FLUID 『Magic Machine Music』 Release Party@新代田FEVER

 

 
今回は、先日観に行った音楽ライブの感想を。
 
 
京都のデジタルなパンクバンド、FLUIDの新作アルバムリリースを記念したライブイベント。ラインナップは、FLUIDに加えて、group_inouにKIRIHITO…と、Less Than TVの有志による餅つきという最高かつユニークなメンツで、あぁ〜これは観に行かなきゃね! なんてシッカリと前売り券をゲットして楽しんできたのだった。
 
出演陣は、いずれもテクノ、ヒップホップと呼ぶにはロック過ぎ、ロックと呼ぶには異形過ぎる素敵なバンド達。そんなバンド陣を横目に、ライブハウスのフロアに臼と杵が置かれ、つきたてのお餅がお客さん達に振舞われている光景というのは…何て言うか、まさにLess Than TV的というか、日本のオルタナティヴ・ミュージックの凄くエッジが効いている光景だなぁ〜なんて変な感心をした。2013年一発目のライブで、こういう如何にも"オルタナティヴ"な空間で、バンドや他のお客さん達と楽しい時間を共有できたというのは、本当に幸運だったなと思う。
 
勿論、サウンドの方もそんなオルタナ空間にピッタリというか、とにかく不思議で、なおかつ最高のものだった。3組もアーティストが出演をしているにも関わらず、マトモなバンド編成なのはトリのFLUIDのみで、KIRIHITOはギター、シンセ&ヴォーカルにドラム(しかも、スタンディング)の二人組、group_inouは、トラックとMCの二人組ユニット。見た目は完全にスカスカの編成なのに、KIRIHITOもgroup_inouも、ライブのパフォーマンスは熱量に満ち満ちていて、サウンドもアクションも全く欠落感を感じさせない。
 
特に、トップバッターで出たKIRIHITOのパフォーマンスが素晴らしくて、不可思議で怪しいギターのメロディーと歌声に爆裂ドラムが組み合わさり、このバンドらしい唯一無二のサウンド…ダンス・ミュージックともロック・ミュージックとも異なる独特の音が構築されていく様には、もう難しいこととか一切考えられないまま「スゲー!」と思わされたし、ただただシンプルに身体を揺らされたのだった。
また、ドラムの早川さんのビジュアルとキャラクターが良くて、何故かUFO(マイケル・シェンカーの)のTシャツを着て、巨体から大量の汗を吹き出しながら、ドラムを暴力的に叩き、かと思ったらマイクで叫び、と思えばシーケンサーを操り、そして、シンバルを持ってフロアに降りてきたと思ったらそれをぶっ叩きつつ餅をつく…という、七面六臂の大活躍。これは、何ともファニーかつカッコいいパフォーマンスで、俺は「あ〜KIRIHITO、カッコいい!」なんて妙な感動をした。
 
そのKIRIHITOに続く、group_inouとFLUIDのライブもアグレッションに満ち満ちていて、本当に良かった。トラック&マイクという超シンプルな編成でありながら、SUISIDEの最終進化形態とでもいうべき、パンキッシュなライブパフォーマンスを行う(で、ちょっと泣けるメロディーとかを織り込んでくる)group_inouも、CDは聴き込んでいたけどライブは未見だった自分の膨らんできた期待を裏切らない完成度だったし(あと、imaiさんが想像以上に巨体で驚いた)、FLUIDのデジタル・ビートとバンド・サウンドが融合した爆音にも大いにテンションを上げさせられた。
 
FLUIDで耳をやられて、ライブを観終わった直後のあの特有の耳鳴りとしこたま飲んだお酒による酩酊を感じながら、「あ〜今年もこういういいライブを沢山観たいなぁ〜」なんて期待と満足感を同時に覚えつつ、俺は家に帰ったのだった。