対戦格闘ゲームの海外版での改題について調べてみました

 
私、アメリカのバンドで「Rival Schools」という凄く好きなバンドがいまして、
 


 
ずっと活動停止中のバンドだったんですけど、昨年から活動を再開したという情報を聞きまして、ネットで海外の音楽サイトとかを色々調べていたんです。
ところが、英語圏の検索サイトで「Rival Schools」で検索をかけると、何故かカプコン対戦格闘ゲーム私立ジャスティス学園の情報や動画が沢山出てくるんですよ。
 
「何で、こんな微妙にマニアックなゲームが!?」って驚いたんですけど、調べてみたら、「私立ジャスティス学園」の海外版のタイトルが、「Rival Schools」だったんです。
 

 
Wikipediaを見てみたら、バンドの方も、このビデオゲームから名前を拝借したらしいです(何でメンバーが、このゲームからバンド名をとったのは謎。登場キャラクターである、風間アキラ姐さんのカッコ良さにシビれたのだろうか?)。で、それを知って、これは、ちょっとおもしろいと思ったんです。
 
私立ジャスティス学園」っていう、島本和彦イズム溢れる熱血少年漫画風のタイトルが、英訳されたら「Rival Schools」っていうスマートな名前になって、それが更にバンド名にまで引用される、っていう流れが興味深いな、と。
 
その昔、家で友だちと「ストリートファイターZERO」で対戦していたら、豪鬼の取り合いで、その友だちと本気の殴り合いにまで発展した程度の格ゲー好きだった自分としては好奇心がムクムクと湧いてきまして、色々な格闘ゲームの英題について調べてみました。…とはいえ、最近の格ゲーのタイトルは「GUILTY GEAR」とか「BLAZBLUE」みたいに横文字が多いので、全体的にちょっとレトロなチョイスになってしまいました。あの頃の格ゲーは、本当熱かったよなぁ…。
 
 

餓狼伝説 → Fatal Fury


 
「スト2」と同時期に登場し、マーシャルアーツや骨法(当時、格闘技、プロレス界で大ブームだった)、コマンド・サンボ、ムエタイカポエラ、テコンドーなどのマニアックな格闘技の使い手たちが多数登場する、その独特な世界観でコアなファンを獲得し、「スト2」同様の長寿シリーズとなった「餓狼伝説」。
格闘ゲーム界に数々のエポック・メイキングを持ち込んだ名作ですよね。特に、不知火舞
海外版のタイトルは「Fatal Fury」。wikipediaによると、

海外では『Fatal Fury』(直訳すると『致命的な怒り』だが、意味合いとしては『宿命の闘い』と同じような意)と表記される。

とのこと。ちなみに、「Fatal Fury」というタイトルは、

FFと略されることがあるが、これは『ファイナルファンタジー』や『ファイナルファイト』と混同されることが多く、この3者を"FFa"(ファイナルファンタジー)/"FFi"(ファイナルファイト)/"FFu"(餓狼伝説)として区別することが多い。

とのことです。へ〜。
 

龍虎の拳Art of Fighting


 
「餓狼」と並ぶ90年代前半のSNKの名作「竜虎の拳」は海外では「Art of Fighting」。
初代「餓狼」と同じく、主人公を選択してのストーリー性の強いゲーム展開や、キャラクターの距離やダメージによってグラフィックが変化する視覚演出、「覇王翔吼拳」に代表される強力な超必殺技の存在(ただ、出るのがアホほど遅かった…)、単なるスコア稼ぎではなく、超必殺技を会得するための文字通り「修行」としての意味合いが強いボーナスステージなど、そのドラマティックなゲーム性は、まさに「Art of Fighting」の名に恥じない素晴らしいゲームだったと思います。
原題の、文字通り「竜虎並び立つ!」(by 「とらドラ!」)なイメージも捨てがたいですけどね。
ちなみに、続編では、この海外版のタイトル「Art of Fighting」が逆輸入されて、「ART OF FIGHTING 龍虎の拳外伝」として販売されました。
 
…どうでもいいけど、初代龍虎では、悪の組織に人質にされていた、ヒロインのユリ・サカザキが、「龍虎の拳2」では、可憐なイメージをかなぐり捨てて、越中詩郎(ケツ攻撃が得意なプロレスラー)ばりのヒップアタックを武器にプレイヤーキャラとして参戦してきた時は、ガッカリしたなぁ……。
 

■幕末浪漫 月華の剣士 → The Last Blade


 
威力重視の「力」とコンボ重視の「技」という二つの格闘スタイルの選択、特定の技をキャンセルして超必殺技に繋ぐ「昇華」、武器攻撃に対する特殊防御「弾き」といった通好みのシステムを搭載した剣撃格闘ゲーム月華の剣士」。
英語版のタイトルは「幕末」という作品世界の時代性を汲んでか「The Last Blade」。
トム・クルーズの「ラストサムライ」に先駆けること5年。幕末という「一つの時代の終わり」を舞台にした本作に、どことなく漂う切なさが伝わってくる、素晴らしい英題だと思います。
 

ウォーザード → RED EARTH


 
ファンタジー要素をふんだんに盛り込んだ世界観や、RPGゲームのようなレベルアップ・システムや、ボスキャラを倒していくという独特な展開、そしてそれらの要素をドラマティックに盛り上げる、カプコンの新基盤「CPS-3」による、超美麗なグラフィック…と様々な冒険を盛り込んだカプコンの意欲作「ウォーザード」。
その革新性とは裏腹に、イマイチ人気が出なかった隠れた名作です。これ大好きだったんですけどねぇ〜。
キャラクターも良かったのになぁ…。魔法使いのタバサが艶っぽくてカッコ良くて最高に好きでした。タオも可愛かったし、レオも骸もカッコ良かったのになぁ…。
タイトルはそのままでは、意味が通じなかったのか(原題は WAR + HAZARD の造語?)、海外では「RED EARTH」という微妙なタイトルになっています。あれ、そもそも、地球の話だったっけか!? 英題も不遇な扱いを受ける「ウォーザード」なのでした…(泣)。
 

風雲スーパータッグバトル → Kizuna Encounter


 
サムスピ」のような武器格闘ゲームにも関わらず、主人公が巨大なブーメランを背負っていたり、ヒロインの格闘スタイルが新体操だったり(新体操なんて、格闘技ですらないぢゃん!)、負けると男キャラのみが脱衣したり、甲冑姿のラスボスがボクシング・グローブに大剣を握って襲い掛かってきたりと、その異常なビジュアルから、稀代の「馬鹿ゲー」として我が地元では絶大な人気があった(一部コア層に)「風雲黙示録」!
タッグバトルとしての要素を追加した続編である「風雲スーパータッグバトル」の英題は、「Kizuna Encounter」!
「Kizuna」は、多分そのまま「絆」ですよね。ニュアンスとしては、きっと「運命の出会い」「絆で結ばれた闘い」みたいな感じだと思います。
タッグバトルの醍醐味というか、熱いイメージが伝わってくる、良いタイトルじゃないですか。
ちなみに、「風雲黙示録」の英題は、「SAVAGE REIGN」。「(悪の統治により)荒んだ時代」といったニュアンスかな。
 

痛快GANGAN行進曲 → Aggressors of Dark Kombat


 
ワールドヒーローズ」を筆頭に、やたら濃くて熱いゲームを製作していたADKのセンス爆発の名作「痛快GANGAN行進曲」!
「奥、手前、真ん中」と3つのラインがあるゲーム画面と、演出がド派手で決まると最高に爽快な超必殺技「GANGAN必殺技」が特徴的なゲームでしたね。
英題は、「Aggressors of Dark Kombat」。直訳すると「暗黒格闘の侵略者」?
余り意味が通らないタイトルですが、Aggressors of Dark Kombatと頭文字をとると、開発元のADKになるんです。これは、おもしろい改題の仕方ですよね。
「コンバット」の綴りが「combat」じゃなくて「Kombat」なのは、アメリカの人気格闘ゲームMortal Kombat」に倣っているそうです。
 
 
…とまぁ、こんな感じで、格闘ゲームだけでも色々とおもしろい英題が出てきました。格闘ゲームって、RPGとかに比べるとストーリー性とかが薄い気がするんですが、その分、世界観や作品の雰囲気がストレートに伝わりやすいのかなぁ。
どれも、ゲームのニュアンスを上手く汲み取って、カッコのよろしい英題になっているな、と感じました。
 
格ゲー人気が下火になって久しいですが、「あの頃」の熱みたいなものが、もう一回再燃しないですかねぇ〜。
なんだか、久しぶりに「餓狼 MARK OF THE WOLVES」とかやりたくなってしまいました。
ちなみに、「MOW」は、B.ジェニーが可愛くて可愛くて、大好きだったのですが、持ちキャラはパワーファイターのケビン・ライアンでした(笑)。
 
 
 

■おまけ

3D格闘ゲームの初期作品「闘神伝」の海外版パッケージのイラストが、めちゃくちゃアメリカン・テイスト満載で、ちょっと笑えました。
 

 
キャラデザの、ことぶきつかさ氏の筆によるシャープなイメージが台無し!
 
 
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