深淵なる、US HRADCORE PUNKの世界。

 最近、MINISTRYにハマっている。
陰鬱ながらも高質なサウンドと絶叫ボーカルが、なんともカッコ良いのだ。
オリジナル・アルバムを3枚程聴いて、どれも良かったので、調子に乗って初期音源集なんぞも買ってみた。
Side Trax
MINISTRY / SIDE TRAX
PAILHEAD、1000 HOMO DJS、PTP、ACID HORSE、メンバーのサイドプロジェクトの音源を集めた編集盤だ。
 どのバンドも、音圧がデカくて、最高やな〜。とか思いながら、家でヘラヘラ聴いておったのですが、聴いてるうちに妙な既視感に囚われる(音楽なんだから、この場合は「既聴感」とでもいうべきかな)。


 ん?


 このPILEHEADってバンドのボーカルの声、どこかで聴いたことがある気が・・・。
 なんの気なしに、CDのライナーを眺めていた、tunderealrovskiさん。そこに書かれていたメンバーの名前を見て久方ぶりに、ブったまげました!
 衝撃の余り、思わず、
Beyond (Dig)
↑こんな感じに!


 あ〜、このバンドでボーカルとってんのって、DC HARDCOREシーンの象徴的バンド、Minor Threatの元ボーカルで、その後、FUGAZIを結成し、エモーショナル・ハードコアの礎を築いた伝説的パンクス、イアン・マッケイその人じゃないですか〜!


 衝撃の余り、思わず漫画「キン肉マン」におけるテリーマンの如き、過剰な説明セリフになっちまったぜ!
 「そういえば、聞いたことがある!」(byテリーマン


 いや〜、この事実には、さすがの猿飛否さすがの僕も、興奮を抑えきれなかったね!
 気持ちを落ちつけるために、思わず録画していた「ARIA」第二シーズン(最上級のチルアウトアニメ)を見返した程だ!・・・あぁ、アテナ先輩は可愛いなぁ・・・(恍惚)。


 ・・・はっ!


 いかん、いかん、二次元の美少女に萌えている場合ではなかった。Ministryの話だ。
 よく見れば、PILEHEADのメンバーには、これまた80's US HARDCORE畑のバンドNaked Raygunのメンバーも名を連ねているし、Ministryのサイド・プロジェクトと言えば、元DEAD KENNEDYSのジェロ・ビアフラとタッグを組んだ、LARDなんてバンドも存在する。
Last Temptation of Reid
LARD / The Last Temptation of Reid
 どうやら、インダストリアル・ミュージックとUS HARDCORE PUNKは、なかなかに相性が良いらしい・・・というか、手元にあるサンプルがMinistry関連のものばかりなので、早計な判断は禁物なのだが、両者は表現の方法としてかなり近似したものだったのではないだろうか?
 UK HARDCOREが極端に速度を追及し、最終的にNapalm Deathに代表されるグラインド・コアを生み出した後、革新的な音楽として働きを一先ず終息し、ゆっくりとその影響力を弱めていったの対し、US HARDCOREは、90年代以降もオルタナティヴ・ミュージックシーンに多大な影響を与え、現在でもアンダーグラウンドシーンでは進化を続け、メジャーシーンにも影響力という点で今なお爪痕を残している。
 UK HARDCOREが速さを追求したのに対し、US HARDCOREが重さで対抗しようとしていたと考えれば、Ministryのようなエレクトリック畑出身のバンドと、ハードコアパンクの連中が関わりを持ったのもなんとなく合点がいく気がするのだ。


 それに何より、エレクトリック畑の人と簡単につるんじゃう、US HARDCOREの自由さが実に清々しくて気持ち良いのだ。
 まぁ、イギリスのバンドでも、SIGUE SIGE SPUTNIKのギターは、元GENERATION Xのトニー・ジェイムスだとか、BIG AUDIO DYNAMITEの中心人物は、元CLASHのミック・ジョーンズだとか、個別な例は色々あるのだろうが、アメリカのバンド程自由ではなかったのではないだろうか?
 この自由さこそが、スティーヴ・アルビニ(元BIG BLACK、元RapemanShellac)やジョン・マッケンタイア(元バストロTortoise)のようなハードコア出身者が、オルタナティヴ、ポストロックといった新たなムーブメントを築きあげていく原動力となったのではないだろうか?


 思い込みだけで、つらつらと駄文を書き連ねてみたけど、US HARDCORE+インダストリアルという、Ministryのサイドプロジェクトの数々の破壊力は凄まじい。
 その破壊力を生み出したのは、US HARDCOREの豊潤な土壌と、Ministryが打ち出した新しいエレクトロ・ミュージックの革新性なんだろうな。
 ・・・深いぜ。


LARDの音源、貼っとく〜。この音はヤバい!凶暴過ぎ!

LARD / FOLK BOY
インダスなのに、スケボーのPVに使われてるっていうのが、フリーダム!