『石膏ボーイズ』の音楽にまつわるメモ - 寿福知之と満寿田ムーブマン






石膏ボーイズ』を彩る高クオリティーな音楽の数々。それらにまつわる周辺情報を、アレやコレやと自分なりにまとめてみました。


WEB上の各種情報を寄せ集めただけで、テキストとしての統一感もイマイチですが、あくまでも覚え書きとしての記録ということでご容赦ください。




■テクノなサウンドにも大注目の『石膏ボーイズ』!




石膏像がアイドルグループを結成するという風変わりなコメディが持ち味のアニメ『石膏ボーイズ』。


ビザールなギャグセンスとナンセンスな展開が本作の大きな見どころであり、また主役を演じる男性声優さんの美声も、このアニメが持つ引力となっています。


そして、そこに加えて観る者に強い印象を残すのが、その音楽ではないでしょうか?


近年、音楽シーンで隆盛を誇っているEDM的な要素を感じさせるテクノナンバーな主題歌『星空ランデブー』を筆頭に、劇中ではテクノサウンドが鳴り響き、トリッキーなキャラクターやストーリーと相まって、独特な世界観を構築しています。


■シュールで不条理で石膏なのに、でもテクノなアニメ『石膏ボーイズ』


BGMや『星空ランデブー』の作曲を手掛けているのは、満寿田ムーブマンさんという作曲家さん。恐らくは、どなたかの変名で、アニメ公式のアナウンスを見てみても「クラブシーンを中心に活動するという謎のクリエイター」というイントロダクションがなされており、その存在は謎のベールに包まれています。


■満寿田ムーブマン / Masuda Moveman (SOUNDCLOUD)
■満寿田ムーブマン (@masudamoveman) | Twitter


同名でのSound Cloudとtwitterアカウントは存在していますが、その正体を特定できるような情報は、そのどちらでもアウトプットされておらず……とにかく秘匿性が高いミュージシャンです。




■音楽プロデューサーの寿福知之さんに注目!

とはいえ、周辺情報を色々と見ていくと、この『石膏ボーイズ』にまつわる様々な情報が朧気ながらも見えてきます。


先ず、今作で音楽プロデューサーを務める寿福知之さんに注目してみましょう。





福寿さんは、KADOKAWAが展開するメディアファクトリーで音楽ディレクター、プロデューサーとして活躍されている方。この『石膏ボーイズ』の他にも、昨年放映された幾原邦彦監督の『ユリ熊嵐』で、アニメ作品の音楽ディレクションを行われていたようです。


非常にカッコのよろしいテクノ・ミュージックを聴くことができる『石膏ボーイズ』。完全に憶測になってしまいますが、この辺りの音楽的エッセンスは、寿福知之さんの辣腕によるところが大きいのかな、と。


『星空ランデブー』の作詞を『ユリ熊嵐』の主題歌を担当したボンジュール鈴木さんが手掛けているのも、もしかしたら福寿さんによる繋がりなのかもしれないですね。


現に、メディアファクトリーで、GOON TRAXやCLUSTER SOUNDSといったレーベルを運営しており、そこからテクノやクラブ系の音源を多数リリースされているようです。寿福さんのそうした音楽的バックボーンが、音楽プロデューサーとして携わっている『石膏ボーイズ』でも存分に発揮されているのではないでしょうか?




■テクノだけでなく、ロック、メタル系レーベルも運営

おもしろいのが、福寿さんは、前述のレーベルからテクノやヒップホップのようなクラブサウンドを世に送り出す一方で、日本のHEAD PHONES PRESIDENTも音源をリリースしているRadtone MUSICというバリバリのロック系レーベルも運営されていることです。


<HEAD PHONES PRESIDENT / Stand In The World>



Radtone MUSICからは、メロコアエモコアスクリーモメタルコアといったパンク、ハードコア系のバンドのアルバムがリリースされており、この辺りからも寿福さんの幅広い音楽嗜好とフリーダムな音楽的センスが見て取れます。


■音楽とはエモーショナルであるべし|ジャンルを超えたEMOソング10曲(MUSICSHELF)


WEB上に残されている音楽エッセイでは、往年の名エモコアバンドについてのテキストも残されています。オススメするバンドが、LIFETIMEにMINERAL、The Get Up Kidsエモコア好きな方なら、もう、この時点で共感必至ではないでしょうか?


The Get Up Kids / Holiday>



エモやパンクやハードコアの音源をリリースしているレーベルのディレクターが、同時にテクノやヒップホップのようなクラブ系の音楽にも明るく、イベントのオーガナイズやコンピレーションアルバムをヒットさせているのが何ともユニークですし、そんな方がアニメの音楽にも関わっているというのも非常にユニーク!


石膏ボーイズ』を観る時は、寿福さんのお名前を意識して、関連音源をチェックして観てみると、また色々と注目すべきポイントが見えてくると思います。




■満寿田ムーブマンペンネームの由来は?

と、ここまで書いたところで、本作の音楽を考える上で一番の謎である「満寿田ムーブマンさんって、一体、誰なのか?」という疑問は全く解けません……。ただ、その疑問に対して全くクリティカルな指摘ではないのですが、ちょっとだけ気になった点があったので、こちらも一応覚え書きを。完全に憶測です。憶測による考察ですね。





本作では、きゃりーぱみゅぱみゅさんをモデルにしたキャラクター、花屋敷ミラが登場します。このミラさん、ルックスは勿論のこと、年齢もきゃりーさんと同い年(現在、きゃりーぱみゅぱみゅさんは、23歳ですが、アニメにミラさんが初登場した時点では未だ22歳)。完全に、きゃりーさんに"寄せている"人物造型なのです。





そして、きゃりーぱみゅぱみゅさんのあの個性的なファッションをプロデュースしているデザイナーといえば、増田セバスチャンさん。


増田と満寿田で、どちらも"ますだ"。満寿田ムーブマンという摩訶不思議なペンネーム(ステージネーム?)も、元ネタはここから来ているのかもしれません。もしかしたら、この辺りもきゃりーぱみゅぱみゅさんを意識して色々と世界観を作ってきているのかな、と……。


その独特な響きが気になって仕方がなかった満寿田ムーブマンさんですが、その元ネタは、もしかしたら増田セバスチャンさんときゃりーさんを意識していたりするのかもしれませんね。




■最後に

とりとめもなく『石膏ボーイズ』の音楽について書いてみましたが、寿福さんのディレクションが本作にとっても大きな見どころ、聴きどころになっているように感じました。


どこかで、本作にまつわる音楽の話を色々と製作者さんから聞いてみたいものですよね。