Animetion & too smoking the pillows - アニメファンにとってのthe pillowsというバンド

 

 
20年以上に渡って活動を続けているロックバンド、the pillows
 
ロックバンドとしての音楽的な評価だけに止まらず、アニメにその楽曲が使われたり、メンバーの名前や曲のタイトルが色んな漫画に引用をされたり…と、アニメや漫画のファンにとっても特別な思い入れのあるバンドなのではないかと思います。
今回のエントリでは、そんなグレートなバンドについてのアレやコレやを書いてみたいと思います!
 
 

the pillowsとアニメと言えば…やっぱり、「フリクリ」!

アニメや漫画との結びつきが妙〜に強いバンド、the pillowsピロウズといえば、やっぱりこの作品を真っ先に思い浮かべるファンも多いのではないでしょうか?
 

 
鶴巻和哉監督作、GAINAX制作によるOVAフリクリ
 
はい、OADじゃないです。OVAです。オリジナル・ビデオ・アニメーションね。これがリリースされた2001年って、まだまだVHSがバリバリ流通をしている頃でしたからね…。「フリクリ」も観終わった後に、ちゃんとキュルキュル巻き戻しをしてからレンタルビデオ屋に返却してたなぁ…。
 
当時、この「フリクリ」というアニメの何が画期的だったかって、鶴巻監督が大ファンだというthe pillowsの音楽が全編に渡って使われていたことです。
今では、ロックバンドの音楽がアニメにタイアップをされたり、ロックミュージシャンがアニメのBGMを制作したり…というのは決して珍しいことではありませんが、アニメの外から音楽を持ち込み、作品内に独自のニュアンスを作る…しかも、the pillowsのようなバンドを使って…という「フリクリ」の試みは、その先駆けというか大変に先鋭的な試みだったように思います。
 
例えば、このアニメ、キングレコードスターチャイルド)が制作に関わっていた関係で、当時、林原めぐみさんがパーソナリティーを務めるTokyo Boogie Nightとか「Heartful Station」といったアニラジを聴いていると、必ずこのアニメの主題歌である「Ride on shooting star」が流れていたんですよ!
 


 
林原さんのラジオを聴いていたら、ピロウズが流れる! アニメの主題歌や声優さんの曲と一緒にピロウズが流れるんです!
今ほど"ロック"と"アニメ"の距離が近くなかった当時(その前に、P-MODEL平沢進さんが参加をされた「ベルセルク」のようなロックテイストに満ちたアニメ作品も存在をしていましたが)、この「フリクリ」へのピロウズの起用ってとにかく衝撃的でした。「このアニメは、他のアニメとはちょっと違う!」「アニメを観てたらロックが流れる。とにかく、カッコいい!」そんな問答無用のインパクト。
 
 

the pillowsとアニメ、漫画


 
思えば、「フリクリ」以降も、the pillowsの影響を受けたアニメや漫画は沢山出てきました。例えばけいおん!、例えば惑星のさみだれ、例えばリトルバスターズ!…。
けいおん!」には、ピロウズのヴォーカリスト&ギタリストである山中さわおさんのお名前をまんま女性名にした山中さわ子というキャラクターが登場しましたし、「惑星のさみだれ」には"ビスケット・ハンマー"のようにthe pillowsの楽曲を引用したキーワードが出てきました。秋からアニメ版が放映される「リトルバスターズ!」だって、元々はピロウズの曲のタイトルです。
 


 
様々なアニメや漫画で見ることができるthe pillowsへの熱い思いとリスペクト。ピロウズは、アニメの制作者さんや漫画家さんからも愛されているバンドということなのでしょう。最近だと、アレなんかもそうですよね、SKET DANCE
 
 

■アニメ版「SKET DANCE」とthe pillows


 
SKET DANCE」は、原作漫画の時点から作中でthe pillowsへの熱狂的なラブコールが行われていましたが、それが一気に花開いたのがアニメ版。ピロウズ自身の「Comic Sonic」が初代ED曲に起用され、原作漫画で「Funny Bunny」も歌う描写も再現をされました。
 


 
これだけでも凄いんですが、極め付けは山中さわおさんによって、EDの主題歌が書き下ろされたこと!
「世界は屋上で見渡せた」は、劇中バンド(という言い方でいいんでしょうか?)であるThe Sketchbookと「SKET DANCE」の主人公であるボッスン、ヒメコ、スイッチ…を演じる吉野裕行さん、白石涼子さん、杉田智和さん…のお三方が共に歌うという何とも夢のある歌になっています(生徒会メンバーが歌う別ver.もあり!)。
 
アニメから飛び出したバンドと、そのアニメに出演をしていた声優さんによる共演。夢がタップリと詰まった音楽「世界は屋上で見渡せた」。それをクリエイトしたのは、the pillows山中さわおさん。
 
吉野さんや白石さんや杉田さんが、山中さんの作ったメロディーに乗せて、山中さんがこの曲の為に書き下ろした歌詞を歌うんです。…「フリクリ」から10年。ロックとアニメが大好きな人間からすると、何だか凄い時代になったなぁ…という感じですが、この幸せなコラボは何とも感慨深い。
歌詞も、山中さんの作詞の特徴の一つであるカタカナ言葉や体言止めが多く使われていて、まさにピロウズテイストたっぷり。何というか…本当に、the pillowsの音楽って、アニメとの相性が良いよなぁ〜と思います。
 
 

■何故、こんなにもthe pillowsは愛されるのか?

こういうった感じで、アニメや漫画のファン、作家さん達から愛されているピロウズですが、どうして、こんなにもこのバンドがこうしたシーンの中でリスペクトをされているのでしょうか?
 
これって他の日本のギターロックバンド…例えば、the pillowsと同郷(北海道)出身で活動歴も近いbloodthirsty butchers(私が日本で一番大好きなバンドです!)のようなバンドには見られない現象です。
 


 
いや、勿論、ブッチャーズもthe pillowsと同じくグレートなバンドで、様々なクリエイターさんに刺激を与え続けてきたことだろうと思います。でも、漫画作品の中でピロウズのようにストレートな引用が行われたりだとか…は余り目にしたことがありません。
 
何故、the pillowsというバンドが、こんなにもアニメや漫画の中で愛されているのか?
 
コレは、なかなかに考え甲斐のあるテーマではないでしょうか? 私は、熱狂的なファンに比べると全然緩くて温いピロウズファン…ベストとオリジナルアルバムを数枚持っている程度の…ですが、ちょっと自分なりに考えてみたいと思います。
 
何より、やっぱり一番の魅力っていうのは、その歌詞世界ではないかなぁと思います。先ほども書いたような、カタカナ言葉を多用した山中さんの独特の歌詞。そうした言葉を紡いで創り出されるのは、ちょっと青臭くて、でも、クールで、そんなエヴァーグリーンな輝きを放ち続ける独自の世界観です。
あとは、映画からの引用であるとか、そういったイカしたセンスもこのバンドの特徴の一つでしょう。the pillowsというバンドは、世界観が確立していると思うんですよね、凄く。"ビスケット・ハンマー"なんてカッコいい言葉、見たら使いたくなるわけじゃないですか、やっぱり。
 
また、「超メジャーなバンドでもなく、かといってマイナーなバンドでもない」という、このバンドらしいポジションも魅力の一つなのかもしれません。バンバン音楽バラエティーに出るような国民的なアーティストでもない代わりに、決してマニアックなバンドではない、ましてやカルトやアングラでは決してない。ただただ、長年に渡って素晴らしい楽曲を作り続けているロックバンド、それがthe pillows
 
…薄っぺらい意見で申し訳ないんですが、この辺がロックファンだけでなく、アニメや漫画のファンからも愛される理由の一つなのかなぁ、と。
 
 

■個人的に感じるthe pillowsの大きな魅力


 
薄っぺらい意見のついでに…最後に、メチャクチャ個人的なピロウズというバンドの魅力を。
the pillowsって、私の中で「好きな女の娘に聴いていて欲しい音楽」なんですよ! 好きな娘がピロウズ聴いてたら最高だと思いませんか? このニュアンス、ロックが好きな人だったら分かってもらえるハズ!
 
何か、ピロウズ好きな娘って、そのまま他の音楽とか好きな漫画とか映画とかの趣味が全部合いそうな気がするんですよ。何でしょうね…やっぱり、センスの良さとかを感じられるバンドだったりするのかなぁ…上手く言えなくて申し訳ないんですが、ピロウズ好きの女の娘って、それだけでちょっと可愛さがアップする気がするんです、自分の中で。
 
そう考えると、女の娘との相性の良さってのも、the pillowsとアニメや漫画とかの相性の良さにリンクをしているのかもしれないですね。「フリクリ」のハル子さんは可愛かったし、「SKET DANCE」EDのあのガーリッシュな雰囲気と可愛らしいヒメコのタッチ(沼田誠也さん!)とかね、大好きですよ。
 
…まぁ、そんな感じでウダウダと書いてきましたが、the pillowsってポップなのに、その魅力が説明しづらくて、そして人を惹き付ける、そんなバンドなんだと思います。分かりやすいんだけど、難しい。本質を掴めそうで掴めないStrange Chameleon。
 


 
ピロウズはストレートなロックナンバーが好き(なので、THE PREDATORSが凄い好き)なので、2000年以降のナンバーでは一番に好きな曲! こういう勢いのある曲も、いつかアニメで聴けるといいな〜と思います。