テレビアニメのオープニングタイトルについて、自分なりに考えてみる

 
遅ればせながら、夏目友人帳の最終回を観ました。
 
いや〜、一期のキャラクター総出演のオールスター的展開でありながら、しっかりと「見えるモノ」と「見えないモノ」、主人公の夏目と周囲の友人、居候先の家族の関係といった、作品の主軸が丁寧に描かれ、アニメ版の「一区切り」として本当に素敵な最終回でした!
 
で、「夏目友人帳」というアニメを見続けていて、一つ気がついたことがあるんですけど、
 
夏目友人帳のオープニングって、アニメのタイトルが最後に出てくるんですよね。
 
夏目友人帳 OP




スタッフや主題歌のクレジットが先に流れて…。
[
ラストにアニメのタイトルロゴが出てきます。
    
普通、テレビアニメだと曲のイントロや曲の歌いだし、あるいはワンフレーズ歌ったところに合わせて、最初にタイトルが出てくるっていうパターンがスタンダードですので、
 
かんなぎ OP

イントロでタイトルが出てきます。
 
マクロスF OP

ワンフレーズ歌ったところで、タイトルが出てきます。ギャルゲー原作のアニメなんかは、このパターンが多い気が…。CLANNADとかH2Oとか。
 
「アニメのタイトルはOPの序盤に出てくるもの」という慣れと思い込みがあるせいか、「夏目友人帳」のタイトルが最後に出てくるという見せ方は目を引きますし、タイトルが出てくるまでに「間」があることで、不思議な印象が残ります。夏目友人帳というアニメにピッタリのオープニングですね。
 
他にも、オープニングでこういう見せ方をしているアニメってあるのかしらん?
 
というわけで、ここを参考にして、2008年に放送されたアニメのOPを100本くらい調べてみました。(我ながら、暇だなぁ〜)
一人でチマチマやってた上に、本放送を見ていなくてyoutubeで大雑把に確認したものも多いので、間違いや漏れもあるかと思いますが、ネタ程度に見ていただければ幸いです。
 
さて、今年もすでに100本以上のアニメの新番組が放送されたわけですが、どの番組もオープニングタイトルは、OP曲のイントロか、あるいは歌いだしにあわせて、もしくはワンフレーズ歌ったところで画面に出てくる、というオーソドックスなパターンがほとんどでした。
※以下、重くなってしまいますので、動画にはyoutubeへのリンクを貼っていきます。
 
オープニングタイトルが最後に出てくる作品は、前述した夏目友人帳の他には、
 
Blassreiter
 
みなみけ 〜おかわり〜
 
一騎当千 Great Gurdians
 
テイルズオブジアビス
 
といった作品がありました。…意識して見てみると、思ってたよりも、ずっと少ないですね。
ちなみに、GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO-もOPのラストにタイトルが出ていたのですが、途中からオープニング・アニメーションの変更に伴い、最初にタイトルが出るようになり、ペルソナ 〜トリニティ・ソウル〜は後期のOPのみ、タイトルが最後に出るようです。
 
おもしろいのは上記した作品がいずれも、ドラマ、SFアクション、萌えコメディー、美少女アクション、ファンタジー、と作品のジャンルが見事なくらいにバラバラになっていることでしょうか。
テーマ曲を歌うのも、アニソン歌手、ハードロック調、声ドルソング、バンプ・オブ・チキンとこれまたバラッバラッ。
 
ただ、他の作品に比べると、比較的ドラマ性の高い作品(夏目友人帳Blassreiterガンスリ)か、独特な演出の多い作品(みなみけ 〜おかわり〜)という大雑把な分類はできそうですね。
 
映画だとオープニングタイトルの見せ方に、様々な技法や演出を行いバリエーションを増やすことができますが、アニメだとオープニングは90秒という尺が最初から決められている上に、監督名やスタッフ、製作会社や曲のタイトルなど、クレジットしなければいけない情報が相当量あり、なかなか作品毎の個性が出しづらく、ともすれば画一的になる傾向が強いと思います。
 
僕の勝手な考えなのですが「夏目友人帳」のように、タイトルを最後に出すというのは、こうした予め制限のある「テレビアニメのオープニング」という表現の中で、他作品との差別化を図る、かなり有効な手段と言えるのではないでしょうか。
 
例えば、「らき☆すた」のように、オープニングでキャラクターを動かしまくる、といった手間や、電波ソングのような飛び道具に頼らずとも、ちょっとした工夫で作品に色を付けることができる。
 
つまり、こうしたアニメは作る側が「見せる」ということについて、かなり意識的に取り組んだ結果ではないか、と。 
考えてみると、オープニングでタイトルが最後に出てくるアニメって、なんだか個性的な作品が多い気がしませんか?
 
オープニングはアニメの「顔」ですから、いわゆるキッズ・アニメのような作品には、タイトルを最後まで出さないような分かりづらい技法は使われませんからね。
  
やはりこういった見せ方は、他作品との差別化のために、製作者側が意識してやっているという印象を受けます。
 
ちなみに、京都アニメーション絡みの作品や、独特な演出が光る新房昭之〜シャフト関連の作品のオープニングは全て、テーマ曲は声ドル、アニソン歌手によるもので、タイトルも初めに出てくるという、スタンダードな構成によるものでした。
その分、アニメーションの方で思いきった事をやっているからいいのかな。
 
普段は惰性で見てしまいがちな、アニメのオープニングもこうして意識して見ると、色々と考察&妄想をする余地があっておもしろいですね。
 
 
 
 
 

■おまけ■

 
ついでに、僕が好きな映画作品のオープニング・シーケンスへのリンクをいくつか貼っておきます。
 
「ダーティー・ハリー」
クリント・イースウッド主演の「ダーティー・ハリー」のオープニング・シーケンスです。カッコいいい!
テーマ曲にあわせて、タイトルや監督名などのクレジットが流れ続ける間も、ストーリはドンドン進んでいきます。
アニメでも、第一話だと、敢えてオープニング曲を使用せずに、こうした映画的な見せ方をする作品が増えていますよね。
僕が大好きな「スケッチブック〜full color's〜」や、新しいモノだと「とらドラ!」の第一話も、オープニング曲の代わりに、主人公のモノローグを使用し、こうした見せ方を行っていました。
 
「スター・ウォーズ」
ド定番。
映画のタイトルが出てきた直後に、あのテーマ・ソングに併せて、物語が始まるまでのストーリーがスクロールで流される、という優れもの。
スター・ウォーズって監督やスタッフの名前がオープニングでは出ないんですね。意識して見てみて、初めて気付いた…。
 
「ブレード・ランナー」
ヴァンゲリスの音楽をバックに、黒い闇の中に、タイトルや監督、役者名のクレジット、そして物語のプロローグが次々に浮かび上がる、シンプルなオープニング。
 
「パルプ・フィクション」
これまた印象的なオープニングを飾る映画のド定番。クェンティン・タランティーノの「パルプ・フィクション」です。
映画の冒頭、ファミレス強盗を企むハニー・バニーとパンプキンのキ○ガイ・カップルが行動を開始すると同時に、画面が暗転し、Dick Daleの「ミザルー」をBGMにファミコン風の(?)タイトル・ロゴが登場。スタッフ・クレジットが流れ出す途中で、曲がKOOL & THE GANGの「Jungle Boogie」に代わり、そのままジョン・トラボルタサミュエル・L・ジャクソンの会話シーンへ…。
という流れは、何度見ても鳥肌が立つカッコ良さ!
 
 
う〜ん、こうして見ると、映画ほどの自由度が無いアニメのオープニングで、創意工夫をしながら、あれだけ色々な見せ方をしているスタッフには、ホントに頭が下がるなぁ。