エロ漫画ではなく、敢えてエロ漫画誌で連載されてるギャグ漫画について語るぜ!

 
ネットで最近目にすることが多くなったエロ漫画関連のエントリや書評を見る度に、エロ漫画好きの端くれ(ジョン・K・ペー太先生と、工藤洋先生の熱狂的なファン)として胸に熱いものが込み上げてしまい、「俺も、何か語りたい!」という気持ちになってしょうがないです。
 
が、所詮自分の知識なんてたかが知れているし、そもそも自分の趣味、嗜好の範囲の中で嗜んでいるくらいだから、そこまで詳しくないし…などと、にったじゅん先生の漫画における童貞少年の如く思い切りが付かないまま、モニターの前でモジモジしていたのですが、ふと「エロ漫画誌で連載されてるギャグ漫画」をテーマにしてエントリを書く事を思いつきました。
 
そこで、自分が知っている限り&調べた限りで「エロ漫画誌で連載されているギャグ漫画」をまとめてみましたよ!
 
自分なりに頑張ってはみたんですが、それでも何かを忘れているような…。「アレがねぇよ!」とか「コレを忘れているじゃないか!」なんて意見がありましたら、コメント欄等でご指摘いただけると幸いです。
あと、「快楽天」で連載中の道満晴明先生の漫画に関しては「毎回、性的シーンがあること」「ギャグ漫画としてくくるには、余りにも表現が突き抜けていること」を理由に、今回のまとめからは外しました。アレは、誰か早く的確なカテゴライズをしてください!
 
 

ますだ直紀「LADYリンクス」(コミック阿口云


僕が×学生の頃から「阿口云」で連載されている女子プロレス漫画。
プロレス漫画といっても、ネタはベテラン作家らしく、特撮、SFのパロディが中心になっています。
出てくるキャラクターも、みんな個性的で可愛いんですよね。ちなみに僕は、井上さんが可愛くて好きです。時折、お色気もあり。
ショートコミックですが、毎回カラーなのが特徴。何気に、現在連載されているエロ漫画系ギャグ漫画の最古参なんじゃないですかね?
4巻まで出ている単行本は、現在のところ残念ながら全て廃版のようです…。
 
 

新条るる「Punch drunk Love」(漫画ばんがいち


 
太田虎一郎先生の「宇宙の法則 世界の基本」の連載が終了した現在、
宇宙の法則世界の基本 先手オレ編

宇宙の法則世界の基本 先手オレ編

ばんがいち」唯一の連載ギャグ漫画になっている、新条るる先生のカラー四コマ。
ギャグ漫画が「宇宙の法則 世界の基本」と、この方の「パンパレード」の二本立てだった頃の「ばんがいち」が懐かしいなぁ…。
パンパレード・ファイナル

パンパレード・ファイナル

人魚のユナが、主人公ユーマの元に押しかけて来たことから始まるドタバタな日常を綴った、四コマ漫画
新条るる漫画の特徴である二等身にデフォルトされたキャラはラブリーだけど、「パンパレード」に比べるとお色気&ちょっぴりお下劣なネタが多めなのが素敵(笑)。
タイトルは、ポール・トーマス・アンダーソンの映画からの引用かな?
パンチドランク・ラブ

パンチドランク・ラブ

単行本は未発売ですが、連載をまとめた同人誌がこちらのページで購入できるようです。
 
 

樹るう「わたしのお嬢様」(桃姫)


 
女流四コマ漫画家界のエース、樹るう先生が送る「なんちゃってヴィクトリアンホームコメディ」。
しっかりもののお嬢様、メリーが、従者であるドジッ娘メイド、ミリアムと共に送るドタバタな日常を描く四コマ漫画
四コマ漫画なので基本的には一本毎にオチが付いているものの、全体的にはストーリー漫画の体裁をとっているのが特徴。
メイドものの漫画ですが、女性が描いているためか過剰さはなく、「ハウス名作劇場」で描かれるヴィクトリア時代のロンドンの風景を見ているかのような温かみがあります。個人的には、メリアムとステア先生の恋(?)の行方にドキドキです。
わたしのお嬢様 株取引のお嬢様編

わたしのお嬢様 株取引のお嬢様編

単行本は、現在までに2冊が発売中。しまった! まだ、2巻を買ってない!
 
 

早野りんた「すくーるライフ」(ペンギンクラブ


 
「バズーカヴィーナス」〜「ペンギンクラブ山賊版」〜「ペンギンクラブ」と辰巳出版系の成年漫画雑誌を渡り歩いている、毎度同じみ、流浪の四コマ漫画「すくーるライフ」でございます。(by タモリ
いや〜僕、大好きなんですよ、「すくーるライフ」*1
化け猫で教師の真田シロ先生を中心に、その受け持ちの女子高生達が送るゆるゆるな日常を描く、いわゆる「萌え四コマ」なのですが、マッタリしつつも劇中でのギャグの数々はキッチリ笑わせてくれるので、なんと言うか安心して読めるんですよね。
ネタの特徴としては、オタク系のキャラクター(もちろん女の子)が数人いるため、アニメや漫画などのそっち系のギャグが多目かな? と思います。
廃刊、移籍、と掲載誌を変えながらも、連載が長期で続いていまして、そのかいあって今春には、単行本が発売されるとのことです。わ〜い! やったね!
 
ちなみに、作者である「ペンギンクラブの裏番」こと早野りんた先生は、ペンクラでインタビューコーナーの漫画とwebで「すくーるライフ」の番外編も連載中。
また、エロ漫画+ヌードグラビア+DVDな成人雑誌マガジンWOoooo!Z」でも、「制服とGペン」というギャグ漫画を連載されています。
 
 

金平守人「とりあえずそれで」(COMIC XO)


 
エロ漫画の他にも、お馬鹿な企画モノや、アングラ系のニュースを紹介するページなど、サブカル成分多目なCOMIC XOらしいレポ漫画。
オタク系の文化に対して、自虐的かつ的確なツッコミを入れる金平先生の本領発揮な内容で、毎回笑わせてくれます。
エロ漫画界の「カオスだもんね!」に成りえるか!?
あと、エロ漫画雑誌で連載持ちつつ「月刊コミックビーム」でも漫画描いてる、金平先生は凄いな!
カラスヤサトシ先生と並んで、僕の中では金平先生のことを「オタク界のオルタナティブ」と呼んでいます。
 
 

うさくん「マコちゃん絵日記」(COMIC LO)


 
「COMIC LO」という媒体に対して、「うさくん」という表現者の適用が適材適所すぎる一本。
うさくん先生、LOではエロ漫画も発表していましたが、同じ雑誌で、エロとギャグ両方描いてるっていうのも結構珍しい例じゃないですかね?
どなたか、前例ってありましたっけ?
秋川康一先生が、昔「ポプリクラブ」でギャグ漫画とエロ漫画を、両方発表していたような…。
とにかく、「エロ」と「ギャグ」両方こなせるという、うさくん先生の特異な漫画センスが垣間見える作品。
いや、もちろん、そこはうさくん先生なんで「マコちゃん絵日記」も「ロリコン」目線から描かれてはいるんですが、ラブラブHが中心のエロ漫画作品と比べてみると、ギャグがナンセンス過ぎ! このふり幅は凄いです!
 
今春、単行本が発売されますが、成人向けではないレーベルを茜新社が新たに設立して、その新レーベルから発売されるそうです。アレですね。コアマガジンにおける「HYPER HOT MILKコミックス」みたいなものですね。
ZAZEN BOYS が作品発表のために、敢えてメジャーを離れ「MATSURI STUDIO」っていうインディーレーベルを立ち上げる、みたいな(全然、違う)。
うさくんは、かっこいいなぁ…。
 
 

■G=ヒコロウ「コアマガのGOREちゃん」(ホットミルク)


 
破壊的な言語感覚とギャグセンス、パロディと呼ぶにはマニアック過ぎる引用が持ち味のG=ヒコロウ先生の漫画センスが遺憾なく発揮されたオマケ漫画。
エロ漫画雑誌に連載されているギャグ漫画って、巻末にあるのが普通ですが、この漫画は読者投稿ページでヒッソリと(というにはアクが強すぎますが)連載されています。
一応、アガツちゃんとゴアちゃん(だっけ?)という主人公がいるにはいるのですが、ストーリーとかは全くないので、深く考えずG=ヒコロウワールドに脳内をグチャグチャかき回されるのが吉。
同じくコアマガジンの成年漫画雑誌「コミックメガストアH」では、「1P田中さん」という1P漫画を連載中のヒコロウ先生。どちらも、単行本でまとめて読めるのは、いつの日になることやら…。
 
「こんな連載ペースで、ヒコロウって食えてるの?」
 
「パンとかね」
 
 

古賀亮一「新ゲノム」(コミックメガストア


 
みんな大好き「悪い子の学習漫画」ゲノム!
主人公のパクマンを中心に繰り広げられるドタバタセクハラギャグの数々は、確実にギャグ漫画誌に多大な影響を残しているハズ。
エロ漫画系ギャグ漫画の中でも、一番の知名度を誇る人気作品ではないでしょうか?
この作品は、もう説明不要ですよね。
ビブロスから刊行された単行本は現在廃版ですが、メガストア移籍後の掲載分は順調に刊行中です。
新ゲノム 2 (メガストアコミックス)

新ゲノム 2 (メガストアコミックス)

 
 

■五月五日「かるかん!」(COMIC 0EX)


 
人型愛玩用動物(PP)と飼い主である人間たちとの生活を描いた、ストーリーもののショートコミック。
何より、五月五日先生の画力が凄い!
美少女絵、アニメ絵なんですが、胸やお尻が強調されたリアルな頭身と、極端にデフォルメされた二頭身の絵を使い分け、ギャグとストーリーにメリハリをつけるのが抜群に上手いと思います。
また、この手の漫画としては、登場キャラクターが多いのも特徴ですが、それぞれにキャラクターが立っていて、キチンと整理されている印象を受けますね。
オフィシャルHPでも、特別にページを設けていて期待値の高さが窺えたり。
単行本は、現在までに一巻が出ており、今年の3月には二巻が出版される予定です。
かるかん! (HYPER HOT MILKコミックスシリーズ 28)

かるかん! (HYPER HOT MILKコミックスシリーズ 28)

 
 

■逸架ぱする「こーしょー19さい」(メンズヤング


 
逸架ぱずる先生が、「カエル王子」
カエル王子 (アクションコミックス)

カエル王子 (アクションコミックス)

「おなじ穴のムジナ」に続いて「メンズヤング」で連載を開始した四コマ漫画
 
いや、僕、逸架ぱする先生の大ファンなんですよ。
 
芳文社」や「竹書房」なんかの四コマ誌でも連載の経験がある逸架先生。やはり、四コマという漫画の描き方や特性の使い方がもの凄く上手いんですよね。
美少女漫画出身の漫画さんとは、また違った個性があり、その辺を読み比べてみるとおもしろいです。
逸架先生は漫画によって、高い頭身と漫画っぽい低い頭身(青樹うめ先生言うところの「ヘチョ顔」くらいの)を使い分けていらっしゃるんですが、この「小学生の女の子が声優として活躍する」という四コマ「こーしょー19さい」は高い頭身でキャラクターが描かれています。
以前にメンスヤングで連載されていた「カエル王子」も「おなじ穴のムジナ」も低い頭身で描かれた漫画だったので、もしかしたら前2作とは違った方向に行くのかな? という点も含めて毎月楽しみにしています。
もちろん「カエル王子」も「ムジナ」も大好きだったんですけどね。特に、ムジナの名古屋弁少女、みそちゃんが可愛くて好きでしたね(笑)。
 
 

ヘラダミツル「あんりあるぷらいまる」(コミックアンリアル


 
アンリアルで最近連載が始まった、エロ漫画系ギャグ漫画界の新鋭ヘラダミツル先生。
「アンリアル」というエロ漫画界隈の中でも、かなりオタク色の強く「濃い」雑誌での連載ということで、始まる前はちょっと不安だったのですが、雑誌の色との兼ね合いはともかくとして、可愛らしいキャラクター、天才少女や魔王の息子など、ヘンテコなキャラクター満載の学園ものということで、「まんがタイムきらら」辺りで連載をしてもおかしくないような作風は、まさに現代的なもの。
このモダンなセンスが、エロ漫画界に新たな風を呼び込むか? と思いきや、連載数話目にして「ネタが切れた」との理由から(!)、作者本人が漫画の中に登場(これも、凄い)。
しかも、そこでやった破滅的なオタクネタが凄まじく、何だったらこの路線で漫画描いて欲しいくらいにおもしろかったんですよね(笑)。
 

 
この人、もしかしたら大化けするかもしれません(笑)
 
 

■まとめみたいなもの

「エロ漫画誌」における「ギャグ漫画」、皆さんもお気に入りの作品がいくつかあると思います。
 
この手の漫画って、やはりエロ漫画誌の「オマケ」「エロの間の箸休め」的な扱いを受けることがほとんどで、なかなかスポットライトが当たりにくいジャンルです。かといって、こういった作品が全面に出すぎるのも何だか違う気がしますし(もちろん、おもしろいギャグ漫画が読めれば、こんなに嬉しいことはありませんが)、やはりエロの間における一服の清涼剤的な立ち位置みたいなものが求められてると思うんですね。
 
ただ、この辺のギャグ漫画って、一般少年誌で連載されている漫画に比べて、掲載誌の特色を活かし微妙にマニアックなネタをつくことができたり、ちょっとオルタナティヴな雰囲気のする笑いが許容される(例えば、G=ヒコロウ先生や、金平守人先生のような)っていう強みがあると思うんですよ。
 
私見ですが、「秋葉ブーム」以降スタンダードになった、オタク向けのニッチな笑いやギャグ漫画って、90年代くらいまでは、エロ漫画誌の専売特許だったという印象があります。それは例えば、古賀亮一先生であり、すがわらくにゆき先生であり…。
 
イチ、「エロ漫画系ギャグ漫画」のファンとして、こうした掲載誌が「濃い」雑誌故に生まれる独特なギャグセンスは、とても興味深いですし、おもしろいと感じます。
 
何より、こうした場所でも、本気で笑いをとりにいこうとしている人たちがいる! っていうのが、自分の中では感動的だったりするのです。胸と笑いのツボを同時につかれるんですよ。
 
 <関連エントリ>
■2008年度、私的エロ漫画ベスト10!

*1:「すくーるライフ」が「山賊版」から「無印ペンクラ」に移ったのを理由にペンクラは「山賊版」から「無印」に購入誌を変更したくらい