ヴィム・ヴェンダースでシミジミする。
ヴィム・ヴェンダースの初期監督作品である「ことの次第」と「さすらい」という2本の映画をDVDで観る。
余りのエモーショナルさに、かなりやられる。
しがない会社勤めの僕には、「さすらい」の主人公のように、朝は全裸でコーヒーを飲み、映画館から映画館へキャンピングカーで移動をし、その辺でもモリモリと野○ソをするという生き様にありえない程のフリーダムを感じたが、よりグッときたのは「ことの次第」の方であった。
この物語の主人公である映画監督は「映画には物語は必要ない」ひいては「物語は人生にも必要ない。『死』は最上級の物語なのだから、それすらも必要ない」という持論を展開する。
映画制作の現場で語られる思想なので、芸術論として展開されているが、これ良く考えたら、かなりアナーキーな物の考え方である。
しかも、件の主人公は話が進む中で、いつの間にか物語の中へと取り込まれて行き、唐突に映画は主人公の死をもって終わってしまうのだ。
これは何だ?悲劇か?もしかしたら喜劇なのだろうか?
判断は人それぞれだろうが、僕は見ていてなんだかジーンときた。
ヴィム・ヴェンダースの映画は、いつだって最大級のエモーションを孕んでいる。