だけでなく、最終回での「主人公が公園で全裸になる」という衝撃の展開に、2009年のワイドショー的テレビ風俗を大いに賑わせた某アイドルによる某事件を多くの視聴者が即座に連想をしたと思いますが、年度末に2009年の芸能史を回顧、帰結させたという意味においても、「にゃんこい!」は今年を締めくくるのに相応しいアニメ作品と言えるでしょう。
 
 

■ワースト作品「空中ブランコ

おっぱいに対する目線によって高評価を得るのが「にゃんこい!」ならば、相対的に劇中でのおっぱい描写に低い評価を与えざるを得ないのが、空中ブランコです。
 
実在のアイドルである杉本有美さんをアニメの中に「絵」として用いるという技法は挑戦的だったものの、それ故におっぱいに対する即物的アプローチが、個人的には何とも惜しかったです。そこには、圧倒的にフェティズムが足りていなかったのです。にゃんこい!」のおっぱいに対するこだわりをHカップに例えるならば、「空中ブランコ」のそれはAカップ…無理してもBカップくらいでした…。
 

 
そして、何より杉本さんのおっぱいのサイズが若干小さかった! どうせなら、杉本さんが出演していた炎神戦隊ゴーオンジャー繋がりで及川奈央さんを出してくれれば良かったのに…。或いはもしも、続編を作ることがあるならば、杉本さんは胸にパット的な何かを入れてきて欲しいです。もしくは、何かあの深夜の通販番組で時々やってる、付けるだけで胸に谷間ができる不思議なブラを付けてきていただきたい!
あと、スタッフの皆さんには細川ふみえの写真集を見返すところから始めて、「おっぱいとは何ぞや?」という根幹的な部分をもう一度見直していただきたいと思います。
 
…あ、ちなみに「空中ブランコ」は、話の方は毎週見ちゃうくらい、おもしろかったです。あくまで、おっぱい的にはイマイチだったっていう話ですね。
 
 

■最後に、一言

今回の企画の企画者であり、中心人物であり、首謀者であり、実行犯でもある「EPISODE ZERO」さんと「反=アニメ批評」さんですが、この他にも来年にかけて「同人誌」という形でオモシロい企画を考えていらっしゃるようです。詳細は以下のリンク先から!
 
■twitter発のアニメ同人誌企画が進行中(EPISODE ZERO)
 

*1:何気に、自分にとってアニメを見続けるモチベーションに成り得る超重要事項。好きだ!

*2:あくまで、個人的な印象論です!