スカムカルチャーとしてのアニメーション〜ゾンビ野郎、萌えアニメを作る〜

昨日のエントリーでもチラッと書いたのだが、アニメ「School Days」のスピンオフ作品
であるOVA「マジカルハート☆こころちゃん」が凄すぎてブッ飛びました。
ある意味今年一番衝撃を受けた映像作品だと言っても過言ではない。
(もちろん、逆説的な意味で)


School Days OVAスペシャル マジカルハート☆こころちゃん(通常版) [DVD]


「こころちゃん」は、「School Days」のキャラクターが原作の陰惨な世界観とは異なる、
パラレル・ワールドを舞台にギャグとお色気満載のハチャメチャなストーリーを繰り広げる
というもので、早い話が、「The SoulTaker〜魂狩〜」と「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて
の様な関係……っていうか、「劇中でのヒロインが、魔法少女になって活躍する」ってプロットも
共通してるし、なんつうか「小麦ちゃん」まんまです。


まぁ、元々は製作側のエイプリル・フールのネタから始まり、それが発展して、「School Days
ファンへの内輪ウケとして製作された作品なのだが(例えば、劇中に出てくる救命ボート
に、『nice boat.』と書かれているなどのギャグ)、その針の振り切れ具合というか、
悪い意味でのネジの外れ具合が、このアニメを単なる萌えアニメから、そのまた一歩上の
ネクスト・レベルに高めているんである。


何が凄いかって、パロディーものなのに、パロディーに成りきれていないのだ。


パッケージを見た限りでは、一見魔法少女モノのアニメにしか見えないのだが、
このアニメ、魔法少女、特撮ヒーロー、怪獣映画、ホラー映画、ロボットアニメ、エロと
ありとあらゆるオタク文化をゴッチャ煮にして無理やりコラージュ。
結果、ストーリーというものは、ほとんど存在しないに等しく、延々ドラッグでトリップした
かの如き、異様な映像を見せられるハメになる。


例をあげるならば、OPの映像はウルトラマンのパロディーで、主人公は魔法少女
悪の組織は特撮ヒーローものの幹部風で、その組織が撒いた毒ガスによって人間がゾンビ化、
事態の沈静化をはかるため戦隊ヒーロー風の4人の少女が変身して戦うが、突如敵が巨大化して
街を破壊し始める、そこで主人公のマジカルハート☆こころちゃんは、突如現れたもう一人の魔法少女
マジカルワードと、巨大ロボットを召還して……


って、ゴメン。書いてる俺も意味わかんない。


とにかく、魔法少女や、特撮ヒーローや、ホラーといったパロディーの元ネタが異様な程、
目まぐるしく移り変わり、見てるコッチは何が何だか分からなくなる。
せめて、「魔法少女もの」とか「特撮もの」とか、パロディーの元ネタを一つに絞っては
どうか!?


そんなわけで、パロディーの元ネタに関しても、えらく淡白に描かれていて、薄っぺらいこと
この上ないのだが、何故かゾンビネタに関しては、スタッフが妙にこだわって描いているのだ。


むちゃくちゃな内容なのに、ゾンビに関しては妙なこだわりを感じさせずにはいられない。
おっぱいとパンチラだけで構成されているようなアニメなのに、このゾンビ映画への偏愛っぷり
は何なんだ!?


お色気、ホラー、オタク文化からの引用、辻褄の合わないストーリー、と要素だけ見ていくと、
ほとんどグラインド・ハウス・ムービーみたいである。
ラス・メイヤーと、ルイス・ブニュエルとの3本立てで、オールナイト上映しても全く違和感
がないんじゃないかと思わせるこのスカム感。


悪いことは言わない。
「こころちゃん」未見の人は絶対見た方が良いよ!そして、大いに呆れてくれ!