二人のライダーのコントラストに上手さを感じた「仮面ライダーウィザード」パワーアップ回

 

 
ウィザード、ビーストと物語の主役たる2人の仮面ライダーのパワーアップが続いた仮面ライダーウィザード」。ウィザードはインフィニティースタイルに、そして、ビーストはビーストハイパーへと変身を遂げたわけですが、その見せ方というのが非常に上手かったなぁ、と思うんです。
 
そんなわけで、今回のエントリでは「仮面ライダーウィザード」に関するアレやコレやでエントリを簡易更新!
 
 

■ウィザードとビーストのコントラスト

物語後半での二人のライダーのパワーアップ。印象に残ったのは、この二人の対照的な描かれ方、そのコントラストでした。ビーストの場合は、ちょっと情けない考古学者、中本治をゲストキャラに迎えたエピソード。そして、ウィザードの場合は、人の心を破壊するファントム、レギオンを晴人が迎え撃つエピソード。前者はコミカルな演出が目立ち、後者は魔法の力を失った晴人にフォーカスが当たるシリアス回。
 
ビーストとウィザード。このコミカルさとシリアスなドラマのコントラスト。それがそのまま二人の"仮面ライダー"のキャラクター性をクッキリと分ける差異みたいなものにも繋がっていたなぁ、と。
 
仁藤攻介仮面ライダービーストは、笑いをエッセンスにしたエピソードの中で新たな力を手に入れ、操真晴人仮面ライダーウィザードは、"魔力を失う"という絶対絶命な状況の中で、レギオス相手に悲壮な戦いを挑み、新しい力を手に入れる。明るくてとことんプラス思考な仁藤と一件飄々としつつも実は悲しい過去を背負っており、故に"誰か"を守る為に必死になれる晴人。そんな二人のキャラクター性がハッキリと出た二つの戦い。この辺りの魅せ方、物語の描き方というのが実に見事で、パワーアップ回が4週連続で続いたにも関わらず、全くダレることもなく、高揚感と快い緊張感を持って「仮面ライダーウィザード」という物語に対峙することができました。
 
 

■二人のライダーが戦う理由

もう一つ、一連のパワーアップ回を通して"上手さ"を感じたポイントを。それは、これらのストーリーの中で、二人のライダーが戦う理由がハッキリと、そして対照的に描かれていたこと。
 
劇中で、仁藤は、自分のことを謀った考古学者のことを赦します。そして、自身がキマイラの力を宿し、命を落とす危険に常に晒されつつも仮面ライダーであり続ける理由を知的好奇心、探究心故だと言い切る。彼のこれまでの戦いを振り返ってみれば、恐らくは、ゲートを絶望から救いたいとか、ファントムに襲われる力無き人々を助けたいとか、"正義"のヒーローとしての意識も強く持ってはいるんでしょうが、その根幹にあるのはあくまで不思議な力のことを知りたい、解き明かしたいという強烈な好奇心であることがここで語られる。強烈なエゴイスティックさすら感じさせる程の好奇心が、彼をヒーローたらしめているのです。
 
一方で、操真晴人は魔法の力を失いながらも…ただの人間になっても、レギオンに襲われる人々や「ウィザード」のヒロインたるコヨミちゃんの命を守る為に強敵に対峙し、その戦いの中で自身の新しい力を目覚めさせました。「仮面ライダーウィザード」って、物凄く真っ直ぐでヒーローらしいヒーローだと思うんですが、まさに彼らしい…"誰か"を守る為に戦うという強い意識を通して、インフィニティースタイルへと変身をする。
 
この二人の仮面ライダーの描き方ですよね。ここでも、ウィザードとビースト。二人のポジションとスタイルがハッキリと別れてくる、そのコントラストが際立ってくるという。"パワーアップ"に伴うビジュアル、能力の変化に加えて、主役を張る二人のライダーのキャラクターも立ててみせる。この辺の描き方には、いい大人も思わず感心をしてしまいました。
 
 

■まとめ

仮面ライダーウィザード」という物語が始まった当初、その徹底的に子供の目線に立った作劇に、この物語をエンジョイしつつも、一方で"大きなお友達"としては、正直ちょっと食い足りない部分を感じていたのも事実でした。ところが、意外性に溢れた先日のエピソードといい、ここ最近の「仮面ライダーウィザード」は尻上がり的に物語の熱量が増してきているし、その描き方も上手くなってきている印象を受けます。
 
更なる謎やキーワードも波状攻撃的に次々に登場をしてきていますし…「仮面ライダーウィザード」、ラストまで目が離せない番組になりそうですね。