とにかく、リナが健気過ぎて泣けたのさ! - 「HEROMAN」第06話「バックラッシュ」

 

 
あぁ〜もう、リナが健気過ぎる! そして、可愛い過ぎる!
キワキワの切迫感と最悪な状況の中でも、それに抗おうとする主要キャラクター達の強さ…特にヒロインであるリナの姿にハートを鷲掴みにされた「HEROMAN」第06話バックラッシュ
今回も、劇中で印象に残ったシーンについて書き記しながらも感想文をば!
 
 

■リナとココアのエモーション

冒頭で書いたように、今回はまさにリナ・メイン回。
 

 
凄まじくショッキングな「引き」による強烈な余韻を残して幕を閉じた前回のエピソードに続き、今回もハードな展開となったストーリーの中でエピソードの中心軸になっていたのが、登場人物たちがスクラッグに立ち向かう「決意」に至るまでの心の変遷だったように思います。
そして、その中でも特に印象的だったのが、心情的に一番辛い立場に置かれたリナ。
エピソードの序盤で、過酷な現実を目の前に取り乱し、その後は夕陽の中を無言のままラボへと帰るリナの姿には、とにかく見ていて胸が締め付けられるような切なさがありました。
 

 
で、その後の心理描写っていうのが、これまた秀逸なんですよね。
自分にとって大事な人が「あんなこと」になってしまった姿を、そして、その残酷過ぎるファーストインパクトを目の前で直接目撃してしまったリナ。そんな彼女の心の動揺を、果てしなくにエモーショナルに表現していたのが、マグカップに入ったココアの「揺れ」でした。
言葉にはしなくとも、水面下に不意に立つ波紋は何よりも彼女の心を物語り、観るものに悲劇性と張りつめた緊張感を感じさせてくれます。
 
でも、リナはそこから前を向こうとする姿を見せてくれるわけで…。そんな状況にあっても、
 

「冷めちゃった…」

 
という言葉で、混乱しているジョーイたちを落ち着かせ、気丈に振舞う彼女の姿、健気さには思わず涙腺を刺激されました。
もう、「冷めたココア」っていうアイテムが、そのまま「平静さ」や「落ち着き」の暗喩になり、混乱から立ち直るリナの気持ちの変化だけじゃなく、ジョーイ達が冷静さを取り戻す引き金としても物語の中で非常に上手く機能している。
この辺の演出術、脚本力、そしてキャラクターデザインや声優さんの演技力は、とにかくグレートです。ココア一つで、登場人物たちの様々なエモーションを表現する…こういうキメ細やかな心理描写が行われるのも「HEROMAN」の大きな魅力だと思うんですよね。
 
 

■崩壊した街と日常、そしてそれぞれの決意


 
とはいえ、リナは超人的なヒロインではなく、あくまで普通の女の娘。一度は落ち着きを取り戻し、ジョーイたちと共に侵略者に立ち向かう決意をするものの、建物や道路が瓦解した街の風景の中でジョーイの前でだけ、その動揺を包み隠さずに吐露する姿が何とも胸を打ちます。
 

「何で、こんなことになっちゃったんだろう。ちょっと前まで、普通に学校に行って、普通にチアリーダーの練習して、普通に遊んでたのに…」

 
スクラッグの攻撃によって崩壊した街の景色と同様に、目の前から消え去った平和な日常と家族。
それでも、ジョーイやリナは絶望していないんですよね。また、いつもの日常が…それこそ「普通に学校に行って、普通に遊ぶ」ような光景が戻ってくると信じている。
エピソード的には時系列が前後してしまいますが、それを最も強く感じたのが、リナとジョーイ、そしてヒーローマンが買い出しに行くシーン。
 

 
建物も道路も壊れ、ジョーイたち以外の住民は全員非難し、ゴーストタウンと化したセンターシティ。
そんな中でも、彼らはスーパーマーケットから持ち出した商品の対価として(恐らくは、商品代金分ちょうどの)お金を置いていきます。
 
ジョージ・A・ロメロの名作ホラー映画「ゾンビ」では、主人公たちは死者の群れから逃れるためにスーパーマーケットに立て籠もり好き放題に過ごしますが、そこでの生活は物質的には豊かに見えても、世界からセパレートされ閉塞感の中で終焉へと向かう主人公たちの運命の象徴に、そして大量消費社会そのものへのアイロニーとして物語の中で機能をしていました。
 
でも、ジョーイたちは違うんですよね。
家や道路は無残に破壊され、人もいない。そんな状況でもジョーイたちにとっては、やっぱり自分たちが暮らす愛すべき街で、そこに日常が戻ってくる希望も捨て去ってはいない、だから、今まで通りのルールの中で生きているし、だからこそ、例えスーパーの中に人がいなくても、誰も咎める人がいなかったとしても、商品分の代金を店に置いていったんじゃないか、なんて私は思うんです。
 
そんな希望があるからこそ、どんなに絶望的な状況であっても戦うことができる、そのための決意ができる。「普通」を取り戻すために、「ヒーロー」として強大な敵に立ち向かおうとするジョーイやリナ。その姿は、非常に感動的でありました。
 
 

■今回も、ケレンミの効いたアクションのカッコ良さ!

そんな登場人物たちのエモーショナルな心理描写や細やかな演出術に加えて、やっぱり「HEROMAN」というアニメの大きな魅力になっているのが、バトルシーンのカッコ良さ!
切迫していく状況、圧倒的な戦力の敵、そして身近な人が戦いの渦に絡めとられていく過酷な展開…そんな鬱屈を吹き飛ばすかのように、今回のヒーローマンのバトルシーンは豪快そのもの!
 

 
UFOから切り離された監視装置(?)を掴んで回転し、その遠心力で宙に浮き上がるヒーローマン
もう、この理屈抜きの視覚的インパクトとカッコ良さ!
前述したような各キャラクターの心理描写への踏み込みに、こういうド派手なバトルも込みになっているのが、本当にエンターテインメントとして良くできているな、と。
 

 
視覚的インパクトといえば、今回のラストカットでは、敵地に乗り込むジョーイたちという圧倒的なカッコ良さも強く印象に残りました。
毎回、強烈な余韻を持ったストーリーの「引き」でもってエピソードを閉める「HEROMAN」ではありますが、このヒロイックなイメージと決意の裏に、若干の悲壮感すら感じさせる「絵」のインパクトはこれまた十分。
こういう派手でケレン味の効いたアクションやカットが「バチッ!」っとハマる。本当に、素晴らしいと思います。
 
 

■まとめ

スクラッグとの戦いもクライマックスに向けて加速していき、ますます目が離せない「HEROMAN」。
このアニメに関しては、感想文を書くたびに毎回毎回同じことを言って申し訳ないのですが、今後の展開からも目が離せそうにありません! 次回の放送も楽しみです!