ネット上でのアニメ作品のトレンドに追いつけなくてシンドイ…という話

 

 
これから書くってことっていうのは、物事の良し悪しについて語りたいわけではないです。問題提起をしたいわけでもない。ましてや、特定の誰かを攻撃したいわけでもないです。そういう前置きをした上で、ちょっとアニメとネットを巡るアレコレについて書いておきたいと思います。
 
 

■ネット上でのアニメ作品の流行り廃りに付いていけない…

今のアニメのトレンド、流行り廃りのサイクルのスピードっていうのは速い。凄く速い。とにかく速い。
 
こういうことを書くと、1クール放送での作品が現在ではアニメの中心となっており云々…とか、DVDやBDソフトの売り上げによる製作費回収を前提としたモデルがどーしたこーした…っていうアニメの制作環境を巡る変化について、今から私が語り出すんじゃないかと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、そうじゃありません。
だって、アニメ作品に注ぐ愛情や熱量と時間(放映期間)って比例しないでしょ? 例え、1クールのアニメでもず〜っとず〜っと、特別な「大好き!」を注げる作品ってあると思うし、そういう作品って映像ソフトもメディアとか自分以外の誰かに乗せられるんじゃなくて、「手元に残しておきたいから」とか「作品を応援したいから」とか、愛情、思い入れの一つの形として購入をするものですよね。そこに、トレンドとかスピードは関係ないわけです。
 
アニメの制作現場がどーした、とか、プロダクトの消費のされ方がどーした、みたいなジャーナリスティックの視点なんざ、私はハナから持ち合わせていませんよ。だから、ここから書くことっていうのは、凄く凄く個人的で超私的な感性で綴るアニメの話…というのも、話の大前提として記したところで、本題へ!
 
私が「速い」って速度を感じているのは、受け手側の…つまり、私たちアニメファンの消費の仕方、アニメやキャラクターの消費のされ方。この部分なんですね。
 
コレっていうのは、例えばアニメ好きな友達と会話をしたりだとか、普通にテレビでアニメを観ていたりだとか…っていうファンベースの上では、アンマリ実感しない。やっぱり、"ネット"ですよね。"ネット"の中での話。 
ネット上でのアニメ作品の流行り廃りのスピードって、ちょっと尋常じゃないくらい速いじゃないですか。この間まで、「今は、『○○○』だ!」ってBLOGでの感想や考察だの掲示板での議論だのpixivでの二次創作だの…で、ワー! って盛り上がっていたと思ったら、3ヶ月後には「次は、『●●●●』だ!」ってなって、またワー! って盛り上がってる。で、また3ヶ月後には、別の作品がブームになってワー! って盛り上がってる。勿論、○○○とか●●●●に入るのは、アニメの作品名だったり、キャラクター名だったり…の固有名詞です。
 
そういう盛り上がりを見ていると、やっぱり自分なんかは「おいおい、この間までのあの熱狂と情熱はどこに行っちゃったのよ!?」って戸惑いを覚える時がある。
 
こういうアニメとファンを巡るネット上での戸惑いっていうのは、twitterなんかを眺めていても強く感じます。例えば、1クール毎にアイコンをその時々のトレンドのアニメキャラに変える人がいる。「○○○は、俺の嫁!」ってポストの「○○○」に入るキャラクターの名前が、これまた1クール毎に変わる人がいる。
そういうのを見ると、コッチとしては正直、「何だよ、薄情なヤツだな!」とか「軽いヤツだな!」とか思っちゃう時がある。いや、コレなんかは割かしいっつも思ってるな。春、夏、秋、冬。放送クールが変わる毎に思ってますよ、私。
 
 

■ネットでは「"何で"好きなのか?」「"どう"好きなのか?」が見えづらい

でも、そういう人達でも、無神経に新しいアニメを次々に使い捨てにしているわけじゃないと思うんですよ。そこには何かしらの理由があるハズ。例えば、好きなアニメ製作会社が作ってるアニメだから観る、好きなアニメ監督や脚本家さん、演出家やアニメーターさんが関わっている作品だから観る、大ファンの声優さんが出演しているから観る。で、その作品を好きになる。その人の芯になる作品やキャラクター、作り手があって、そこからドンドンとリンクをしていったり、好きなモノが繋がっていっているハズなんです。
 
それが、ネット上だと凄く見えづらくなっちゃうと思うんですよね。「何で好きなのか?」の「何で」とか「どう好きなのか?」の「どう」の部分…その人が作品やキャラクターを愛している、一番軸の部分がが見えなくなっちゃう。結果的に、何だか物凄く大きなムーブメントが起きている、何かが大ヒットしているのは表層的な部分では分かるし目に入るんだけど、深い部分がなかなか見えてこない。
 
そのトレンドの推移が、また凄いスピードで動いているものだから、さっきみたいに「薄情」とか「軽い」とか思っちゃうところがある。
 
で、また、そういう流れの中にいる人達っていうのは、そういう自分たちの態度を露悪的に表現をしているきらいもあるんですよね。「覇権」とか「オワコン」なんて言葉がネット発信で出てくるのもそういうことなんでしょう。「流行りものを次々に消費していって、次のトレンドが来たら直ぐにそれに飛びつく」っていう態度を、スタイルの一つとして楽しんでいるような印象があります。それっていうのは、アニメ作品の良し悪しとかは別の部分…ネット上でのコミュニケーションの一つなんだろうけど、そういう輪の外にいる人間からすると、それってやっぱり見てて辛い部分ではある。その"辛さ"っていうのは、寂しさ、怒り、劣等感、疎外感…そういう色んなものがごちゃ混ぜになった複雑な感情です。
 
最高だって言ってる作品が1クール毎にコロコロ変わる。俺の嫁だって言ってるアニメヒロインがコロコロ変わる。それは、OKだと思うんです(それって、自分の価値観とは全然相容れないものだけど)。そういう部分でお金が動いている部分もあるんだと思うし、それを「良い」「悪い」とか「誠実」「不誠実」とか「純粋」「不純」とか、そういう単純な二極化で考えようと思ったり、自身を誰かと比べたいわけでもないんです。
 
でも、できればその「好き!」の芯の部分っていうのを見せて欲しいんですよ。「貴方が最高だって言っているあのアニメ、最愛だって言っているキャラクター、それが『何で』『どう』好きなの?」っていうのを見てみたい。何でかって言ったら、それは私が「何かを『好き!』だって言っている人を見るのが好き」だから。まぁ、冒頭に書いたように、超個人的な話による、勝手な意見なんですけどね。
 
あと、超個人的な話っていうと、結局は今まで話してきたことって、全部コレに集約されちゃうんですけど。あのね〜そういうアニメ、キャラクターの消費の仕方って、そういうムーブメントに乗れない人間からすると見ていてキツイし、シンドイんですよ! もう、ホントのホントに結局はコレに尽きちゃう。「え〜この間まで、『○○○』に皆、夢中になってたやん!? それは今は『●●●●』で、『○○○』の話とか皆しなくなっちゃってるの?」とか、そんなんで驚いたり、ちょっとムッとしたりするのがキツイし、そこに付いていけてない自分…みたいなフィーリングを感じるのがシンドイ。コレ、メチャクチャに素直な感想ですよ。まさか「だから、止めてくれ!」なんて言いませんけどね。でも、自分ってアニメファン向いてないのかな、オタクに向いてないのかな…って思う時は間々ある。
 
どうなんでしょうね、こういう気持ち…。大多数の人は、その辺の葛藤をスマートに乗り越えて、アニメやキャラクターと接しているんだろうな…とは思うんですけどね。
 
 

■まとめ

私は、ネット上のアニメ作品のトレンドにキャッチアップすることは諦めちゃった人間で、多分、アニメとの付き合い方も多くの人との価値観とは異なっちゃっている人間なのかもしれません。
でも、やっぱり現在進行形の作品も含めてアニメファンとしてアニメ、キャラクターを大好きだ! って言いたいし、何とか応援をしたいという気持ちもある。だから出来れば、色んな人の「大好き!」を聞きたいなとは思うんですが…それが"ネット"となるとスピードが速すぎて付いていけない…というジレンマもある。そんな人間の独り言。誰がどうとか、何が悪いとかそんなんじゃない。ただ、ちょっと自身の悩みを記しておきたい、残しておきたい…そんな超個人的なエントリでした。