「HEROMAN」新OPの「missing」で描かれるジョーイと仲間たちの絆が胸を打つ!

 

 
これまでのストーリーと比べてみても、かなり独特の空気を含んでいた「HEROMAN」第13話「ゲッタウェイ」から第16話までの「デシジョン」までのエピソード群。
 
リナのチャーミングなキュートさがフルスロットルで溢れまくっていた日常回、パンキッシュなジョーイのお姉ちゃん、ホリー登場回、そして、リナとジョーイのデート回…と多幸感溢れる3つエピソードを挿んで描かれた「NIA編」とでも呼ぶべきエピソード。
宇宙からの侵略者との戦いを描いた「スクラッグ編」、そして、新展開への導入部というべき前述の3つのエピソードの後に訪れたジョーイたちの新しいストーリーは、大統領直属の秘密情報機関NIA(ニア)からの逃避行と、マッド・サイエンティスト、ドクター・ミナミ操るMR-1との激烈な闘いを描いた、これまた非常に密度の濃いストーリーとなりました。
 
NIAに追われる、ジョーイとヒーローマン、そして、サイや教授といった仲間たち。
大切な人たちを守るために、街を守るために闘っていたハズが、力を持っているが故に、新たな脅威へと晒される。国家権力からの理不尽な迫害や、愛する人たちとの別れ…といった「ヒーロー」であるが故の悲しみが劇中ではかなりストレートに描かれていて、「スクラッグ編」とはまたちょっと異なるニュアンスで目が離せない内容になっていましたね。
 
そのシリアスかつハードな展開の連続に、MR-1との激闘、そして勝利! というラストのカタルシスが訪れるまで、ハラハラしっ放しだったのですが、そういった鬱屈を吹き飛ばすくらいパワフルなイメージを観ているファンに与えてくれたのが、ニュー・エピソードに併せて始まった新オープニングでした。
Kylee「missing」に乗せて始まる、新しいストーリー。もう、このオープニングの描写がひたすらエモーショナルで素晴らしい! というわけで、今回のエントリでは「HEROMAN」のOPについてアレやコレやと熱っぽく語ってみたいと思います!
 
 

■「HEROMAN」OPにおける出し惜しみのなさ

「HEROMAN」って、本編同様にOPも凄くおもしろいアニメだと思うんです。まぁ、何が凄いって本編のストーリーと魅力が90秒のアニメーションの中に、これでもか! というくらいタップリ詰まっているんですよね。
 
例えば、前期のOP、TETSUYA「Roulette」でのウィルとニックの描き方。
 

 
まず最初にウィル率いるいじめっこグループが描かれて、その後にウィルとニック以外のキャラクターがフェードアウトし、この二人の影が妖しく地面に伸びる…。「HEROMAN」をご覧の方なら、もう説明不要だと思いますが、このシーンっていうのはストーリーの超重要展開の暗示…というか、ハッキリ言っちゃえば、もうネタバレって言ってもおかしくないぐらい描写だったりします。
 
他にも、スクラッグ編の最後の最後で出てきた…今後の重要アイテムとなるであろう(?)「アレ」が、今見てみたら第一話のOPの時点で画面に登場していたりだとか、もっと、勿体つけましょうよ! って言いたくなる位のエンターテインメントとしての圧倒的なスピード感と出し惜しみなしの潔さ!
 
各エピソードの導入部となるOPの時点で、本編の魅力とシナリオのニュアンスをミッチリと詰め込むサービス精神と、それ故に情報力が多く、濃いアニメーション。もう、カッコいいとしか言い様がないんですが、とにかくカッコいいよ「HEROMAN」!
 
 

■OPにおけるキャラクターの描き方

そして、これまた素晴らしいのが、ストーリーの中で躍動する、魅力的な登場人物たちの描き方。もう、各キャラクターの魅力が、OPにギッチリと詰まっています。
 


 
ジョーイとヒーローマンの絆、電動スケボーで疾走するサイ、溌剌とチアリーディングに励むリナ、どこか抜けていてコミカルな教授、そして彼らの前に立ちふさがる巨大な敵…といった、登場人物たちのキャラクター性とアクションが、「Roulette」のメロディとリズムに合わせて、僅か90秒間の中で活き活きと表現をされている。
 
もう、観ているだけでワクワクしてくる(そして、ジョーイの頑張りに胸が熱くなってくる!)アニメーションですが、中でも一番おもしろかったのがコレ!
 

 
ホリー姉ちゃんが、スゲー敵キャラっぽい!
 
強烈な色彩をバックにベースを叩きつける謎のシルエット。出てくる順番的にも、ドクター・ミナミとかスクラッグとか敵キャラクターたちと一緒にレイアウトをされていたものだから、完全にこのキャラも敵キャラなんだと勘違いをしていました。ところが、いざアニメ本編に登場をしたら主人公のお姉ちゃん。…いや、ミス・リードもいいとこですよ! でも、このOP見ただけだと、敵キャラだと思いますよねぇ?
 
出てくるまでは、謎のキャラクター、敵側のキャラクターか? と思わせておいて、いざ、ストーリー…「HEROMAN」というパーティーの参加者になってみれば、実は主人公の家族だったという意外性。しかも、意味深な描き方によって観る者の想像力を散々煽り、ジョーイにとっての「おっかないお姉ちゃん」という立ち位置や、パワフルなキャラクター性がより強調される描き方。
 
もう、この辺を観るにつけ、OPからギュンギュン引き込まれてしまうわけですよ。
 
 

■そして、新たなストーリーの幕開け「missing」!

前シリーズの「Roulette」を見てみても、ストーリーのデティールや、キャラクターの魅力が、タップリと詰まっていた「HEROMAN」のOP。
そして、ネクスト・ステージの幕を開ける「missing」がスポット・ライトを当てたのは…ジョーイと周囲の人々の「絆」。コレだと思います。
 

 
ポップでカラフルな色彩と活き活きとしたアクションで魅せてくれた「Roulette」とはデティールを変え、カラーのワンポイントを置いたモノクロの色彩や、大都会の真ん中でヒーローマンと二人っきりになっているジョーイの姿を描くことで、観る者に伝わる寂寥感と緊張感。
サイや教授のシリアスな表情や、「Roulette」では、ああいった描き方で登場し、本編では傍若無人の権化のようなホリーが涙を流すというセンチメンタルなエモーションも何とも印象的です。
 

 
力を持つことで背負った孤独と重圧。「NIA編」でのストーリー展開と同様に重い雰囲気が漂ってきますが、そんな「悲しみはぶっとばせ」とばかりに、直後にジョーイたちの前に現れるのが…。
 

 
ジョーイとヒーローマンの周囲にいる仲間たち!
 
前半で、どこか切なく、哀しみのニュアンスを湛えた描写を入れ「タメ」ができていることで、その直後に訪れる仲間たちの笑顔には凄まじい多幸感があります。
 
どんなにハードな状況でも、ヒーローとしての重い責務があったとしても、帰れる場所があって、そこにはジョーイとヒーローマンを迎えてくれる仲間がいる…その安心感っていうのはとにかく大きくて、だからこそ、あのシリアスな「NIA編」のエピソードにもより一層の深いエモーションが加わったのかな、なんて思います。
 
勿論、そういった胸にグッとくる心情的な部分だけでなく、観ていて身体中の血管が湧き上がるようなカッコいいアクションシーンが満載なのも、ヒーローマン・ファンは嬉しいところ。特に、「MR-1」の爆発シーンは凄い! ですよね!
 
 

■まとめ

本編だけでなく、OP一つとっても、エモーショナルな空気と熱に満ちているヒーローマン。その魅力について、自分なりにアレやコレやと書いてみました。
この新OPと同時に始まった「NIA編」は、前期とはまた違った意味で印象深いシリーズでしたよね。この辺をまとめた感想文も書いておきたいですね〜。最後のドクター・ミナミとのバトルは、本当に凄まじかった!
 
 
 <関連エントリ>
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