漫画雑誌に付いているアンケートハガキについて色々と考えてみる

 
私は漫画を読むのが大好きです。
好きな漫画のコミックスを集めるのは勿論のこと、リアルタイムで追いかけたい作品もあるので、少年誌を中心に何冊かの漫画雑誌を購入しています。
 
さて、漫画雑誌を買うと必ず付いてくるのが「アンケートハガキ」
私は好きな作品や漫画家さんを応援するために、漫画雑誌を買った際は必ずアンケートハガキを記入して送るようにしているのですが、色々な雑誌を読んでいる内に、一口に読者アンケートといっても、その形態にはいくつかの種類があることに気付きました。
そこで、今回のエントリでは「漫画雑誌のアンケートハガキ」について思うところを色々と書いてみたいと思います。
 

私が毎号購入している漫画雑誌の一つ「週刊少年サンデー」です。アンケハガキ送り続けていたんですけど、応援していた「お茶にごす。」が今号で終わってしまいました…(涙)
 
先ずは、アンケートハガキの形状と、それぞれの特徴について自分なりにまとめてみます。
 
 

■綴じ込みでアンケートハガキが付いているタイプ


<ゲッサン 2009年6月号 (小学館)>
 
雑誌にアンケートハガキが綴じ込みで付いており、アンケート内容を記入後、切手を貼って投函するタイプです。
アンケートの項目や、名前や住所を書く欄があらかじめ設けられているために記入が大変に楽です。
雑誌によっては、イラストやメッセージを書くスペースがあり、それが読者コーナーで採用されたりすることも。
平綴じの月刊誌なんかはこの形状が多いですよね。
 
 

■アンケートハガキにミシン目が付いているタイプ



 
これも綴じ込みでハガキが付いているタイプなのですが、キリトリ線にミシン目が入っているためにカッターナイフなんかを使わず切り離しが簡単に行えます。手で「ビリビリビリ〜」って破って、アンケートに答えて切手を貼るだけなので、とってもラクチンです。
アンケートハガキの中でも、特に手間が掛からないタイプだと思うのですが、余り見かけない気がします。
私が知っている限りでは、一部の成年漫画雑誌(ヒット出版社の「COMIC阿口云」や、キルタイムコミュニケーションの「コミックアンリアル」など)がこのタイプを採用しているようです。
 
 

■アンケート用紙に記入してハガキに貼るタイプ


<週刊少年チャンピオン 2009年35号 (秋田書店)>
 
綴じ込みのハガキが別途付いているわけではなく、漫画雑誌に載っているアンケートに記入し官製ハガキに貼り付けて送るタイプ。雑誌の紙質が悪いと記入がし難く、しかもノリやカッターを必要とするため、綴じ込みハガキに比べると手間が掛かります。
また、雑誌によってはハガキ表面の送り先の住所と名前を自分で書かなければならない場合もあり、これが結構メンド臭かったりします…。
週刊少年漫画誌や中綴じの漫画雑誌でよく見かける形状ですよね。
 
 

■応募券が付いているタイプ



 
応募券が雑誌のページに付いていて、それを切り取ってハガキに貼り、投函するタイプ。
アンケートの項目や、宛名を自分でハガキに書かなければいけないため、正直一番記入に手間が掛かるメンド臭いヤツです。
また、記入をする枠がなく、必要事項を全部自分で書くもんだから、結構記入漏れをしちゃったりするんですよね。個人的によくやる失敗が、住所や名前なんかの個人情報とアンケートの返答だけ書いて、読者プレゼントの「希望商品」を書き忘れるというパターン。
投函した後に記入漏れに気付いた時の「やっちゃった感」は、かなりキツいものがあります…。
中綴じの成年漫画雑誌で多く見かける気がします。
 
 
読者アンケートに形態についてはこんな感じだと思うのですが、送り手側からすると手間が掛からず書きやすいのは、ミシン目付きの綴じ込みハガキで、次がキリトリ線のみの綴じ込みハガキ、次いでハガキにアンケートを貼り付けるタイプ、一番メンド臭いのが応募券…という順番ではないかと思います。
 
 

■アンケートハガキに関するアレコレ

で、ここからは出版業界に勤めているわけでもなければ、専門的な知識もない一読者の勝手な想像になってしまうのですが…。もうちょっと踏み込んでアレコレ考えてみたいと思うのです。
 
先ずは、アンケートハガキのコスト面についてちょっと考えてみましょう。
ティーアイネットから出版されている「BUSTER COMIC」という成年漫画雑誌の読者投稿コーナーにちょっと興味深い話を見つけたのですが、読者からの「アンケートハガキのキリトリ線にミシン目でもはいってれば切り取りやすい。」という意見に対して担当の編集者さんが、
 

「昔からよく言われるんだけど、50円値上げになるよ、スゲー高いのよ、ミシン目」
 
            − BUSTER COMIC 2009年5月号 (ティーアイネット

 
と返答をされていたんですね。
 
コレを見た時は、「え!? あの、アンケハガキのミシン目ってそんなに高いの!?」なんてとても驚いたんですけど、漫画雑誌における50円という金額は確かに大きいですよね。
勿論、雑誌の発行部数なんかによって、この値段というのは大きく前後するのでしょうが、どうやら綴じ込みのハガキにミシン目を入れるということは、印刷上かなりコストが掛かるようなのです。
そもそも綴じ込みハガキを付けること自体にも、別途印刷の手間とコストが掛かるのでしょうから、コスト的には、
 

ミシン目付きの綴じ込みハガキ > キリトリ線のみの綴じ込みハガキ > ハガキにアンケートを貼り付けるタイプ = 応募券

 
という順番になっているのはないかと思います。
 
で、そう考えてアンケートハガキを見てみると、そこから雑誌の特色なんかが見えてくる気がするんですよね。
 
例えば、サンデーやマガジン、チャンピオンといった週刊少年漫画誌やコンビニ売りの中綴じの漫画雑誌なんかは、その特性上、極力値段を抑える必要があります。ですから、月刊誌なんかに比べると紙質があまり良くなかったり、カラーページが少なかったりするわけですが、アンケートハガキもまた然りで印刷のコストを抑えるために、綴じ込みのハガキではなくアンケート用紙をハガキに貼るタイプや応募券といった形状を採用しているのではないかと思うのです。
 
逆に、わざわざ印刷のコストを掛けて、アンケートのために綴じ込みハガキを採用している漫画雑誌には余裕が感じられます。注意してみると、綴じ込みハガキが付いている漫画雑誌ってそれなりにメジャーな雑誌が多い気がするのです。
例えば、コアマガジンから発行されているコミックメガストアという成年漫画雑誌があるのですが、その増刊号的な存在としてコミックメガストアH」コミック0EXという漫画雑誌があります。
この3誌は値段もほぼ一緒なのですが、雑誌の売り上げが一番大きい「コミックメガストア」だけが綴じ込みハガキによるアンケートを採用しているんですね。残りの2誌は、切り取って官製ハガキに貼り付けて送るタイプです。
これなんかは雑誌の売り上げがそのままアンケハガキの形状に表れているのではないかと思うのです。ですから、この辺も雑誌の売り上げを見る一種のステータスに成りえるんじゃないかな、なんて。
 
私は、漫画雑誌の編集や印刷を仕事にしている人間ではないので、正確なところは分からずまるで見当違いのことを書いていたら申し訳ないのですが…こういうアンケートハガキ一つとっても雑誌のステータスや編集の方針を垣間見ることができるのではないかなと思うのです。
というのが、アンケートハガキの形状は中綴じハガキだったり応募券だったりで様々なわけですが、雑誌の発行形態や売り上げ、雑誌のカラーによって、その形態にはちゃんと必然性があるというか意味がある気がするんですね。
 
アンケートハガキを送る理由は、応援したい作品や漫画家さんに対して、自分の「好き!」という気持ちを送りたいからに他ならないわけですが、そのアンケハガキも細かい部分を見ていくと、漫画雑誌の作り手さんたちに対して、色々な想像を巡らせてみたり、考えてみたり、雑誌本体だけじゃなくてそこにも楽しみどころがあると思うのです。
こういうトコロにアレコレ想像力を働かせたり楽しみどころを見つければ、アンケートハガキを送る手間もあんまり苦にならずに、作家さんを応援できて編集さんにも参考になる意見を送ることができるかな、なんて思うのですがどうでしょうか?
 
 

■アンケートハガキの敷居を低くする努力

最後は、ちょっとオマケ的に、雑誌の編集者さんが行っている「アンケートハガキの敷居を低くする努力」についても書いておこうと思います。
基本、アンケートハガキを送るのってメンド臭いですよね。雑誌から切り取って、内容を記入して、投函しにいかなきゃ行けない。更にはアンケハガキを送る度に、切手代なり官製ハガキ代なりで50円という金額が毎回毎回掛かるわけです。
ですから、戻ってくるハガキの量というのも自ずと限られてくるのでしょうが(アンケートハガキが戻ってくる確立って、雑誌の売り上げの一割程度だという話を聞いたことがあります)、編集サイドでも色々工夫をされたりしているんです。
 
そんな中で最近よく見掛けるのが、携帯電話やパソコンから投票ができるタイプ。
 

<週刊少年マガジン 2009年33号 (講談社)>
 
雑誌に付いているキーコードで指定のWebページにアクセスし、あらかじめ用意されている入力フォームに必要事項を打ち込むだけ、というヤツです。スゴイ簡単で、通信費さえ払えば切手代もハガキ代も必要ないので、とても便利なんですよね。
 
いずれは、こういう形態が漫画雑誌のアンケートのスタンダードになっていくのではないかと思うのですが、今のところは講談社小学館系列の漫画雑誌なんかでよく使われているようです。
 
また、従来のハガキによる応募に関しても、講談社月刊少年シリウスのように、アンケハガキに書いたイラストや意見が読者ページに掲載されると景品(シリウスの場合は、掲載作品のイラストが描かれたQUOカード)がもらえたり、「COMIC阿口云」の「Message Park」のコーナーのようにアンケハガキの内容を大きく取り上げる読者ページを設けた雑誌など、ハガキ応募故の楽しみを用意している漫画雑誌もあり、この辺の工夫を見ていくのもなかなかにおもしろいものがあります。
 
雑誌本体に掲載された漫画作品だけでなく、こういう細かいところにもそれぞれのカラーが垣間見えたりする。…やっぱり、漫画っておもしろいですよね。
 
 
 
<関連エントリ>
■漫画雑誌の読者アンケートで「つまらなかった作品」の欄って、みんなどうしてる?