「烈車戦隊トッキュウジャー」と青春パンク、スカコア、インディーズブーム

 

 
普段は戦隊モノを余り熱心に観ていない人間(でも、「仮面ライダー」は好き)なんですが、"列車"というモチーフに興味をそそられ、チェックを始めた「烈車戦隊トッキュウジャー」。列車や線路をギミックに使いまくった戦闘シーンや"乗り換え"という斬新過ぎるシステム。それから、妙にコミカルなシーンが多いストーリー展開がツボにハマってしまい、ちょっとハマり気味です。
 
そんな「トッキュウジャー」。個人的には主題歌がおもしろい! ということで、今回のエントリでは「トッキュウジャー」の音楽について、ちょっとアレやコレやと書いてみたいと思います!
 
 

■"青春パンク""スカコア"な「烈車戦隊トッキュウジャー」

「烈車戦隊トッキュウジャー」を観ていて「おっ!」と思ったのが、そのオープニングとエンディング曲。
 
先ず、オープニング曲の「烈車戦隊トッキュウジャー」は、2000年代前半に一世を風靡した所謂"青春パンク"調…いや、その青春パンクに多大な影響を与えたザ・ブルーハーツらを指していた"ビート・パンク"と言うべきか…のノリの良いバンドサウンド。Aメロのブラッシングを利かせたギターの音がポイントで、サビのアタック感の強いドラムと明快なメロディーのギターによる高揚感も気持ちが良い。まさに、ポップ・ミュージックとしての"パンク"を特撮ソングにアジャストした様なナンバーです。
 
そして、エンディングの「ビュンビュン! トッキュウジャー」は裏打ちのリズムやホーンセクションの音が特徴的な"スカコア""スカパンク"的な曲。トッキュウジャーの面々が全国の電車を紹介するという趣向に目を奪われがちだけれど、楽曲の方の趣向もなかなかにおもしろい。
 
青春パンクにしろスカコアにしろ、いずれもそれらは90年代の終盤〜2000年代の前半辺りにかけて大ブームとなったインディーズブーム、パンクブームの核となった音楽ジャンルであり、象徴的な楽曲だと言えます。「トッキュウジャー」の楽曲は、この辺りの音楽ムーヴメントの影響を強く受けているのかな、と。
 
最近の戦隊ヒーローはチェックが追いついていなかった為、こういう特撮ヒーローの主題歌は例えばサイキックラバーであるとか高取ヒデアキさん(プリキュアの主題歌でもお馴染みですね)がクリエイトする特有のメロディーやビート感覚を伴った"特ソン"のイメージが強かったのですが、最近はこういうバンドサウンドが主流になっていたりするんでしょうか…?
 
いずれにせよ、かつて、日本の音楽シーンを席巻したインディーズブームの渦中で様々な音楽に触れ、パンクロックのおもしろさを知った人間としては隔世の感があるというか、感慨深さと驚きを同時に感じるトピックです。
 
 

■インディーズブームがアニソン、特ソンに与えた影響

こうして考えてみると、"あの頃"のインディーズブーム、パンクブームが最も強い影響を与えた現代の音楽シーンは、実はアニメや特撮の音楽なんじゃないかという気もしてきます。例えば、「烈車戦隊トッキュウジャー」のOP、EDの様に当時のパンクシーンの多様な音楽性(スカ、ミクスチャー、エモコア、メタル等など…)を伴ったバンドサウンドをアニメや特撮の主題歌として耳にすることも今では普通になりましたし、当時のバンドマン達が声優さんに楽曲を提供することも今日では珍しいことではなくなった。
 
今期のアニメでいえばthe band apartが作曲をした坂本真綾さんの世界征服〜謀略のズヴィズダー〜主題歌のなんかがそうですし、少し前にはScafull KingTGMXさんが竹達彩奈さんに曲を手供する…という当時のスカコアブームを知る人間ならば驚愕するニュースもありました。
 
■インディーズブームを通過して聴く「ラブライブ!」挿入歌「ススメ→トゥモロウ」
 
上記のエントリでも書かせていただいたのですが、あの熱狂的なインディーズブームというのは確実に、この国のポップミュージックの音楽性の間口を大幅に広げたのだと思います。それは精神としての"パンク"とはまた違ったムーヴメントではあったけれど、アレがあったからこそ、アニメソングや特撮ソングは更なる広がりを見せ、2000年代の後半位からまた新しい顔を次々に見せてくれるようになった。
 
竹達彩奈 / 週末シンデレラ

 
当時は学生だったものの、今ではスッカリいい年をしたおっさんになってしまった自分なんかは、あのブームの熱を懐かしく思いつつ、そんなおっさんになってもやっぱりパンクやアニメや特撮が大好きで、「烈車戦隊トッキュウジャー」を観て、そんなことをふと思ったりするのです。