「BUSTER COMIC」 2009年5月号の感想文です

 
成年漫画雑誌の感想文ということで、以下隠しておきます。
ちょっとだけネタバレや画像もあったりするんで、そういうのに不快感を感じない変態紳士のみ以下をクリックで!
 
 
ティーアイネットの「BUSTER COMIC」5月号を購入しました。
 

 
今までは「MUJIN」の増刊号扱いだったのが、今号から、めでたく独立創刊。
成年漫画雑誌でも、「LO」の感想とかは、web上で結構目にする機会が多いのですが(愛されてるなぁ、「LO」は)、「BUSTER COMIC」の感想ってあんまり見かけない気がするので、今回は独立創刊の喜びも込めて、自分なりに掲載作品の感想なんかを書いてみようと思います。おぉっ! なんか、いかにもBlogっぽいっ!
 
といっても、今後も「BUSTER COMIC」の感想文を書き続けるかどうかは分かりません。何故なら、隔月刊の雑誌なので、二ヵ月後には前号の感想を書いたことをスッカリ忘れてそうだからです!
 
ホント、私の馬鹿さ加減に比べたら、パリス・ヒルトンなんて賢い方ですよ。
 
とにかく、そんな馬鹿(ビジュアル的には、上はタンクトップ、下は半ズボンで、鼻から青っパナを垂らしながら、頭は勿論イガグリ坊主)が、一生懸命キーボードを叩く感じでGO! しかも、よく見たら、キーボードじゃなくて、洗濯板だった!
 
■工藤 洋 / 真夜中の豊問者
独立創刊第一号の刊頭カラーは、私が大ファンである工藤 洋先生! いや〜コレは凄い嬉しかったです!
リニューアル第一号だからか(?)、今号は連載中の「ふぞろいと初恋」ではなく、短編の作品でした。
 

 
カラーページを見てビックリしたのが、工藤先生がいわゆる「アヘ顔」を描いていること!
個人的に、「アヘ顔」特有の、あの「IWGPのトーナメントでハルク・ホーガンのアックスボンバーくらって、ベロ出し失神した時のアントニオ猪木」みたいな顔が、工藤作品のイメージと噛み合わなかったので、驚きの余り、坂口征二の如く「人間不信」という置き手紙を残して新日本プロレスを去ろうとしたのですが(ゴメン、完全にプロレスファン以外、置いてけぼり)、そこは工藤先生!
実は、この乱れまくりの女の子の姿は、モテない主人公のエロ妄想でした、というお話。
 

 
工藤先生の描く男子は、ホントに情けなくてカッコ悪くていいなぁ。
 

 
で、この後、エロ妄想の餌食にしていたグラビアアイドルが、どういうわけだか主人公の家に転がり込んできて、「そういう行為」に発展していくんですけど、この時のヒロインの反応が一番の見所。
果して、散々逞しくしたエロ妄想の通り、この娘はアヘ顔して、淫らに乱れまくるのか? それとも、違うのか?
この辺の対比の描き方が見事で、「アヘ顔」っていう流行を巧みに取り入れつつも、しっかり自分の色を出している辺りが、本当に素晴らしいです。工藤先生って、ホントこの辺の妄想力に満ちているというか、展開やキャラクターの描き方が上手いよなぁ。
 
菊一もんじ / 犬と私の獣の約束
連載の「尿道ランナー」(にょーどらんなー)が前号で終了し、今号は短編。「犬と私の獣の約束」と書いて「いぬとわたしのじゅうのやくそく」と読ませます。

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尿道ランナー」もそうだけど、菊一もんじ先生は言語感覚が秀逸過ぎる!
中身はタイトル通り、獣×モノです。×姦て! 毎度毎度の痛々しい性描写は、この辺に全く性的興味がない人間が読んでも、結構おもしろいです。個人的には「へ〜、犬の生殖器ってこうなってんねや」という勉強にはなりました。
 
ZUKI樹 / 匣中の思い出〈後編〉
他紙では、ラブラブな成年漫画を描いているのに、ティーアイネット系の漫画雑誌では恥辱と陵辱の限りを尽くしているZUKI樹先生。
ニック・ボックウィンクルは優れたプロレスラーの条件として、「相手がワルツを踊ればワルツを、ジルバを踊ればジルバを」という名言を残しましたが、ZUKI樹先生の場合は作風に、町内会の盆踊りと、ハードコアパンクのライブでのポゴダンスくらいの乖離があると思います。掲載誌によって、ここまで変えられるのも凄いな。
 

 
読み手の感情移入を拒む、鬼畜な主人公と、そんな女の子に尽くす女の子の冷徹な対比が残酷。
エレベーターが物語の舞台になっているんですが、エレベーターの閉鎖性が、作品になんともいえないダークな雰囲気を加味していて素晴らしいです。アニメや映画でも、エレベーターを、演出に上手く使っている作品ってありますよね。「殺しのドレス」とか「ローズマリーの赤ちゃん」とか。
 
まるキ堂 / 餌食のせんせい〈前編〉
単行本出た後も飛ばすなぁ〜。
 
有賀冬 / Bitter & Sugar〈第3話〉
号によっては表紙を担当したりで、「BUSTER COMIC」では何気に仕事人の有賀先生。身体を大きく描くキャラクターと、小さく描くキャラクターが極端で、おもしろいです。特に、ちっこい先生が可愛い。
とらドラ!」や「とある魔術の禁書目録」でも、教師の外見が年齢と反比例して、幼く描かれていますが、今の傾向なのかな?
 
■白風 / 明けない夜
「廃工場で、その辺りに転がっている道具を使って…」という、器具の無機質さとエロ劇画っぽい雰囲気が、ひたすら陰鬱です。エロっていうか、正しい意味でのポルノですね。
 
茜しゅうへい / 拷悶尻
まるキ堂先生と同じく、言動は粗暴だが、悪知恵が働き、更に絶倫、という陵辱劇の典型的な主人公が、メチャクチャやりよる漫画です。「拷悶尻」というタイトルが、昭和のロマンポルノっぽくてナイス。まさしく、日本のエロ漫画ですよね〜。好き嫌いは置いといて。
 
■SINK / 堕淫の淑女 episode-3
死ぬほど、後味の悪い最終回でした…。恥辱の末に、敢えて破滅ではなく、露悪的な「ハッピーエンド」を描かれる方が、よっぽど精神的にはキますね…。
 
■若月 / 3年P組 絶倫先生〈第1話〉
え!? 〈第1話〉ってことは、若月先生が連載!?
タイトルはもちろん「3年B組金八先生」のパロディーでしょうが、「金八」と「絶倫」の音が一文字も被ってないのがイカす!(笑)
タイトルといい、「腐った蜜柑」ならぬ「熟し過ぎの西瓜」みたいな、独特の胸の描写といい、
 

 
欲望どストーレトで、勢い重視なトコロが好きです。
 
小峯つばさ / Suppoter〈第2話〉
「BUSTER COMIC」の色といってしまえば、それまでなんですが、陵辱ものが多いせいで、男キャラの描き方が似たり寄ったりになってしまうのが、何とも勿体無い。改めて思うんですけど、工藤 洋先生って、やっぱりこの中じゃ浮いてるなぁ〜。
 
いトう / 憎悪〜ぞうお〜
金の為に売春窟を創りあげ、金の亡者と化した姉に妹が捕まる話。読んでて、私の頭の中の松山ケンイチが何度も「銭ズラ! 世の中、銭ズラ!」言ってたんですが、やっぱり、プロットの根底にあるのは、あの高視聴率ドラマだったりするんでしょうか? 流行も手早く取り入れる辺りに、ベテラン作家の上手さと巧さを垣間見たり。
 
木塚詠路 / 電柱娘〈後編〉
犬が沢山、出てきます。また、×姦ですか!? また、獣×ですよ! しかも、後編。
説明もなんもなく、異常なシチューションとコンセプトだけが"ポンッ"と読み手の前に提示される不条理な内容。
まるキ堂先生なんかの陵辱劇もそうですが、この手のアブノーマルな漫画って、ことが異常過ぎて、全然性癖と被ってなくても、それなりに面白く読めてしまうのが怖い…。
 
まよねーず。 / みんなの恋人〜友達ってなんですか?〜
 

 
まよねーず。先生を「女性を徹底的に無機質に描き、シュールな世界感を構築する漫画家」だと思っていたのですが、それが大きな間違いだったことに、ようやく気がつきました。
漫画の中で、真に無機質なのは「女性を『モノ』として扱う、陵辱者としての男性」の方なんですよね。で、そのシュールな世界の中で、女性の自我を描くのが、まよねーず。先生なんだと思います。
女性への痛めつけの描写とかが、今までよりも直接的になってきていて、商業作ということでブレーキを掛けている狂気の部分が少しずつ表に出てきた印象です。どんどん凄くなっていく…。
 
矢上健喜朗 / JKのオタ接待
オタクとコスプレときたら、大抵のエロ漫画ではラブラブな展開になりそうなもんだけど、陵辱もの。さすがは「BUSTER COMIC」。「コアマガジンとは違うのだよ! コアマガジンとは!」といったところでしょうか。
 
成島ゴドー / 深淵
う〜ん、これだけでは、まだなんとも…。続き物なんで、次回どうなるやら。
 
きあい猫 / 犬
犬になりたいという願望を持つ二人の女の子が、自身の欲望をどんどん開放していく話。
君たちも犬かっ! といっても、「人間ではなく、犬として扱われたい」という性癖なので、獣×ではありません。
やってることは相当アブノーマルなのに、きあい猫先生特有の、常軌を逸していく過程を丁寧に描いていく展開と、絵のポップさのせいで不快感みたいなものは、この手の漫画にしては少なめ…だと思います。多分。
 

 
富沢ひとし先生なんかの漫画もそうですが、「暗いもの」「汚いもの」「異常なもの」を、可愛らしく描くことで生まれる破壊力って相当なもんですよね。
 
 
A5の版型にも関わらず、ブ厚くて、掲載作品も多いので、長文になってしまいました。御免なさい(エロ漫画家じゃないほう)。
「BUSTER COMIC」って、掲載作品が陵辱モノに偏っているので、正直、自身の好みと合っているかと言われたら答えは「NO!」なんですけど、それでもコンビニ売りの雑誌なんかにはないアブノーマルな描写や工藤 洋先生のようなポップな作品が混在しているのは、個人的にやっぱり大きな魅力だと思います。
 
「フラミンゴ」や「夢雅」亡き今、性的な好みがどうじゃなくて「あぁ、こんな世界もあるのか…」という驚きを与えてくれるのが、「BUSTER COMIC」なんじゃないのかな、なんて。
 
独立創刊後も、ぜひこの勢いでもって突っ走っていって欲しいです。
 
 
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