「波打際のむろみさん」中野英明さん演出回 - 脳は揺れても刃牙パロは揺るがない!

 

 
波打際のむろみさん第5話「ツインマウンテンとむろみさん」。監督、吉原達也さん、制作はタツノコプロ、シリーズ構成にふでやすかずゆきさん、キャラデザには貞方希久子さんというSKET DANCEをクリエイトしたスタッフ、スタジオが勢揃いをした本作で、遂に登場をした中野英明さん演出回。
 
SKET DANCE」でもキレにキレまくった傑作コメディ回を手掛けた中野英明さんですが、今回の「むろみさん」でもその演出術は遺憾なく発揮をされていました。今回のエントリでは、この「波打際のむろみさん」中野演出回についてアレやコレやと書いてみたいと思います! キャオラ!!
 
 

■「波打際のむろみさん」でも飛び出す板垣パロ

中野演出回といえば、画面分割に止め絵、激しい入射光…等を駆使した出崎オマージュな演出術を多用することでお馴染みですが、それと併せてこの演出家さんのクリエイティビティーの大きな特徴となっているのが、板垣恵介先生の漫画をパロディーにしたシークエンスの数々
 

 
勿論、「波打際のむろみさん」でも中野さんの板垣先生へのリスペクト、愛は止まらない。エンドクレジットが流れる中、富士さんに詰め寄られるたっくんの脳は揺れに揺れる。この時のたっくんの脳の揺れ方たるや、列海王に顎部への六連撃を食らったピクルの如し。未曾有の震盪、恐らくは数千回ッッ。
 

<板垣恵介範馬刃牙」第12巻 (秋田書店) P.160>
 
肉体へのダメージだけでなく、臓器へのダメージを重視した格闘理論から頭部への打撃…からの脳震盪のシーンを幾度となく描いてきた板垣漫画。特に刃牙シリーズでは、脳震盪によって戦況が大きく変わる戦いも数多くあった。中野さんの板垣作品へのイメージの中でも、この脳が揺れるシーンというのは"板垣的なもの"として定番になっているのでしょう。「SKET DANCE」の自身の演出回でも脳が揺れるシーンを繰り返し挿入をしていました。
 
 

■中野英明演出回では脳は揺れ続ける!



 
過剰なまでの出崎演出やゲスト声優として登場をした古谷徹さんのツッコミの冴えっぷりが大きなインパクトを残した第9話「円太やります!」やタガの外れまくったギャグと板垣パロが暴走をする「フードファイターお宅訪問!」…中野さんが演出を手掛けた「SKET DANCE」では、必ずキャラクターの脳が揺れるシーンが描かれていました。
 
この中野さんの板垣先生への愛。そして、脳へのこだわり。中野さんの頭部をCTスキャンで撮ったなら、脳の皺が鬼の形になっているのではないかと思う程の"刃牙脳"っぷりには感服。勿論、「SKET DANCE」の後に繋がる「波打際のむろみさん」でも、シッカリと脳を揺らし、板垣的な格闘技観を15分間のコメディアニメに忍ばせてきた。この圧倒的な熱量! 中野さん…アチィねえ。冷房は動いているねえ(東京ドームに勤務をしている清掃員さんの表情で)。ちっはーる! ちっはーる! …違った! なっかーの! なっかーの!
 
中野英明演出回…脳は揺れても、刃牙パロは決して揺るがない。この中野さんの板垣作品への愛を一体どうやって表現すれば良いのでしょうか? 私は悩み続けている……この世には…………言葉が少なすぎる。あまりにも少なすぎる。『愛する』という言葉以上の愛する表現が存在しない。
 

<第6巻 P.16>
 
と、思わずビスケット・オリバの名台詞を引用したくなる程の中野さんの板垣作品への愛。"オマージュ"という表現の一つの理想形が、ここにある気がしますよね。本当に良いものを観せていただきました。「波打際のむろみさん」のファンとして、また、イチ「刃牙」ファンとして、中野さん…貴方のその板垣愛(イタガキラブ)に…
 
 
 
 

 


<第12巻 P.153>
 
謝々ッッ(ありがとう)
 
 

■まとめ

波打際のむろみさん」でもやっぱり登場をした中野さんの板垣パロ。「SKET DANCE」や「にゃんこい!」の中野演出回で毎回ゲラゲラ笑わせてもらっていた人間としては、子宮から出てきたばかりの範馬勇次郎助産婦に「俺を取り上げろ!!!」と猛烈に主張したが如く、ピックアップをしろと言われた気がしたのでエントリにさせていただきました。…が、実は板垣漫画も出崎演出もタツノコプロに関しても、本当にコアに好きな人に比べたら全然アマチュアな自分。多分、中野さんの演出術と板垣ネタに関しても、まだまだ知識と認識が追い付いていない部分があると思います。詳しい人だったら、もっともっとディープに語れるんでしょうね、この辺は…。
 
そんな人たちが、今回の「波打際のむろみさん」中野演出回について、BLOGやtwitterで言及をした時…俺は勝てるのか!? この廊下を戻る時…俺は…歩いて…歩いて帰れるのか!?(妄想の中で巨大な蟷螂と戦いを繰り広げながら)
 
<餓鬼レンジャー / ラップ・グラップラー餓鬼>

 
 
 
<関連エントリ>
■「SKET DANCE」の「にゃんこい!」感と、川口敬一郎監督作品のクロスオーヴァー感
 
<関連URL>
■2012年テレビシリーズアニメ話数単位10選と虎王(subculic)
■波打際のむろみさん3話で押さえておきたい3つの面白いポイント(失われた何か)
■今期は画面分割アニメが熱い!それと「戦う山伏」ことRDG (まっつねのアニメとか作画とか)