SUCH GOLD / LIVING WITH LIONS / AFTER TONIGHT JAPAN TOUR 2013@club ROOTS!

 

 
今回は、先日観に行った音楽ライブの感想を。
 
 
2000年代以降のメロディック・パンク、メロディック・ハードコアのバンドには全くもって疎い人間なのだけれど、それでも、やっぱり好んで聴いているバンドも幾つかあって、その内の一つがニューヨークのSUCH GOLD!
 


 
このメロディアスかつハードコアなサウンドがツボに入ってしまい、この辺の若手バンドの中でも特に強い思い入れを持って愛聴をしています。何ていうか、このメロディック・"ハードコア"の"ハードコア"な部分が大事なんですよね。"ハードコア"の部分が。
 
そんなSUCH GOLDが、カナダのこれまたメロディックなパンクバンド、LIVING WITH LIONSを伴ってジャパンツアー…ということで、これはどこかで彼らのライブを観に行かなくちゃね、なんて自分の仕事の休日とも日程がマッチした高円寺での公演に参加をしてきたのだった。
 
ところで、本題のライブレポの前に、今回は会場となった高円寺のライブハウスclub ROOTS!についても簡単に触れておきたい。いや、初めて行く会場だったんですが、これが抜群に変わった立地のライブハウスだったんです。
 
というのが、高円寺駅の北口を降りて、少し歩くといかがわしいお店が集まった通りがあるんですが、club ROOTS!があるのは、そんなお店の真ん前。真正面。
 

 
ピ○サロ密集地の向かい側にライブハウスがあり、パンクやロックの熱いライブが毎晩繰り広げられているというシチュエーションは、考えてみるとなかなかに刺激的。また、このピ○サロというのが、どのお店もアニメ系のイラストの入った看板を掲げていて、それがまた、club ROOTS!という小屋に全くもってそぐわないというか、強烈なギャップとシュールな空気を醸し出していて…。
 

 
このclub ROOTS!、高円寺で沖縄料理屋、居酒屋を経営している"抱瓶(だちびん)グループ"が運営をしているライブハウスのようで、地下一階にclub ROOTS!そして、そのビルの他の階には沖縄料理屋さんが入っているという珍しい立地。そんなわけで、バースペースでは泡盛がメニューに入っていたり、沖縄名物のブルーシールアイスクリームを販売したりしています。ブルーシールアイスが食べられるライブハウスなんてなかなかないですよね。音楽ライブを観ながら、途中で他の階に料理屋さんに行き、沖縄料理を肴にちょっと一杯…といった楽しみ方もできるようで、これは高円寺らしい猥雑さとエネルギッシュさに満ちたユニークなライブハウスだな、と。
 
そんなちょっと不思議な佇まいの中で観たライブ。メインの2バンドの前に出た日本のメロディック・パンクのバンドもどれも良かったし、LIVING WITH LIONSのライブも素晴らしかった。でも、やっぱり、この日一番のインパクトは最大のお目当てであるSUCH GOLDだったかな、と。
 
CDを聴いていて、その楽曲のスピード感とポップながらも複雑な楽曲構成に、勝手に凄まじくハードコアな光景を想像していたのだけれど、いざ生で目撃したSUCH GOLDのライブは、ひたすらにハッピーでフレンドリーなものだった。Vo.のベンなんて歌っている時も、叫んでいる時も、ひたすらにニコニコと笑顔なんだもの。とにかく歌うのが…仲の良い仲間たちとバンドで演奏をして、そしてオーディエンスをエキサイトさせるのが、もう何とも楽しくて仕方がない! といった雰囲気。他のメンバーも、着ているファッションも髪型もメチャクチャに普通(本当に普通! ごくごく普通の若者達…といった感じのビジュアルなのだ)にも関わらず、出す音は最高に疾走感に溢れていて、とてつもなくカッコ良い。
 
曲間には、カタコトの日本語でのMCも入る。それを聞いて笑う観客。もっと暴力的でカオティックなライブになるのかと思っていたので、このフレンドリーな空気感には良い意味で期待を裏切られたのだった。それにしても、SUCH GOLDというバンドの曲は、どれも非常にパワーに満ち満ちている。この日は、新曲も披露したのだけれど、その曲もポップさとハードさ、ストレートなパンクの疾走感とモダンなハードコアの複雑さがハイレベルで融合した…"メロディック・ハードコア"というジャンルのおもしろさと魅力を強く感じさせてくれるサウンドで、あぁ、このバンドはこれからもっと大きくなって、その内、日本の大規模なパンク系のフェスに呼ばれるようになったりするのかもしれないなぁ〜などと身体を揺らしながら考えていた。そんな勢いのあるバンドのライブを、至近距離で…しかも、個性的なclub ROOTS!というライブハウスで目撃できたことは非常に幸せだったと思う。
 
本編最後の曲は、このバンドの楽曲の中で一番大好きで、なおかつバンドの代名詞にもなっている"Sycamore"。個人的には、新世代のメロディック・ハードコアのアンセムみたいな曲で、この日一番の盛り上がりに。
 


 
あぁ〜そりゃ、ライブの締めにこんな曲やられたらそりゃ盛り上がるわ! なんて思いながら、自分もシッカリとサウンドに乗せられたのだった。その後、「ゴメン! もう、曲が無いよ…」なんて言いながら、観客のアンコールに答えて、オマケでニュースクール・ハードコアバンドのカヴァーも披露。最後の最後までオーディエンスを楽しませる姿勢とバンドのルーツを垣間見たようで、これまた何とも幸せな気分にさせられた。SUCH GOLD、本当に素晴らしいバンドだと思いますよ、うん! なんて再認識させられた夜。また、彼らが日本にやって来た時は、また絶対に観に行こう! とピ○サロのネオンが照らす高円寺の夜に強く誓ったのだった。