2004年のアニメ音楽をおおきく振り返って - Jellyfish、The Stranglers、Dimitri From Paris

 

 
今回のエントリでは、2004年…今から6年前のアニメ音楽を振り返ってアレやコレやと書いてみたいと思います(といっても、あとちょっとでもう7年間になっちゃいますが…)。
綿々と続くアニメ音楽の歴史において、何故この年をピックアップしたかというと、それは個人的な思い入れによるところが大きいのですが、この年のアニメと音楽を振り返ることで、現在のアニメ音楽の輪郭をよりクッキリとさせることができるんじゃないかなぁ、という期待も込めてメモメモ。
拙い文章ではありますが、よろしければ最後までお付き合いください〜。
 
 

■「SDガンダムフォース」とPuffyJellyfish

2004年のアニメソングということで、何はともあれ個人的にコレは絶対に外せない! というくらいの勢いで大好きなのがSDガンダムフォースの主題歌、Puffy「SUNRISE」です。
 
<「SDガンダムフォース」OP / SUNRISE>

 
自分の記憶が正しければ、「SUNRISE」は大好きなPuffyが初めて歌ったアニメ主題歌。数ある彼女たちの名曲の中でも一番か二番目くらいに大好きな曲です。
SDガンダムフォース」自体も凄くおもしろいアニメ作品で、主人公のキャプテンガンダムは強くて優しくて頼りになってカッコいいし、木村貴宏氏のキャラデザによる女の娘キャラはおっぱいが大きくて可愛かった! 夕方にやっていたキッズアニメなんですけど、自分は当時もういい大人だったにも関わらず、毎週欠かさず見ていました(苦笑)。
 
で、この曲に対して自分が特別な思い入れを持っているのには、もう一つ大きな理由があります。
それは、これまた自分が大好きなバンド、Jellyfishアンディ・スターマーがこの曲の作曲とプロデュースを手掛けていたから!
 

  
Jellyfishは、Dr.&Vo.のアンディ・スターマーとKey.&Vo.のロジャー・マニングを中心に活動をしていたアメリカのパワーポップ・バンド。
アンディとロジャーという天才的なメロディ・メイカー二人による音楽愛に満ちた高クオリティなポップ・ロックの数々は、未だに自分みたいなポップ・ミュージックファンの心を掴んで離さない眩い輝きを放ち続けています。
 


 
…まぁ、同じバンドに天才が二人もいるとアンマリ活動としては上手くいかないのが世の常で、このバンドも僅か2枚のアルバムを残してすぐに解散しちゃうんですけど…。
バンド解散後、アンディはスタジオ・ミュージシャンやプロデューサーとしての活動を始めるんですが、大の親日家であるアンディはいくつかの日本人アーティストの楽曲も手掛けることになります。
 
そんな彼の仕事の中でも、日本の音楽ファンの間で最も有名なのがPuffyの一連のプロデュース曲。「SUNRISE」以前・以降も、アンディの作曲やプロデュースによるPuffyの楽曲はあるんですが、毎週テレビアニメで自分が愛して止まないアンディの曲が流れて、それをこれまた愛するPuffyが歌っている…自分にとって「SDガンダムフォース」の「SUNRISE」っていう曲は、物凄く贅沢なアニソンであると同時に、海外の有名なロック、ポップ・ミュージシャンがアニメの音楽をクリエイトするという驚きと斬新さを与えてくれた一曲だったんです。
 
 

■「巌窟王」とジャン=ジャック・バーネル

Jellyfishのようなロック、ポップの世界で成功を収め、知名度のあるミュージシャンがアニメに関わるおもしろさ。
コレって、何気に2004年のアニメ音楽を紐解くキーワードの一つだと思うんです。
 

 
例えば、巌窟王におけるジャン=ジャック・バーネルの起用なんかもそうです。ロンドン・パンクの生き字引的なベテランバンド、The Stranglersの中心人物が、テレビアニメの主題歌とBGMを手掛けるという、この巡り合せの妙。
 
<「巌窟王」OP / We Were Lovers>

 
また、パンクロックの攻撃性と、デカダンで耽美主義的なアンビバレンツな要素を併せ持つジャン=ジャック・バーネルの音楽性が、「巌窟王」の残酷かつ甘美な復讐劇のイメージと非常にマッチしていて、何とも言えない作品イメージを形作っていましたよね。
 
そして、海外ミュージシャンが手掛けたアニメソングということで忘れられないのがこの一曲!
 
 

■「月詠 MOON PHASE」とDimitri From Paris

<「月詠 MOON PHASE」OP / Neko Mimi Mode>

 
ネコミミネコミミネコミミモードで〜す! …なDimitri From Paris月詠 MOON PHASE」OP曲Neko Mimi Mode」!
 

 
最早、今さらの説明は不要でしょうが、フレンチ・ハウス界の大御所、Dimitri From Parisが作ったこの曲は彼の「Love Love Mode」というナンバーのセルフパロディ曲。
原曲では女子高生の声をサンプリングしたヴォーカルが、アニメキャラのそれへと鮮やかに取って代わり、物の見事に「アニソン」として生まれ変わっています。
 
こうして見てみると、「SDガンダムフォース」「巌窟王」「月詠 MOON PHASE」と、この三作品の音楽を手掛けた三人のミュージシャン…アンディ・スターマー、ジャン=ジャック・バーネル、Dimitri From Parisは、音楽性も国籍もバラバラ(強いて、三者の共通点を挙げるならば「親日家」ということくらいでしょうか?)。そして、日本人アーティストへの楽曲提供&プロデュース、オリジナル・スコアの製作、セルフパロディと、音楽の作り方、作品へのアプローチもバラバラで、こうしたミュージシャンがアニメに携わる意外性や革新性の他に、非常に自由な空気も感じられる気がします。
 
で、この「自由な空気」というのがとても重要で、アニメ音楽がロックやパンクやクラブ・ミュージックと結びついた年として、2004年ってかなり象徴的で重要な年代だと思うんです。
大袈裟に言っちゃいえば、表現や音楽のジャンルとか、国籍とかそういったボーダーラインを全部ぶっ飛ばして、アニメと音楽がより強くクロスオーヴァーを起こして、凄く幸せな関係を築き始めた走りの年なんじゃないのかなって。
 
 

■まとめ - 「サムライチャンプルー」と「BECK

2004年にアニメ音楽についてアレやコレやと。
ここまでは、海外ミュージシャンが携わったアニメ作品を中心に話を進めてきましたが、この年を象徴するアニメ音楽としてサムライチャンプルーBECKサウンドトラックの数々にもやはり触れておきたいところ。
 

 
前者はヒップホップの、後者はメロコアやミクスチャーといったインディーズ系ミュージシャンと音楽クリエイターに迎え、印象的にアニメ作品の中で音楽を使用していた作品。
 
勿論、これ以前にもプロのミュージシャンが参加したアニメ作品は沢山あるんですが、その数が爆発的に増えて、こういう音楽とアニメの幸せな結びつき、奇跡的な邂逅を沢山目撃できたのが、自分にとっての2004年という年とアニメに対する印象です。
で、その時に受けた衝撃とか、アニメ音楽への接し方というのが、今のはなまる幼稚園「HEROMAN」といった優れた音楽性を持つアニメとの出会いや流れにも全部繋がっている気がするんですよね〜。
 
 
 
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