テレビアニメ『えとたま』のメタル・ジャスティス
■『えとたま』のヘヴィメタリックなオープニング曲
4月から放送を開始した春アニメの一つ『えとたま』。渡辺明夫さんによるキャラクターデザインや、とにかく可愛いくてキャラの立った女の娘がかしましくもひしめき合う様は、自分のようなオッサンのアニメファンにはどこか懐かしく感じるニュアンスがあり、妙な引力に引き寄せられて毎週欠かさず観てしまう一本。ダメダメ過ぎて、でも、そのダメダメさが三周半くらい回って可愛く思えてくる主役のにゃ〜たんとか、そのにゃ〜たんを演じる村川梨衣さんのエキセントリックさとか、しょっちゅうウリたんが死ぬ辺りのほんのりグロテスクな黒さとか、好きです、何だか。
そんな『えとたま』ですが、オープニング主題歌とエンディング曲も素晴らしいです。特に、OPの『リトライ☆ランデヴー』はJunkyさん作曲によるハイテンションなナンバーで、非常に自分が好きな曲調のナンバー。昨年、『未確認で進行形』で初めてJunkyさんのお名前を知ったような新規ファンなんですが、本当にJunkyさんはポップな曲を書かれるな、と。
<『えとたま』 / OPテーマ『リトライ☆ランデヴー』>
この曲の何が好きかって、ピコピコした電子音をメインに据えながらもギターの音が大きくフィーチャーされている、しかも、ちょっとメタリックな……ヘヴィメタル的な要素があるところです。
具体的には、最初にイントロを聴いた時に即座に連想したのがAndrew W.K.! イントロのあのヘヴィで激しいんだけど、カラッと明るいビートやハードなのにポップなメロディが、Andrew W.K.の"Party Hard(パーティー・一直線)"を彷彿とさせて、そこに、POLYSICSがミックスされた感じ。
<Andrew W.K. / Party Hard>
Andrew W.K. meets POLYSICSという非常に自分好みの音だなぁ、なんて思ったんです。こういうのを聴くと、『えとたま』という作品自体を思わずヘヴィメタルと結び付けたくなってしまうもの。しかし、残念ながらBGMやキャラクター造型など、他には作品にヘヴィメタル的な要素は見つけられず……。
こりゃ、ちょっと伝わりづらいニュアンスかなぁ、と思って『えとたま』とヘヴィメタルをクロスオーヴァーさせて語ることは諦めていたんです。
……ところがですよ、そこでトンデもないネタを『えとたま』という作品は持ち込んできたんです!
■『えとたま』キャラソンのロゴが、まさかの……!
というのが、『えとたま キャラクターソングミニアルバム1「激メシ!! わがにゃの晩ごはん」』というタイトルのキャラソンのミニアルバムがリリースされまして、番組でもそのCMが流れてきたんですが……。このアルバム、何故か、タイトルロゴがMETALLICA!
何故、『えとたま』みたいな美少女アニメのキャラソンでMETALLICAパロ!?
HR/HMの世界でナンバーワンのアルバムセールス数を誇るスラッシュメタル/ヘヴィメタルのモンスターバンドのロゴにオマージュを『えとたま』が捧げる意味は!?
というか、ジェームズやラーズやカークは、この事実を知っているのか? あと、元メンバーのジェイソン・ニューステッドは元気なのか!?
……などなど、メタラーとしては数々の疑問が一気に脳裏を過りますが、これ、更に収録曲で凄いことをやっちゃっています。というのが、METALLICAの一番売れたアルバムで『BLACK ALBUM』(※通称)という作品があるんですが、そこに収録されている楽曲"Through The Never"のパロディまでやっているんですよ!
<『えとたま』 / 『激メシ!! わがにゃの晩ごはん」』 PV>
<METALLICA / Through The Never>
一曲目『激メシ!! わがにゃの晩ごはん』サビに入る前の「牛! 鳥! 飯! 食え!!」っていう歌詞がですね、これが、まんま"Through The Never"のリリックへのオマージュなんです(あと、ギターリフも!)。
『タモリ倶楽部』の空耳アワーのコーナーで、「寿司! 鳥! 風呂! 寝ろ!!」という空耳によってお馴染みの"Through The Never"の歌詞。『えとたま』のキャラソンは、更に、それをネタとして引用しているんでしょうが、それでもそこでMETALLICAを持ってくるセンスが謎過ぎて痺れます!
ちなみに、"Through The Never"は、METALLICAのライヴをシュールな映像の数々を交えて映画化したライヴシーンとフィクションが交錯する不思議な映画のタイトルにも流用をされているナンバー。
METALLICAの代表曲の一つなんですが……まさか、日本でこんな使われ方をしているなんて、誰も想像できなかったでしょうね。