何故か、自分の中で比較してしまう川口敬一郎監督と長井龍雪監督と「とらドラ!」と
■何故か、自分の中で比較してしまうアニメ監督
私は、アニメの監督さんの中でも川口敬一郎さんが特に好きで、ず〜っと作品を追わせていただいております。そんな自分なんですが、川口監督ファンの続けていく上で、その"対照"として、これまたず〜っと意識をしているアニメ監督さんがいるんですね。それが、長井龍雪監督です。
パロディやオタクネタを随所に散りばめ、暴走しつつもドライブ感のある陽性のコメディ作品を撮り続けている川口監督と、人間関係の軋轢であるとかディスコミュニケーション、登場人物の死のような事象にも真っ直ぐに取り組み、アニメの世界でヒューマン・ドラマを構築する長井監督。
対照的で真逆の作風。そもそも比べる必要すらないのかもしれませんが、それでも自分の中で、このお二方というのは常に比較をして、その作品を観てしまいます。
何故かって言ったら、以前、「にゃんこい!」のトークイベントで、ゲストとして登場をされた川口監督が「にゃんこい!」に取り掛かるまでの経緯を話されていたんですが、そこで出てきたキーワードが長井監督の代表作である「とらドラ!」だったんです。
■「とらドラ!」という作品を巡って

川口監督は、「とらドラ!」というライトノベルに強い興味を持っていたらしいんですね。実際のところは、アニメ版「とらドラ!」で監督を務めることになるのは長井龍雪さんになり、作品自体も大ヒット、昨年末にはBD-BOXのリリースもあったり…と人気作になるわけですが、川口監督も原作の時点からかなり意識をしていたらしい。
そこにやってきたのが「にゃんこい!」アニメ化のオファーで…というストーリーがあって、このお二方はそれぞれの"ラブコメ"作品を作るわけですが、原作漫画、小説の作風の違いは大前提としても、まぁ、物の見事に対照的な作品に仕上がっていますよね、アニメ版の「とらドラ!」と「にゃんこい!」って。完全に自己完結してしまっている話なんですが、この2作品っていうのは、やっぱり私の中で表裏一体になっているんです。…なかなか他の人には伝わりづらいと思うんですが…。
で、私なんかは「もしも、川口監督が『とらドラ!』を撮ったら、長井監督が『にゃんこい!』を撮ったら?」なんて妄想をしてしまう訳です。
川口監督版の「とらドラ!」は、やっぱりギャグやネタ感覚に溢れた馬鹿騒ぎ的なコメディになって、原作小説のあのエッジの効いた描写っていうのも、もっとマイルドになっていたんじゃないかと思いますし、長井監督が手掛けた「にゃんこい!」は、コメディパートが抑え目になって、もっとストーリー的な部分で魅せる作品になっていたんじゃないかと思います。川口監督なら、やっぱり「とらドラ!」でもアイキャッチ芸をするのかな? とか、長井版の「にゃんこい!」はEDで、あの色使いの中をキャラクター達が歩いていくんだろうな、とか、そういう絵も見えてきちゃう。
そう考えてみると、「にゃんこい!」「とらドラ!」。この2作品っていうのは、川口敬一郎と長井龍雪というクリエイターの作風っていうのが、凄くストレートに見える、見比べられるアニメなんじゃないかなと思っていて、「にゃんこい!」の大ファンである私は、「とらドラ!」というキーワードを通して、長井監督と川口監督を見比べてしまうんですよね。それっていうのは、どっちが良い悪いとか、優劣とかではなくて、対照的な作風を持つクリエイターとしてお二方を見ている。
こういう見方をしているのって、私だけかな〜と思うんですが、「とらドラ!」のBD-BOXがリリースされ、「あの花」に続く長井監督のオリジナルアニメ「あの夏が待っている」が放送されている(そして、川口監督は「SKET DANCE」でコメディを撮っている)今、ちょっと書き残しておきたかった次第です。
■まとめ
完全に個人的かつ一方的なアニメ、監督の見方、比較ではあると思うんですが、皆さんの中にもこういう感覚ってありませんか? 大好き過ぎて、他のクリエイターさんなり、作品なりとリンクさせて意識してしまうアニメやアニメ監督さんが。できれば、色々な人の「対照」を見てみると、またちょっと面白いアニメの観方とかができそうな気がするんですよね。この人は、こういう風にアニメを観ているんだ、とか、また違った世界、新しい知識が見えてきたりとか。