「イントゥ・ザ・ワイルド」と「崖の上のポニョ」

 
 
 

今更ですが、「イントゥ・ザ・ワイルド」と「崖の上のポニョ」を観てきました。
 
イントゥ・ザ・ワイルド」は、非常に思索的なロード・ムーヴィー。
出生に問題を抱えた主人公が広大なアメリカ大陸を放浪するんだけど、何より劇中での風景描写が圧倒的で良かった。
劇中での音楽にエディ・ヴェダーPearl Jam)を持ってくるセンスも素晴らしい。
ともすればくどい位にアメリカンな風景と音楽がスクリーンに映し出されるんだけど、主人公の反・物質主義的な主張とか、ヒッピーと犯罪者とかヌーディストみたいなオルタナティヴな人間への目線が優しくて、あんまり過剰な感じはしなかったな。
 
とにかく役者さんがイチイチはまり役で、ヒッピー役の人や農民が、どう見てもホンモノの人にしか見えなかったのも凄かった。
 
人生の最期で真理にたどり着くも、もうその時には手遅れで…っていうラストはもの悲しかったけど、そこに至るまでの過程が本当に丁寧に描かれていて、「そうなるまで」に凄く必然性と説得力が感じられたな〜。(まぁ、そもそも実話なんですがね)
 
まぁ、でも僕はこういう生き方はできないな〜と痛感した。しんどくても、現実との折り合いを見つけることの方が、世に生きる大多数の人間にとっては重要なんだと思う。実際のところは。
 
あ、あと劇中に出てくる延々オッパイ丸出しの快楽主義者カップルがバカで良かったです。テーマがテーマなんで、アレは結構見てて救われた(笑)。
 
 
で、ちょっと重めの「イントゥ・ザ・ワイルド」を観た後に、「崖の上のポニョ」を観たんだけど、
例えばコレみたいに深読みすればいくらでもできるんだけど、あんまり頭を使わなくても観れちゃう、みたいな…何とも不思議な作品だったなぁ、と。
 
うん、映画っていうよりは御伽噺とかに近い感じ。
 
世界が水没してるのにア、ッサリ状況を受け入れて平然と船こいでる街の住人とか、周りの人が必死に止めてるのに、嵐の中をワザワザ危険な道を通って自宅に帰ろうとする主人公の母親(声優が山口智子さん!)の行動とか、常識に雁字搦めになってる大人の視点から観ると「?」な部分が多数あったんだけど、子どもらは「キャッキャッ」言って喜んで観てたので、アレはアレでOKなんだろうなぁ。
 
僕が予想してたおもしろさとは全然違ってたけど、100分間。過不足なく楽しめました。
 
いや〜でも、観た後だから言うけど、僕観る直前までフジモトは悪人(いや、あれ人なのか?そもそも)だと思ってたんだよね。
全然見当違いの意見は重々承知だけど、ポニョの分かりづらいおもしろさの一因って悪人がいないことなんじゃないかな、と思った。
そう考えてみると、宮崎アニメの中で「天空の城ラピュタ」におけるムスカの存在っていうのは、やっぱりズバ抜けてるなと思った。
ラピュタ」は完全なムスカがいるお陰で、エンターテインメントになってるんだよな〜。