マシュー・ヴォーンの「キック・アス」を観てきたんだって!

 

 
最近、観た映画についてアレやコレやと〜。
 
 

アメコミのヒーローに憧れるデイヴは、本物のヒーローになるべく一念発起し通信販売でウェットスーツを購入。正義の使者「キック・アス」へと変身し、冴えない日々に別れを告げ、街の平和を守るべく悪と戦う決意をする。…が、勉強も運動も微妙な上に、超能力なんて使えるわけもないデイヴは、初戦で暴漢に刺され入院をするハメになるのだった。
それでも、自身の「正義」を貫くために日々奮闘をするキック・アスの前に、ヒット・ガールとビッグ・ダディという新たなヒーローが現れる。そして、この二人の登場によって、キック・アスは巨大麻薬組織との戦いに巻き込まれることになり…。

 
昨年末の話題作を、今年に入ってようやく新宿武蔵野館のレイトショーで。
 
「ヒーロー」をテーマにしながらも、血と暴力に塗れた映画だったけど、陰惨さはなく娯楽映画として本当によくできた作品だったと思います。上映時間は二時間と、ヒーロー映画にしては長めの尺なれど、過不足なし、観る人を全くダレさせることなく楽しませる充実の二時間。
とにもかくにも、キャラクターが賑々しくて、登場人物たちの異常に濃い言動を観ているだけでも、何も考えずに楽しむことができた映画だったよな〜と。
 
冴えない青春を過ごした人間ならば思わず共感必死の主人公に、あどけない顔をして無敵の強さを誇るヒット・ガールといった主役キャラは勿論のこと、彼らに対峙する麻薬組織のメンバーも、全員どこか愛嬌があって何だか憎めない連中ばかり。コイツらが、ヒット・ガールに次々に惨殺されている場面なんて、思わず敵役の側に立って観ちゃいましたからね(そもそも、アイツら、仲間を残酷な拷問で殺していただけで、劇中で具体的に悪いことする場面ってアンマリなかった気がするんですけど…)。
そんな強烈なキャラクターがひしめくスクリーンの中で、とりわけ目を引く存在だったのが、ビッグ・ダディを演じるニコラス・ケイジ! もう、色々な媒体でのレビューで語りつくされていると思うので、詳しい感想は割愛しますが、演じる役所も演技もブチ切れていて良かったです。
 
で、劇中では二時間に渡って、コイツらがひたすらムチャをやり続けます。一応、キック・アスもビッグ・ダディもヒット・ガールも「ヒーロー」ではあるんですが、もうやってることはムチャクチャなんですね。
とはいえ、彼らにだって物凄くシッカリした「正義」に対する哲学があるわけです。デイヴは他人が苦しんでいる時に、それを黙って見ているだけで何もしない人間が許せないからウェット・スーツを着てキック・アスに変身するし、ビッグ・ダディは自身の過去に決着をつける為に麻薬組織のメンバーを血祭りにあげていく。
 
そうした「正義」を行う理由付け、モチベーションがキッチリと描かれているからこそ、どんなにグロテスクなヴァイオレンスが描かれようと、彼らは「ヒーロー」であり続けることができたのかな、と。そんな彼らの戦いが、やがて最後には…という「その後」のシークエンスはなかなかに感動的です。
 
自分は、もっと真っ直ぐなヒーローが好きなんで、本作は100%自分好みの映画という訳では決してなかったのですが…それでも、存分に楽しませていただきました!
 
ちなみに、劇中で使われている音楽の数々は自分の好きな曲が結構使われていて、コチラはモロにツボに入ってきましたよ、と。The Dickiesの「Banana Spilits」に乗せて、女の子がヤンキーを殺しまくるシーンをハイスピードで見せたりとか抜群のセンス!