"ギャグアニメらしいギャグアニメ"だった「ディーふらぐ!」最終話までを観ての感想






先日、テレビアニメディーふらぐ!が最終回を迎えました。全12話。最後の最後まで笑わせてくれた、本当におもしろいギャグアニメだったと思います。実にギャグアニメらしいギャグアニメ。笑いのパワーとヤル気に満ち溢れたパワフルでエネルギッシュな快作でした。


そんなわけで、今回のエントリではアニメ版の「ディーふらぐ!」について、ちょっとアレやコレやと書いてみたいと思います!




■「ディーふらぐ!」は、ギャグアニメらしいギャグアニメ

先ず、本作を観ていて驚いたのが、冒頭にも書いた様に「ギャグアニメらしいギャグアニメ」だったことです。ひたすらにハイテンションでハイエナジーなギャグのオンパレード。それが「ディーふらぐ!」というアニメ作品の強烈な魅力で。


最近のギャグアニメは、主要キャラによるグループが物語当初から形成をされていて、その中でのやり取りによって笑いを積み上げていく…という作風のものが多い様に感じるんです。最近の萌え四コマ原作のアニメや日常系と呼ばれる作品において主流になっている笑いの表現の仕方なんかがそうですよね。言うなれば、自然主義的な笑い。大笑いするというよりは、会話の中でのおかしみや、女の娘の可愛らしい仕草でクスリと微笑んでしまうような…そんな優しい笑い。


で、自分はそういうギャグアニメも大好きなんですが、「ディーふらぐ!」の場合は、明らかにそれらとは一線を画する笑いを描いたアニメ作品で、もう、ギャグのテンポも表現方法も全く異なる。「ディーふらぐ!」の場合は、一応、"部活モノ"で"主人公は可愛い女の娘に囲まれている"という現代的なアニメ、漫画の物語構造になっているんですが、その笑いの表現というのは、非常にオールドスクールなギャグアニメ。全編に渡って、ひたすらナンセンスで不条理なコメディの連発なわけです。





高濃度で高密度な笑い。だから、出てくるキャラクターの数も非常に多い。次から次に変態でお馬鹿な登場人物が出てきては、その"濃い"キャラクターをフルに活かして、笑いを生み出していく。その笑いも、エロネタ、シモネタ、吐瀉物をネタにしたお下劣ネタ、パロディー、不条理、萌え、ブラックジョーク…と何でもござれで、笑わせる為ならどんなことでも全力でやり切るというある種の潔さや覚悟みたいなものまで感じられる、ストイックなアティチュードに溢れています。いわば、相手を笑わせる為に常に全力で戦いを挑んでくるガチンコ勝負。


流石にこんな全力勝負を挑まれたら、こちらもそれに応えないわけにはいきません。そういう意味では、観るのにエネルギーを要する作品ですし、その辺りも昨今の日常系ギャグアニメとは表現の質そのものが全然違う。勿論、どちらが良い悪いということではなく、双方に異なる魅力が存在をしているわけですが、自然主義的な笑いが多い現在のギャグアニメ界で、「ディーふらぐ!」の様な作品が不意に出てきた時のインパクトというのは自分の中で凄く大きかったですし、幼少期よりこういう高カロリーな笑いに慣れ親しんできた人間としては、何だか心強く思えたりもするのです。




■登場人物の見せ方の上手さ、声優さんの上手さ

そんな「ディーふらぐ!」を観ていて、私が一番好感触を覚えたポイントが、そのキャラクター描写の上手さ。前述した様に、「ディーふらぐ!」は極端に登場人物が多いギャグアニメです。しかも、そのいずれもが強烈な個性とパーソナリティーを持っている。凄いのが「ディーふらぐ!」、そんな登場人物達をオープニング映像で全員一気に見せているんです。





主要キャラによるソロのカットやゲーム制作部員達によるアクションなんかを中心にしながら、オープニング曲の「すているめいと!」の歌詞やメロディー、リズムとシンクロさせながらサブキャラクターを大量にレイアウトするという、これまた作品内のギャグ同様に高濃度で高速、そして、ひたすらに楽しい映像。


とはいえ、原作の予備知識皆無で一番最初にこのOPを観た時は、ちょっと不安も感じたんです。こんなに沢山のキャラクターを出して、まとまりがつくのかな、とっちらかった印象で終わってしまうのではないかな…と。ただ、本編を観てしまえば、そんな心配は杞憂に終わりました。いや、確かにとっちらかっているのはとっちらかっているんですが、そのかしましさが何とも気持ち良いし、何よりも各キャラクターの見せ方が抜群に上手い!


主要人物のキャラクターがシッカリ描けているのは勿論のこと、サブのサブみたいなポジションのキャラクターまでキチンと意識が行き届いているし、笑わせてくれるんですよ!


例えば、どう観ても出落ちにしか見えない天王洲&アイルのコンビもアニメの終盤で再登場をする際には、ちゃんと見せ場が用意されているし、これまたどう見ても出落ちキャラなフィフティー・フィフティー藤崎なんかも終盤でまさかの大活躍。一発ギャグ的なキャラクターもキチンと愛せる様に描かれている。"捨てキャラ"みたいなのが、ほとんどいないんです。余りにもサブキャラが強烈かつ魅力的過ぎて、ちょっと主役のゲーム制作部(仮)の印象が薄れちゃったんじゃないか…とさえ思うときもあった位で。特に、風間君の妹の之江ちゃん、ゲロ子先輩、"男の娘"の桜丘くんなんかは、自分の中でもお気に入りのキャラクターでこの子達の活躍は、アニメの話数がもっとあればジックリと見たかったなと。


この辺は、原作漫画のおもしろさがそのままアニメの魅力に直結をしている部分なのかもしれませんが、12話という話数の中で各キャラクターをバランス良くレイアウトしてみせた構成の上手さには非常に感心をさせられました。


で、また、そんなキャラクター達を演じる声優さんの演技も素晴らしかったです! 若手の声優さんというよりは、ある程度のキャリアを積んだ実力派の声優さんとベテラン声優さんを中心にキャスティングしていた様な印象があるんですが、本当にどの声優さんも上手かった! 豪華かつ安定感のある布陣で、中でも主役の風間堅次役を演じられた小西克幸さんのマシンガンの如きスピード感とハイトーンによるパワフルなツッコミの数々はグレイトでしたね。あの作品は、風間くんというキャラクターを徹底的にツッコミ役にすることで、笑いとギャグが活きてくる作品だと思うんですが、「一人を除いて全員ボケ役」的な笑いのサヴァイヴァルとでも表現するべき過酷なシチュエーションをそのツッコミ力で乗り切った小西さんは本当に凄い!


あとは、ほんのちょい役のキャラクターを演じているのが檜山修之さんだったりとか、そういう飛び道具的な配役なんかもアニメの醍醐味だよなぁと。


そんなわけで、冒頭にも書かせていただいた様に、最後の最後まで笑わせていただいた「ディーふらぐ!」。ラストもいつでも続編が制作可能な終わり方をしていたように思うので、あのエネルギッシュなかしましい世界観をいつかまた観たいなぁ…という欲望をストレートに出して本感想エントリの締めに。…いやぁ〜笑った笑った。