歌舞伎町で「シューテム・アップ」を見る。


 歌舞伎町で、クライヴ・オーウェン主演の映画「シューテム・アップ」を観てきた。


「シューテム・アップ(SHOOT 'EM UP)」オフィシャルHP


 正直、観る前はさほど期待してなかったんだが、


 いや〜、


 この映画にはヤラれたね! メチャクチャ、おもしろかった!


 一言で言えば、「お笑い色の強いハチャメチャなガン・アクション映画」なんだが、ギャグギリギリの無茶なアクションシーンとストーリーがイチイチツボにはまってしまい、観賞中、何度か声に出して笑ってしまった。


 主なストーリーはこうだ。
 クライヴ・オーウェン演ずる一匹狼の凄腕ガンマンが成り行きから、赤ん坊を守ることになる。赤ん坊の命を奪わんと、マフィアと、謎の組織が彼の行く先々で銃撃戦を挑んでくる。
 果して、赤ん坊の正体は? そして、この事件の裏に隠された真実とは?


 如何にもB級ガンアクションって感じだが、うん、確かにB級ガンアクションなんだけど、その針の振り切れ具合は、ずば抜けていて、見ていて何とも爽快なのだ。
 「赤ん坊を守るクライヴ・オーウェン」と書くと、おぉ! これは、名作SF映画トゥモロー・ワールド」まんまではないか。
 ただし、「シューテム・アップ」におけるクライヴ・オーウェンは、「トゥモロー・ワールド」でのそれとは全く違い、めちゃくちゃにアグレッシヴ。銃で、ガンガン敵を殺していきます。
 まず、インパクトがあるのは序盤のシーン、バス亭でニンジンをボリボリ齧っているクライヴさん。と、そこへ男に追われた妊婦が走ってくる。思わず、後を追い妊婦が逃げ込んだ廃墟の中へ入っていくと、そこには女に向かってナイフを振りかざす男の姿が…。
 義憤にかられたクライヴさん、やにわに男の口に齧っていたニンジンを突っ込むと、パンチ一閃!


 そしたら、ニンジンが男の脳天を貫通します。


 そして、一言…。


 「もっと野菜を食え」


いやいやいやいやいや(出川哲郎バリの表情で)、有りえねぇし!


 何、馬鹿なことやってんだ、クライヴ・オーウェン
 どんだけ、固いニンジンなんだよ!という当然のツッコミは、この映画に対してはヤボってもんです。しかも、後々このニンジンが、重要な役割を果たすことになるのです。いきなりハチャメチャですが、ぶっちゃけこんなの只の前フリですから。


 その後も、モニカ・ベルリッチが「授乳プレイを専門に行う風俗嬢」役で出てきたり(しかも、ヒロイン)、赤ん坊がヘビメタを聴くと泣き止むことから「この子の親はヘビメタル専門のライブハウスに居たに違いない!」と強引に決め付けたり、敵組織のボスが主人公の行く先々に現れる理由を「元FBIのプロファイラーで、相手がどこにいるか分かってしまう」というご都合主義にも程がある無茶な解説でストーリーを進めたりと、イチイチ破綻があって、もうしっちゃかめっちゃかなんだけど、映画のラストまで無理やりパワーで押し切っちゃうのだ。


 いや、ご都合主義もあそこまで徹底したら、もはや立派なプロットだよ。うん。


 で、劇中の一番の見せ場であるガン・アクションシーンなんだけど、これがもう良い意味でも悪い意味でも圧巻!
 あんまり書くとネタバレになっちゃうからアレだけど、見ていて素朴に「よくこんな馬鹿なシーン思いつくな〜」とシミジミと感心しました。いや、茶化してんじゃなくて、マジに。


 何と言うか、一言で言って「中二の男子が夏休みに自転車で観に行く」のにピッタリな映画だと思います。理屈がいらないエンターテインメントというか、ホント、そんな感じ。
 俺が、中二の時にこの映画を観てたら、「やべ〜ちょ〜カッケ〜〜」ってなって、たぶん次の日ニンジンをボリボリ齧って、クラスの女子に白い目(ジョン・カーペンターがリメイクしない方)で見られていたと思います。
 いや、実は24歳になった今も、見た直後はやっぱ「やべ〜ちょ〜カッケ〜〜」ってなってたんですけどね(笑)お恥ずかしい…。


 とにかく、大人になっても永遠の中学生マインドを持っている男子と、日本全国の現役中学生は必見の一本だと思います。
 惜しむらくは、R-15指定なんで中学生は劇場で観れないことか、怒!


 あと、劇中で流れるBGMがヘビメタだったのが素晴らしかった! しかもMOTORHEADとかベタなヤツ!
 やっぱ、アクション映画のBGMはヘビメタだよね! ギャングスタ・ラップなんてもっての他! 男の映画にはヘビメタが似合うのだ。
 観れる方は、ぜひぜひ劇場でこの濃すぎる映画を堪能していただきたい。そして、大いに呆れるか、ハマルかで、あなたの中学生マインドを試す試金石となる一本です。