「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」のサッカーパンチ

 

 
4月から放送をスタートした銀河機攻隊 マジェスティックプリンスがおもしろい。シリアスとコミカルが合間見える、絶妙なバランスで構成をされたストーリー、演出術にカッコ良いロボットと戦闘シーン。何よりも、主人公であるザンネン5と彼らを見守るスズカゼ教官のキャラクターが抜群に良く、アニメ本編ともども心から応援をしたくなる出来になっているように思います。
 
早い話が、私はこの「マジェスティックプリンス」というロボットアニメ作品のファンになり、正に"ハマって"いるわけですが、アニメの放映開始前に制作スタッフさんのクレジットを確認した時に受けていたイメージとは、随分と隔たりがありました。その時点では、まさかここまでこのアニメに自分がハマることになるなんて思ってもみなかったというのが正直なところ。自分の中での事前の予想を大きく覆してくれた「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」。そこには、不意打ちのような衝撃と驚きが。
 
そんなこんなで、今回のエントリでは「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」についてのアレやコレやを!
 
 

■「マジェスティックプリンス」放送前に感じていたイメージ


 
銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」のクレジットを確認してみれば、監督に元永慶太郎さん、キャラデザに平井久司さん、そして、主題歌を手掛けるのは石川智晶さん…このメンバーのお名前を見て、「マジェスティックプリンス」がこのような作品になると事前にどの位の人が予想をできたでしょうか?
 
本作にまつわるクリエイターさん達がこれまでに関わってこられたアニメ作品のタイトルを並べてみれば、「無限のリヴァイアス」に「蒼穹のファフナー」「機動戦士ガンダムSEED」、そして「ぼくらの」。この流れだと元永監督のフィルモグラフィーに関しても、「あまえないでよっ!!」とか「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」の時の元永監督ではなく、「School Days」での元永監督を連想してしまいます。
 
各クリエイターさんにどのようなイメージを持っているか、或いはどの作品を代表作とするかは、人それぞれ。まさに、ファンベースでの印象に依るところが大きいと思います。
ですので、完全に個人的な話になるのですが、私が「マジェスティックプリンス」のスタッフクレジットを確認した時に、頭に浮かび上がったのが前述の作品群であり、そこで見ることができた各クリエイターさんの作風。唯一、吉田玲子さんがSFロボットアニメの脚本を書くという部分に関しては、事前に全くイメージが出来なかったのですが、端的に言えば、このスタッフさん達が集まってSFロボットアニメを作るとしたら、もの凄くシリアスで暗い作品に仕上がるのではないかな、と思っていました。
 
それこそ、戦禍の中で主要人物たちが次々に死んでいったりだとか、トラジェディーに満ちたエピソードが続出したりだとか、主人公たちの人間関係が凄まじくギクシャクしたりだとか…そういった、重い作品になるではないかな、と。
 
 

■「マジェスティックプリンス」のサッカーパンチ

ところが、いざアニメがスタートをしてみたらどうだったか? 各エピソードには、ふんだんにギャグやコメディー描写が散りばめられているし、登場人物達も皆、愛すべき性格や憎めないキャラクターの持ち主ばかり(唯一、コミネ参謀次長だけは、"ヒール"として分かり易すぎるくらい分り易く不愉快な人物として描写をされていますが)で、各キャラクター同士の繋がり、やり取りも観ていて楽しくなる造型になっている。
 

 
何より、驚いたのがあの端正な平井さんのキャラデザを第1話の時点で崩してきたこと。この驚きと衝撃というのは、エピソードが進んだ今でも忘れられません。「本作」に対して、先ほど書いたような"暗さ"や"残酷さ"が漂うニュアンスを勝手に感じていた自分は、本当に驚かされました。
 
中途半端な知識や偏見があったが故に、予想だにしない方向から飛んできた強烈なインパクト。死角からの強烈な一撃。サプライズに満ちたサッカーパンチ(不意打ち)。この時の衝撃が見事なフックとなり、第1話以降も「マジェスティックプリンス」を視聴し続けることになるのですが、本当にこのアニメは(自分の勝手な)事前の予想を覆し続けてくれます。
 
勿論、シリアスな要素や戦争をアニメの中で描く故の悲劇性も描写されていますし、作品が今後、どのような方向に進んでいくかは分かりません。ただ、現時点で受けた衝撃というのをちょっと書き留めておきたかったので、こうしてエントリを綴っている次第。そして、今までのエピソードを観た限りでは、この「マジェスティックプリンス」が持つストーリー展開の軽妙さ、シナリオの巧さというのは、今後も私に驚きを与え続けてくれるのではないかと思っています。
 
 

■キャスティングでもサッカーパンチ!


 
最後に、もう一つ本作にまつわる"驚き"について。それは、本作の出演声優さんについて。主人公であるザンネン5の配役を見てみれば、二枚目…でも、実は三枚目なツッコミ担当のアサギ役に浅沼晋太郎さん。天然でドジっ娘のタマキ役には井口裕香さん。そして、クールで理知的な美人系であるケイ役には日笠陽子さん…と、まさに、キャラクターのイメージにピッタリな声優さんがキャスティングをされています。まさに、アニメファン、声優ファンならば、納得の人選です。
 
そんな中で、残るヒタチ役とスルガ役には、特撮出身の役者さんをキャステイングするというセンス。配役の妙。また、このお二方が抜群に上手い! 特に、スルガ役の池田純矢さんなんて、男性としてはちょっと高めで軽い響きの声質がスルガのキャラクターにも非常にマッチをしている。この辺りも、「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」という作品が持つサプライズ。予想だにしない不意打ちだったと思います。
 
補給部隊を待ち伏せして攻撃しようとすれば、敵の精鋭部隊に遭遇し、敵基地に奇襲をかければ、予期せぬ大軍勢の猛攻を受ける。物語の中で、チームラビッツの不意打ちは、いつだって大失敗続きですが、これのサッカーパンチの連発には心の底から意表を突かれました。嬉しい誤算とは、まさにこのこと。これからのストーリー展開からも目が離せそうにないですね。
 


 
 
 
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