結婚どころか、恋愛すらマトモにできないような男が見るべき恋愛映画10撰

 

つい先日、誕生日を迎え、25歳になってしまいました…。

母ちゃんの○○○からオギャー!と出てきてから早25年。四世紀半を生きたにも関わらず、嫁どころか恋人すら居ない日々です。
誕生日当日も、ケーキを買ってくるでもなく、奮発してどこかに外食に行くでもなく、普通にスーパーでホッケを買って来て焼いて食べました。
 
一人で? えぇ、一人で。
 

で、寝る前にテレビで「セキレイ」見ながらプリングルスをツマミに缶チューハイ飲んで寝ました。
 
一人で? えぇ、一人で。
 
 
 
もしかして、このままじゃ、俺一生ひとりぼっち?
駄目だ! 駄目だ! このままでは、人生ロクな結末にならない気がする(汗)。
 
・・・しっかし、僕ときたら、結婚どころか恋愛すらまともにできないようなダメ人間なので、もう、女性との接し方どころか人間との接し方にすら、不安が・・・。
 
い・・・いかん、殺人鬼に人がボンボン殺される映画だとか、カンフー・マスターが悪の組織を叩き潰す映画だとか、萌えアニメばかりじゃなく、たまには恋愛映画でも観て、勉強をすべきだ!
ただ、何しろダメ人間なので、世間一般で商業的成功を収めた恋愛映画は「勘弁してください」って感じなのです。
世界の中心で愛を叫ばれても、恥ずかしすぎて「止めてくれ!」って感じなのです。
 
そこで、そんなダメ人間が見ても、拒否反応が出ない、恋愛映画を10本集めてみました。
恋愛できへん子は、とりあえずコレ見て身体を慣らすとエエねん!
中には「コレは恋愛映画なのか?」っていう作品もありますが、まぁ、ダメな人が脳内完結のみで考える恋愛って、こんなもんなんだ〜みたいな感じでゆるく見てやって下さい。
 
 
マーティン・スコセッシタクシードライバー
 

 
いきなりコレ。
孤独で人生なんとなく行き詰ってて、焦燥を感じながらも、日常に生きることしか出来ない男にとってのバイブル。
恋愛モノっていうか、ぶっちゃけ、ほとんどストーカーモノだが、ドン詰まりの主人公トラヴィスが見つけたわずかな人生の希望、そしてその希望を掴み損ねた後の狂気の行動がひたすた胸を打つ。
ダメなヤツほど、トラヴィスに禁忌な憧れを見出すこと必死!
 
 
エドガー・ライトショーン・オブ・ザ・デッド
  
イギリス人の映画監督であるエドガー・ライトが、ジョージ・A・ロメロの「ドーン・オブ・ザ・デッド」に最大限のリスペクトを捧げながら、ホラー・コメディーへ改変した作品。数あるゾンビ映画の中でも、(パロディーにも関わらず!)珠玉の一本!
電気店で働く冴えない男、ショーンは、ある日恋人に愛想を尽かされフラれてしまう。同居人であり親友のピート(絶賛、ニート中)と、なじみのバーでヤケ酒を飲み馬鹿騒ぎをしてウサを晴らすダメダメなショーンだったが、次の日目が覚めると、街にはゾンビが溢れかえっていて・・・。
何より、ダメダメでちょっとオタクが入っている主人公、ショーンのキャラクターがいい。
大好きな家族や恋人や友人を守るために、時に空回りしながらも必死に奮闘する姿は、笑えて泣けます。笑いのセンスや、映像、音楽は、イギリス映画らしく、スタイリッシュなのに、スプラッターシーンもシッカリしているのが、ゾンビ映画ファンには嬉しいね!
「A Romantic Comedy. With Zombies」というキャッチコピーの通り、ゾンビ映画に、恋愛映画の要素を持ってくるというアイデアも素晴らしい。
 
ちなみに、ホラー系の恋愛映画だと、「ロード・オブ・ザ・リング」の監督である、ピーター・ジャクソンの「ブレインデッド」もオススメ!
 
ブレインデッド [DVD]
 
こっちは、マザコン気味の主人公が、恋人を守る為にゾンビと戦うという内容。
半端じゃない量の血糊(どー見てもヤリ過ぎ)の海の中、芝刈り機でゾンビと死闘を繰り広げるマザコン青年の愛の行方に、エールを送りたくなる。
 
 

トニー・スコットトゥルー・ロマンス
 

トゥルー・ロマンス [DVD]

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監督、トニー・スコット、脚本、タランティーノという時点で、完全にオタク向けの作品だが、実際見てみると、本当にオタク向けとしか言いようがない作品なので、大変潔さを感じる一本。
エルヴィス・プレスリーを敬愛するコミック・ショップ店員のクラレンスは、自分への誕生日のお祝いに(泣き)千葉真一主演の空手映画を観に行く。そこで、出会ったコールガールのアラバマと恋に落ちたクラレンスは、「タクシードライバー」のデ・ニーロの如く、彼女の雇い主であるポン引きの男に制裁を加えに行くことを決意。
タクシードライバー症候群(=トラヴィス・シンドローム)」とでも呼ぶべき、興奮状態の中、勢い余ってポン引きの男を射殺するクラレンス! オタクはホントは強いんです!(桜庭和志調)
で、アラバマの荷物と間違えて持って帰ってきた鞄の中には、何と大量の麻薬が! これを使って、西海岸で大儲けしようする二人だったが、麻薬を追ってイタリア・マフィアが追跡を始める。
こうして、クラレンスとアラバマ、二人のクレイジーな逃避行が始まるのだった。
 
オタクが夢見る女性像を、まんま具現化したようなヒロイン、アラバマが(アラバマを演じる、パトリシア・アークエットのルックス込みで)素敵過ぎて、何度観ても胸がときめく。そんな素敵な映画。
 
 

ジャレッド・ヘスバス男
 

 
アメリカの田舎町で繰り広げられる、町一番イケてない男の子と、町一番イケてない女の子の、世界で一番純粋な恋の物語。
全編、ナンセンスなギャグで覆われたコメディーだが、学生生活のヒエラルキーが何気に結構シビアに描かれていて、明らかにヒエラルキーの最下層の人間(ナード、オシャレセンスが最悪な女子、メキシコ人)が、頂点に立っている人間(スポーツマンとチアリーダー)に、逆転勝利を収めるラストは観ていて爽快の一言。
ジャレッド・ヘスは次回作の「ナチョ・リブレ」でも、「弱者が、奢り高ぶっている強者にいびられながらも、最後には勝つ」という姿を描いていて、いろいろ鬱屈していたものがあったんだろうなぁ〜とシミジミと思わせてくれる。
ちなみに原題は「Napoleon Dynamite」。邦題だけ見て、馬鹿にしてると、絶対損をするぐらいおもしろい映画ですよ!
 
 
エイミー・ヘッカリング「恋は負けない」
  
これも「弱者が、奢り高ぶっている強者にいびられながらも、最後には勝つ」作品。
大学進学の為に、田舎から出てきた純朴な青年が、周囲に馬鹿にされながらも、一目惚れした女の子に対して、自分の愛を貫く物語。
しかも、主人公「いい人」過ぎて、相手にも自分の想いが中々伝わらない!
このもどかしさ&ハッピーエンドまでの虐められっぷりが、見ていてなかなかツライもんがあります。故に、ラストの爽やかな幕切れには、心から「良かったね!」って言いたくなる。
恋愛負け組(ちなみに、本作の原題は「Loser」)の男の子が、最後には愛を勝ち取って幸せになるという、これ以上ない程ハッピーは映画。今回、選んだ十本の中では、一番普通の恋愛映画かもしれない。
映画にフィーチャーされたウィータスの「Teenage Dirtbag」もいい感じ。PVでは、映画の主人公達が出てくるよ!
 
Wheatus / Teenage Dirtbag 

 
歌詞の内容も、「メタル好きの男の子が、憧れの女の子と一緒にIRON MAIDENの曲を聴くことを夢見ていたら、彼女も周囲に溶け込んでたのは上辺だけ、実は違和感をずっと感じてて、最後は両思いになれてハッピーエンド!」というオタクが夢見るシチュエーションNo.1な超絶イケてない歌詞で、それは一体どこの大槻ケンヂ著「グミ・チョコレート・パイン」なのか!?
最高です。
 
 
ウディ・アレンアニー・ホール
  
あるインテリ・カップルの愛の行く末を非常にシニカルな目線で描いた傑作。
アレンの映画には、「スリーパー」のようなノーテンキな恋愛(まぁ、アレは純粋なコメディーだからだけど)も出てくるが、こういうシビアな目線で愛を描いた作品の方が、より胸に迫るものがある。
恋人もいないのに、本作を観ると、「あぁ、愛って虚しいものですね・・・」などと、何一つ分かってないくせに、全てを悟った気になってしまうという、頭デッカチさんにとってはマスト・アイテムの恋愛映画であろー。
いや、本当に恋人もできない内に、この映画を観るべきじゃないわ。そりゃ、人生観、恋愛感が捻くれるって!
 
 
ファレリー兄弟「愛しのローズマリー
  
ファレリー兄弟といえば、みうらじゅんも絶賛した、お下劣ラブ・コメディー「メリーに首ったけ」なのかもしれないが、僕は本作の方が好き。
その馬鹿馬鹿しさ、独特の演出のせいで、ともすれば「悪趣味」と思われがちなファレリー兄弟の映画だけど、本作は凄く真摯な愛の映画だと思うわけだよ。
幼少期のトラウマが元で、女性を外見でしか判断できなくなってしまった主人公ハル(=ジャック・ブラック)、ある日エレベーターの中で偶然出合った怪しげな催眠術師に悩みを相談したところ、催眠術で相手の内面の美しさが外見に表れて見えるようになる。街で出合った美貌の女性、ローズ・マリーに一目惚れしたハルは、積極的なアプローチを始めるが、ボランティアが趣味の彼女は、実は超巨体の持ち主で・・・。
いや、この映画の凄い点は明るいラブ・コメディーに見えて、その実「人は、外見が変わっても、相手を愛し続けることができるのか?」っていう非常にシビアな問いをぶつけている所だと思うんだよ。
日本人の感覚からいうと、いまいちスカッとしないラストも含めて、観た後に何だかモヤモヤしたものが残る、お気楽なコメディーとタカをくくって見ると痛い目にあう、何気に深い映画。
これ、劇場公開された時に映画館に観に行ったんだけど、周囲は全員カップルで(ひとりぼっちは、当然僕だけ!)観終わった後、全員がものの見事に「う〜ん・・・スッキリしない!」とでも言いたそうな顔をしてたのがおもしろかったな。
 
 
ジョー・ダンテ「マチネー/土曜の午後はキッスで始まる」
 
マチネー/土曜の午後はキッスで始まる [DVD]

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ホラー映画の古典的モチーフである「狼男」を見事に現代風にアレンジしヒットした「ハウリング」、子どもが見る悪夢を具現化したようなファンタジー映画「グレムリン」(続編では、趣味に走りまくった結果、コメディー映画に)を世に送り出し、いい年こいてアクション・フィギュアが意思を持ち暴れまわるという「スモール・ソルジャーズ」を撮ったりしているオタク馬鹿一代な映画監督ジョー・ダンテがスクリーンに描いた少年少女の甘い恋の物語。
この映画でも、主人公の男の子とヒロインは映画館で恋に落ちるんだけど、きっとダンテも、タランティーノも、学生の頃にモンモンとした気持ちで映画館のスクリーンと対峙しながら、「あぁ〜、俺にも彼女がいたらなぁ〜。女の子と一緒に映画観れたらなぁ〜」とか思っていたのであろう。
何か、甘酸っぱい恋愛映画なんだが、監督の怨念みたいなものが所々に感じられる素敵な作品である。
主人公カップルの恋の行く末も見ものなんだが、それと同じくらいにキャラが立っているのが、劇中に登場する映画監督。
人を驚かすことに人生の情熱の全てを費やし、愛人にも若干呆れられ気味という恐怖映画監督の姿こそ、ダンテがこの映画で描きたかったものなんじゃないかな〜という気も。
シビアな作品ばかりなく、たまにはこんな映画を観て、胸をときめかせるのも悪くない。
 
 
スティーヴン・フリアーズ「ハイ・フィデリティ」
 
ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

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音楽オタクでうだつのあがらないレコード店店主、ロブはキャリア・ウーマンまっしぐらな恋人に愛想を尽かされ家を出て行かれてしまう。
いい年なのに、気付いたら、自分にあるのは会社勤めが嫌で始めたレコード店と、嫌味と皮肉ばかりいうバリーと、気弱なディックという、友人と呼ぶには頼りにならないアルバイト店員の二人だけ。
出て行った彼女には未練タラタラだし、気付いたらディックには彼女が出来、口先だけだと思っていたバリーはバンドを始める。
それに比べて俺は・・・。
モンモンとした気分のまま、今日も心の中でつぶやくのだ。
「俺はいい年してロックなんか聴いているから負け犬なのか、負け犬だからロックを聴くのか、どっちなんだ?」
 
とにかく、うだつのあがらない音楽オタクのモンモンとした日々が延々描かれる映画。
え? それ、何がおもしろいの? って思うでしょ?
うん、見る人によっては、全然おもしろくない映画かもしれないなぁ。でも、音楽が好きだったり、オタク気質を自覚している男だったら、ロブのダメダメぶりに「あ〜」って絶対共感できると思う。
本作は、イギリスの小説が原作なんだけど、舞台はアメリカのシカゴに移してあります。
シカゴって言ったらアレですね。Touch & GoとかWax Trax!とかの、インディーレーベルが生まれた街ですね。
ロブが居座るレジに貼られたTouch & Goのステッカーを見て、ニヤリとできる音楽バカは必見の一本。
 
 
ポール・トーマス・アンダーソンパンチドランク・ラブ
  
ラスト一本はコレ!
ダメ系恋愛映画の傑作! ポール・トーマス・アンダーソン監督の「パンチドランク・ラブ」!
 
真面目で心優しいバリー(=アダム・サンドラー)はごくごく平凡なサラリーマンだが、兄弟が全員、姉ばかりという特殊な家庭環境に育ったせいか、極端にストレスに弱く、テンパるとすぐに大暴れしてしまう。
姉のパーティーで大暴れしたり、「誰でもいいから話を聞いて欲しい」とテレクラに手を出した挙句に悪徳業者にゆすられたりと、ちょっぴりダメダメな日々を送るバリーだったが、彼に突然の転機が訪れる。
ある日、姉の紹介で出会ったバツイチの女性、リナと恋に落ちたのだ。
リナと会う為に、と信じられないエネルギーを発揮し、彼女を追いかけるバリー。
幸せはもうすぐそこまで来ているハズだったが、思わぬ邪魔者が表れる。以前引っかかったテレクラの悪徳業者がしつこく、ゆすりをかけにきたのだ。愛するリナにまで、危害を及んだのを目にした時、バリーが取った行動とは・・・。
 
とにかく主人公のダメダメっぷりが、リアル過ぎて泣けてくる。
アメリカンなコメディー映画ばっかり出てるアダム・サンドラーは(ラジー賞ノミネートの常連)、ダメ男を演じたら抜群に上手いなというのが分かる一本。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で巨匠と呼ぶべき映像世界を繰り広げたポール・トーマス・アンダーソンだが、もう一本だけでもいいから、こういうポップな作品を撮って欲しい!
 
 
 
 
いかがでしょうか?
ものの見事に、オタクかもしくは、ヒエラルキーの底辺にいる人間が主人公の映画ばっかり(笑)。
まぁ、でもこういう作品に描かれている愛こそ、世間一般で言われている純愛なんかよりも、よっぽど世の中の本質というか、真実を描いているような気がするのですよ。
まぁどんなダメ男でも、恋愛映画といえば、この一本! 的な心の名作があると思うので、それを糧にして生きていれば何かいいことあると思うよ!・・・あるんじゃないかな、っていうか、なかったら嫌だ、救われなさ過ぎる!
あ、あと、女の子は、今回紹介した10本を参考にオタク野郎かダメ人間と恋に落ちて、社会の負け犬に愛のボランティアをしても、決して罰は当たらないと思うよ!
とりあえず、出会いの場所は高田馬場早稲田松竹か、池袋の文芸座で!