30歳前後のヘヴィメタルファンに影響を与えたであろうアニメ、漫画作品
前回、こんなエントリを書かせたいただいたのですが、それに併せてちょっくら四方山話を。ヘヴィメタルにまつわるアニメや漫画、自分と同世代のヘヴィメタルファンの嗜好の基盤になったであろう作品について、アレやコレやと書いてみたいと思います。
■"ヘヴィメタル"との出会いのきっかけを与えてくれた漫画
ヘヴィメタルバンドの名前を作品内の人名やキーワードに引用をした漫画…といえば、個人的な体験として先ずは何はなくともこの作品の名前を挙げておきたい。荒木飛呂彦先生の「ジョジョの奇妙な冒険」。様々なロック、ポップスのミュージシャン、バンド名を作中の特殊能力"スタンド"や登場人物の名称にサンプリングをしていた本作。幅広いシーンからキーワードが用いられている為、ヘヴィメタル特化というわけではないんですが、それでもCheap TrickやAC/DC、QUEEN…といった王道のハードロックバンド、それからRATTやCinderellaの様なLAメタルの名バンド…の名前を元ネタに出会う前に教えてくれたのが、この漫画でした。
<RATT / Round And Round>
自分にとってHR/HM関連のバンド名の"刷り込み"をしてくれたのが「ジョジョの奇妙な冒険」。余談ですが、関西が誇るハードコアスラッシュバンド、RAZORS EDGEの中心人物であるケンジ・レイザーズもこの漫画の大ファンで、第二部に登場をする敵キャラ、エシディシから本家本元のAC/DCのファンになり、そのAC/DCの楽曲からバンド名を頂戴した…というエピソードが凄く好きで、少年時代に読んだ漫画作品が音楽嗜好のお手本になるのは音楽ファンも本職のバンドマンも同じなのだなぁと妙に感慨深く思ったりしたものです。
<RAZORS EDGE / TRAIN TRAIN TRAIN>
さて、同じジャンプ作品でも更にヘヴィメタに特化をした音楽ネタをやっていた漫画…といえば、やっぱりこれでしょう。
萩原一至先生の「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」ですね。
メジャーなハーロドックやヘヴィメタルバンドは勿論のこと、スラッシュメタル、ブラックメタル、デスメタル、グラインドコア…等など、あらゆるエクストリームメタル、アンダーグラウンドで活躍をするコアなバンドまで、様々なヘヴィメタルのサブジャンルにおける名バンド達を網羅して、それをキャラクター名や魔法の名称に使用をしていた本作ですが、そのグロテスクでエロティックな描写も相まって幼少期の自分にとってはまさに"大人"な漫画作品でした。そして、そこでも様々なヘヴィメタルのバンドに音を聴く前から出会い…今もブラックメタルとかスラッシュメタルとか、その辺の鋼鉄音楽文化圏に惹かれて止まないのは、この「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」が原体験にあるからではないかなぁ、なんて思うんです。
"バソリー"なんてバンド(というか、BathoryはほとんどQuorthon一人のプロジェクトみたいなもんですが…)がキャラクター名に引用をされた少年漫画なんて、まさに空前絶後の存在。他になかなかないでしょうね…。
■"ヘヴィメタル"との出会いのきっかけを与えてくれたアニメ
自分と同じ世代のメタラーならば、恐らくその音楽嗜好の出発点、ヘヴィメタルという稀有で特異な音楽ジャンルのファーストコンタクトとなっているであろう漫画を二作品紹介をしたところで、アニメ作品におけるヘヴィメタルの表現者としてやはりこの方の名前を挙げないわけにはいかないでしょう。そう、永野護さんですね。自身がデザインしたメカに"モーターヘッド"と名付ける音楽的な語彙力と知識。英国を代表するヘヴィメタル界の巨人、レミー・キルミスター率いるMotorheadの名前を知ったのは「ファイブスター物語」がきっかけでした。そもそも"ヘヴィメタル"という言葉自体も最初にその響きを耳にしたのは音楽ジャンルのそれではなく、「重戦機エルガイム」に登場をするロボットの総称でしたし。
どちらかというと永野さんの音楽的語彙はCANやAsh Ra Tempelなど、プログレ系のそれが多いんですが、"モーターヘッド"なんてカッコ良い響きの名前を持ったスタイリッシュなロボットを見せられて…そして、同名のこれまたカッコ良いバンドが現実にいるなんて知ったら、そりゃヘヴィメタファンになりますって!
<Motorhead / Rock Out>
あと、永野さんといえば、デザインで参加をされていた「機動戦士ガンダムZZ」なんかも、自分にとってはヘヴィメタルのイメージの基盤となった作品で。年代的には後追いになるんですが、80年代のヘアメタル全盛時代に作られたガンダム作品である「機動戦士ガンダムZZ」では、登場人物たちのキャラクター造形やファッションにヘヴィメタルの影響が垣間見える。
例えば、服の袖をカットしてやたらと腕を露出するファッションセンスだったり、カラフルでド派手な髪型の長髪だったり、ボンテージファッションだったり…中でも、"爆乳将軍"キャラ・スーンの存在なんかは、自分にとってのヘヴィメタルのイメージの原体験の一つ。アレ、まんまMotley CrueやBon Jovi的なLAメタル、ヘアメタルなんですよね。
<Motley Crue / Dr.Feelgood>
スタイリッシュな「Zガンダム」に比べると、ずっと重厚で巨大化したMSデザインの過剰さや前半のストーリー展開におけるやり過ぎたコメディ描写…なども、こうして観返してみるとヘヴィメタル的で、永野さんが関わったロボットアニメというのは、やっぱりヘヴィメタルのアーキタイプ的なイメージになっているんですよね、自分の場合。
■まとめ
そんなこんなで、自分と同世代の人達にとってヘヴィメタルの出会いになったであろう作品、クリエイターをご紹介。自分よりも上の世代だともっと違ったラインナップになるでしょうし、ヤングジェネレーションならば更に異なった作品、クリエイターの名前が挙がるんでしょうね。今時のメタルファンにとって、鋼鉄音楽に触れるきっかけとなった漫画やアニメが何なのかは気になるところ。あと、やっぱりこういう形での引用って色んな文化や表現に興味を持つきっかけになるものだと改めて思った次第です。幸福な出会いに感謝をしながら、今日も明日もStay Heavy Metal\m/