「いなり、こんこん、恋いろは。」で生まれて初めて"初音ミク的な音"にシビれる

 

 
いなり、こんこん、恋いろは。がおもしろいです。こういう良い子達ばっかり出てきて、凄く優しい雰囲気のアニメが大好きなので、本作も非常に楽しんで観させていただいております。キツネが大好きな自分には、可愛いキツネが沢山出てくるのも美味しいポイント。
 
主人公のいなりちゃんのメンタルの弱さが微妙に気になるところではありますが、丹波橋君との恋を成就するべく頑張って欲しいな…と、本作に対して物凄く普通の感想を抱く今日この頃。エピソード毎の引きの上手さや脚本の丁寧さとか、何気に表情豊かなキャラクターとか、本作について語りたいポイントは色々とあるのですが、今回は個人的に強く興味を抱いたポイントをについてちょっとアレやコレやと書いてみたいと思います!
 
 

■オープニング曲のMay'n「今日に恋色」が素晴らしい…!


 
本作を観ていて一番最初に心を惹かれたのがOPでMay'nさんが歌う「今日に恋色」。これが凄く良い曲だなと思いまして、先ず何よりメロディーが凄く良い! 更に、その曲調というのがMay'nさんの曲としてはちょっと意外性があるというか、やはり、May'nさんって「『マクロスF』のシェリル・ノームの中の人」というイメージが自分の中に強くありまして、「マクロスF」でのヒット曲の数々みたいなビートの感のあるロックナンバーを歌っている印象が強かったんですね。
 
<May'n / 今日に恋色>

 
それがああいうポップで流麗な鍵盤楽器のメロディーに乗せて歌われているというところに凄く惹かれまして…いや、昨年リリースした「ブラッドラッド」OPの「ViViD」がこれまた本当に優れたアニソン&ポップスナンバーで、アレで改めてMay'nさんに興味を持ったようなにわかファンの意見ではあるんですが…。とにもかくにも「今日に恋色」、大変に良い曲だな〜とシンプルに感動をしてですね。で、どなたが作曲をされたのか調べてみたりしたわけです。
 
すると、そこでクレジットをされていたのがlivetunekzさんという方…失礼ながら寡聞にしてお名前を存じ上げない…。で、この方がどんな曲を作られているのかと調べてみたら、これがビックリ! 初音ミクを使った同人音楽の製作で著名なクリエイターさんらしいんですね。
 
これは、自分にとって凄く驚きでした。というのが、自分はアニメ好きで音楽好きであるんですが、これまで初音ミクっていうものを全然、通ってこなかった人間なんですよ。で、そんな人間の耳にも"初音ミク的な音"が入ってくる時代になったのか、と。
 
 

■"初音ミク"に対するイメージ、すれ違い

ホントに自分は"初音ミク"っていう文化をほとんど知らなくて、その辺の音楽を一切聴いてこなかったんです。勿論、同人誌が沢山出てるとか、鏡音リンとレンとか巡音ルカとか、他のシリーズもあるとか物凄く人気のあるキャラクターというのは知っていたんですが、それを使って作られた音楽を全くと言っていい程、聴いてこなかった。
 
というのがニコニコ動画とか同人音楽に余り接点がなく、そもそも知り得る機会がなかったんです。だから、「"初音ミク"というのが流行っているらしいよ」と言われてもピンとこなかったというのが正直なところで、全くその実体がイメージできなかった。自分みたいなネットの流行に疎い人間からしたら、初音ミクっていうのはチュパカブラとかスカイフィッシュみたいな都市伝説、UMA的な「どーも存在をしているらしいが、その詳細はサッパリ分からん」という極めてアブストラクトな存在だったわけです。
 
それがいつの間にか、物凄くメジャーに存在になっていてファミリーマートとタイアップするわ、初音ミクを使って同人音楽を製作していたクリエイターさんがメジャーデビューを果たしたり、J-POPのチャートにランクインしたり…と一つの巨大なカルチャーになってきた。
 
ところが、自分はその間に現在進行形の日本のメジャーシーンの音楽をほとんど聴かなくなった(ちょっと前までは、「ロッキンオンジャパン」の表紙になるアーティスト、バンドの名前とかも分かったハズなのに今は全然…)せいもあり、これまた初音ミクに触れる機会を逃してしまった。その間、BLACK SABBATHとかのハードロックとか海外のデスメタルスラッシュメタルとかそんなんばっかり聴いてたわけです。そりゃ、全然、初音ミク知らない時代遅れの人間になって当然だわ!
 
そして、これもまた奇跡的に初音ミクとニアミスを繰り返してきたエピソードなんですけど…私、そこそこアニメ好きなつもりだったんですが、初音ミク絡みのアーティストさんが手掛けた音楽が使われたアニメというのをことごとく観ていなくてですね…いや、supercellさんとかも名前だけは知っていて、そういう人達がアニメの主題歌を作ったりだとか、そういうムーブメントになっているのは何となく知っていたのですが、それも伝聞でしか知らず…肝心の音の方はこれまた全然接点がなかった(もしくは、偶然に出会っていたとしても感性にフィットせいず、気付かないままスルーをしていた)んです。
 
だから、今回「いなり、こんこん、恋いろは。」OPでkzさんが作られた「今日に恋色」がほぼ初めて聴いた"初音ミク的な音"なんです、自分の場合は。
 
 

初音ミクをほぼ知らない人間が聴いた「今日に恋色」


 
で、その「今日に恋色」。冒頭で書いたように本当に素晴らしい曲だと思います。ピアノとストリングスが中心になった楽曲で、メロディアスでスマートでありつつも、そこに早急でアタック感の強いエレクトロビートが絡まることで独特のフィーリングを持った楽曲に仕上がっている。この辺の音楽や機材に全く詳しくない上に、音感が良くないので打ち込みと生楽器のバランスがどうなっているのか全然分からないのですが…聴く限りでは音数が非常に多くて、とてもゴージャスでハイファイな音になっているとも思います。
 
何となく、初音ミク関連の音楽ってテクノポップを現代的にアップデートしたもの」であり「電子音のメロディーを重視した音楽」とかそんなんなんかなーというボンヤリしたイメージがあったんですが、やはり、この「今日に恋色」も独特(特にサビの部分の電子音のビート)。イントロの"チリチリ"とした音感のエレクトロっぽいサウンドも特徴的で、自分が今まで聴いてきた打ち込み主体のアニメソングとは、やっぱりどこか感触が異なる部分がある。故に、この辺の音楽に接したことがなかった自分にドンッとインパクトを持って飛び込んできたんでしょう。
 
May'nさんの声やヒアリングをした限りでは「いなり、こんこん、恋いろは。」の物語に沿った「神様」や「片思い」をテーマにした歌詞も良い。これは、本当にCDを買ってフルサイズで聴くのが楽しみなナンバーだな、と。YoutubeにアップをされたショートPVや「いなり」のOPを何度も再生してはワクワクしています。
 
さて、前述の様に初音ミクを知らなかった自分にも、初音ミクにまつわるクリエイターさんが作った楽曲がナチュラルに耳に入ってきて(いや、こっちのタイミングが悪くて物凄く遅くなってしまったんですが…)、しかもその曲のクオリティーに夢中になれるという、こんな時代遅れのオッサンにとっては本当に驚くべき時代になりました。何となく、その昔、「I'veを中心とするエロゲー文化圏のハードコアなデジタルロックサウンドや歌い手さんがアニメで活躍を始めた時」インパクトを思い出したりも。ある日、アニメを観ていたらそれまでの声優ソングやアニソンとはフィーリングが全然違う…KOTOKOさんや栗林みな実さんの曲がテレビから聴こえてきた時の衝撃をこの歳になって再体験。
 
もういい歳こいた自分としては、「ヴォーカロイドは若者の音楽」というイメージがあり、全くキャッチアップを出来ていなかったし、「何やってるか分からない、分からないから楽しめない」というポジションだったんですが、「いなり、こんこん、恋いろは。」を観て、ヴォーカロイド発信の音楽に触れ、しかも大変に強いインパクトと楽曲に対するグッドフィーリングを覚えました。こういう出会いの楽しさがあるから、自分はやはりアニメを観るのが好きなんだなと改めて。
 
いや、それにしても本当に良い曲です「今日に恋色」。また、本シングルと同時にリリースされるというMay'nさんのアルバムも楽しみ。こう…May'nさんに対しては、奥井雅美さんを彷彿とさせるというか「パワフルな声量と声質でロックっぽいアニメソングを歌うアーティストさん」という認識でいたんですが、最近はどんどん曲調も広がりを見せているようで、最近の活動の集大成を"アルバム"というマテリアルで聴けるのが非常に楽しみですね! もう、何というか、自分は「ViViD」が好き過ぎて、好き過ぎて…。
 
<May'n / ViViD>