効果音や音楽が凝っているアニメ作品「あにゃまる探偵 キルミンずぅ」

 
あにゃまる探偵 キルミンずぅの第一話を見たのですが、音や音楽の使い方が非常におもしろいアニメで、見ていて本当に驚かされました。恥ずかしながら、見る前は完全に子ども向けアニメだと思って高を括っていたもので…。
 

 
以下、自分の感想文を徒然と。
 
 

■先ずは、何はなくともOPとEDのインパク

アニメが始まって直ぐにぶっ飛ばされたのが、そのOPのインパクです。「あにゃまる探偵 キルミンずぅ」のOPは、何とタイポップス!
現在のアニメソングは、ロックやポップス、ネオアコHR/HM、テクノ、エクスペリメンタル・ミュージック、ジャズ、ファンク…と様々な音楽要素を孕んだジャンルになっていますし、その流れの中で海外のミュージシャンが楽曲を提供することも決して珍しいことではなくなっているわけですが、アニメソングに、しかも子ども向けのアニメ作品にタイポップスを持ってくるというアイデアは完全に予想外でした…。
 
曲に合わせてカラフルな色彩の中をキャラクターが踊る姿が非常に楽しいOPアニメーション。この楽曲を歌っているのが、Neko Jumpというタイのアイドル音楽ユニットです。
 

 
■Neko Jump / Poo (Youtube)
 
PVを見てみると、衣装や演出、サンプリング音に至るまで、相当に日本のポップカルチャーからの影響を受けている音楽ユニットのようですね。ちなみに、ED曲を歌っているのもNeko Jumpなんですが、この二曲は今回のアニメに合わせて作られた楽曲ではなく、数年前に発売されたアルバムに収録されている既存曲のようです。
つまり、スタッフの誰かがかなり意識的にタイポップスを作品に起用しようとして引っ張り出してきたのではないかと思うのです。
この辺の音楽に対する意識とセンス、個人的には非常におもしろいと思いました。
 
 

■劇中での効果音について

もう、OPを聴いた時点で「このアニメはタダモノではないぞ!」と思わず身構えて本編を見てしまったわけですが、本編のBGMや効果音の数々も非常に豊富でおもしろいです。
 
先ずは、効果音についてですが注意して第一話を見てみると、ある時は薄く、ある時はかなり大きな音でハッキリと、小鳥のさえずりの音が劇中でずっと鳴っていることに気付きます。
例えば、冒頭のリコとリムの下校シーンや、ナギサが弓を射るシーンでは、鳥の姿は直接描写されていないにも関わらず、BGMやキャラクターの台詞の他に背景に鳥の鳴き声が薄く入っているのです。
 

直接鳥の姿が描かれていませんが、背景には環境音的に鳥のさえずりが。
 
これには、女の娘が動物に変身するというアニメの内容に合わせて、動物の泣き声をあらかじめ劇中に配置しておくことで、物語のイメージの導入を速やかにするという演出の意図があるのかもしれません。
 
他にも、不穏な雰囲気を空気の振動音(ノイズ)で表現したり、波や風の音がキチンと劇中で流れていたりと、「あにゃまる探偵 キルミンずぅ」はBGMだけでなく細かな効果音にも気を配ってアニメを作っている印象を受けます。
 
 

■劇中でのBGMについて

OPやED、劇中での効果音の数々と、「あにゃまる探偵 キルミンずぅ」は音や音楽にかなり意識的に取り組んでいるアニメ作品というイメージを見ていて抱いたのですが、BGMも実に素晴らしいです。
 
BGMはピアノが中心になっており、他にもシンセや各種管楽器や鍵盤打楽器、ハープ(?)のような弦楽器が使われているようです(といっても、自分はただの音楽好きで、楽器が全くできない上に、音感もゼロの人間なのでアンマリ自信はありませんが…)。
環境音楽のようにゆったりしたテンポで穏やかな曲調のものが多いため、決して劇中での大きな主張はないのですが、かなり豊富な種類の音源が用意されているのか、劇中では多種多様なメロディーが絶えず流れておりアニメ本編のポップで可愛らしいイメージを引き立てています。
 
これらの音楽を手掛けているのは、川島可能さんという作曲家の方です。
川島可能さんのお仕事についてちょっと調べてみたのですが、日本テレビのテレビドラマ「1ポンドの福音」の音楽や、テレビアニメ「あたしンち」のED曲、キグルミチコの「ほっとっとっとな まいにち」の作曲、編曲、OLYMPASのカメラのCMソングなど様々な音楽製作に携わっている方のようです。
 
その曲調も様々で、OLYMPASのCMではまるで姫神のような民俗音楽調の曲も作られています。
 
■CM “E goes to AFRICA”篇 - 川島可能さんが手掛けたCMソング(OLYMPAS公式サイト)
 
アニメ好きな人だと、川井憲次さんの劇場版「攻殻機動隊」を反射的に連想してしまいそうなエキゾチックムードたっぷりの曲。
そういえば昔、高橋幸宏鈴木慶一の音楽ユニットTHE BEATNIKSも、ヤクルトのCMでこういう曲を作ってましたよね。
 
M.R.I.

M.R.I.

 
こうした高い作曲力を持っている方をアニメの分野に、しかもあんなに可愛らしい子ども向けの作品に起用をする「あにゃまる探偵 キルミンずぅ」スタッフのセンス。私は、凄くおもしろいと思うんです。
 
 

■まとめ

あにゃまる探偵 キルミンずぅ」は、アニメ本編の可愛らしいイメージに加えて、音と音楽に関してもスタッフの高い意識や優れた作曲家の姿が見え、その点でも十分に魅力的な作品であると思いました。
メインターゲットはやはりお子さん、それも女の子だと思うのですが、子どもの頃からこういうアニメ作品を通じて異国のポップミュージックや、よくできたインスト曲に触れることができるって凄く素敵なことだと思うんですよね〜。