「好きなもの」を絶対に裏切れないから、オタクやファンはルールを守る

 
Blogを始めて、丸2年ほど経つのですが、前回のエントリには、今までで最多のブックマークをいただきました。
 
該当エントリに対し、直接コメント欄で、あるいはトラックバック先のブログやブックマークのコメント欄にて、様々な方から貴重なご意見を多数いただきました。本当に、ありがとうございます。
 
また、エントリを取り上げていただいた各ニュースサイト様、該当エントリにはてなスターを付けていただいた皆様。こちらも併せて、ありがとうございました。
 
ただ、自分の文章のせいで、目を通していただいた方に余計な誤解を与えてしまったり、不快な思いをさせてしまったり、といった面もあったと思います。誰もが閲覧することができる「web」という場に、まがりなりにも文章を書かせていただいている身として、コメント欄等でいただいたご意見、ご指摘は真摯に受け止めさせていただきます。
 
 

 
特に申し訳ないと思うのが……該当エントリでは、ロリコンに、春は来ない。」という強烈なキャッチコピーを起点にエントリを書いてしまったために、このコピーの語感だけが先行してしまい、エントリを目にしていただいた一部の方々に、誤解を与えてしまったことです。
 
この「ロリコンに、春は来ない。」という表紙のコピーは、単体では言葉に込められた真意は伝わりません。裏表紙や編集後記を併せて読むことで、本来の意味とメッセージが分かる仕組みになっているのです。
 
あまり、書くとネタバレになってしまい、このコピーに込められた真意を知った時のインパクトが薄くなってしまうので、詳細は控えますが、
 
ただ、ロリコンに、春は来ない。」=「No Future For Lolicon」っていう、セックス・ピストルズ「Gad Save The Queen」の歌詞みたいなニュアンスではないです。「ロリコンに、春は来ない。」の本意は、ペシミスティックな意味じゃなくて、ロリコンに関わる人たちの真摯な決意と言えばいいのかな。
 
とにかく、この言葉に多少なりとも感銘を受けた人間の一人として、是非「LO」を手にとって、この言葉に込められたメッセージを確かめていただくのをオススメ……するのは、「ロリエロ漫画」という雑誌の特性上、ちょっとしづらいのですが……「ロリコンに、春は来ない。」っていう言葉に、ちょっとでも引っかかった方や目を惹かれた方、特にこの言葉をペシミスティックなニュアンスでとらえている方は、「ロリコン」に対して、こんなに真剣に考えている人もいるんだぞ、という事を知る意味で、雑誌の方も一度目にしていただければ、と思います。
 
 
 
以下、前回のエントリの追記というには、内容がとっ散らかっているのですが、ホラー映画やプロレスのように、「世間一般からは、ちょっと蔑視されがちな文化」を偏愛する人間の端くれとして、自分なりに「LO」や「ロリコン文化」に対して考えたことを書かせていただこうと思います。
 
 

■「ロリコン」は不条理なものだから

私は、「もう、お前は『8 1/2』以降のフェデリコ・フェリーニか!?」って言われそうなくらい、女性の容姿の好みっていうのが偏っていて、グラビア、アイドル雑誌の「BOMB」で、ほしのあきさんや、堀田ゆい夏さん、山崎真実さん、秋山莉奈さんなんかがグラビアが載っていると即購入して、一日中ニコニコしながら眺めてるような人間なんですが(要するに、スレンダーなんだけど、胸やお尻が極端に大きい女性が好きなんです。ちなみに、フェリーニは、巨乳好きというよりは、肥満体、ポッチャリ好きの人ですよね)、
 
で、私みたいな人間が好むセクシャルなイメージって、日常にごくごく普通に溢れているんですよね、テレビのバラエティー番組に出ているセクシータレントや少年誌のグラビア、ビキニのお姉さんがジョッキ片手に微笑んでる生ビールの広告のポスター、ハリウッド産アクション映画のヒロインやヒップホップのPVWWEみたいなアメリカのプロレス中継に登場するディーヴァとか。
 
だけど、少女に対するセクシャルなイメージっていうのは、社会の良識や法規制で世の中から排除されています。
 
それって、子どもを守るのに絶対に必要なものだっていうのは分かっているんです。分かってはいるんですが…「性」っていうのは、物凄く人間の根幹な部分なわけで、「ロリコン」っていう性癖を持ったが上に、苦悩や葛藤を抱えている人がいると思うと不平等……いや、違うな……自分には「性」っていうものが、とてつもなく不条理なものに思えてくるんです。
 
世の中には多種多様な「性」のあり方が存在しますが、「ロリコン」の不条理さは突き抜けてると思うんですよ。
 
当然、その不条理によって子ども達が傷つことは絶対あってはいけないわけで、ロリコン表現が規制を受けるのは当然のことです。ただ、そういう「不条理さ」を自分たちなりに整理し自戒を込めながら表現しているのが「LO」なのかな、なんて私には感じられるのですが…。
 
 

■「好きなもの」は裏切れない。

そういう「不条理さ」に立ち向かう武器、あるいは自制心の砦になるのが、ジャンルへの「愛」だと思うんです。
 
これは、ロリコンに限った話ではなくて、ミリタリー・マニアもそうだし、ホラー映画のファン、ハードコア・パンクみたいにエクストリームな音楽表現のファンとか、あとは「暴力」っていうのを先に見据えると一般的なポルノなんかもそうかな。
 
世間一般からはなかなか理解されないし、光もあたらない(というか、あたっても困るんですが…)。
 
だからといって「理解してくれ」「規制を緩めてくれ」なんて自分勝手な権利を主張するつもりはないんです。
ただ「私たちは世の中に対して迷惑をかけるつもりはありません」「何故なら、私たちは、このジャンルを愛しているからです」ということは、世の中に伝えておきたいな、なんて思うんです。
 
「ゾンビ」や「死霊のはらわた2」みたいな映画として突出した作品がテレビで放映されなかったり、暴力描写が規制されて映画やアニメの表現に制限が設けられてしまったり、鬼束直先生の作品のような凄い漫画がなかなか人の目に付かない、っていうことに対して「もったいないな…」という気持ちは、ちょっぴりあるのですが、不特定多数の人に自身の好みや感性を押し付けることはできないし、そういうマニアックなジャンルが世間一般から求められているとも思いません。
 
だから、そういうマニアックで、世間から白眼視されている世界だからこそ、万が一禁忌を破ってしまった場合にどうなるか、ということを常に頭に入れておかなければならないし、考えなきゃいけないんです。
 
ロリコン漫画にしろ、ホラー映画ファンにしろ、本当のファンだったら、禁忌を犯して自分の欲望を最優先させるような愚かな真似はしません。
 
だって、そんなことをしてしまえば、自分の好きなものが傷ついて、その好きなものを一生懸命作ってくれた製作者や、同じ好きなものを共有する仲間たちに迷惑がかかるから。
 
自分の好きなものだからこそ、絶対に裏切れない。
 
ロリコン漫画」の世界で、そういう啓蒙活動っていうか、メッセージみたいなものをずっと送信し続けているのが「LO」だと思うんですよね。それっていうのは、「私たちは、ロリコン漫画を愛しているし、ロリコン漫画を世に送り続けたい。そのために必要なものは貴方達の良心なんです」という確認作業でもあります。
 
「LO」のメッセージや意見広告って、ロリコンの人に向けたものであって、世間に向けて発信されているわけではないんですよね。それこそ「理解してくれ」「規制を緩めてくれ」なんていう主張は行っていないわけです。
 
時折、ユーモアや自虐を交えながら、読者に対して「好きなもの」への愛の度合いを確認する「LO」。
「好きなもの」を本当に愛しているのなら、ルールを守り、決して一線は越えない、他人や社会に迷惑をかけない。
これって、そのまま他のマニアックな文化を偏愛している人間への問いかけでもあるんですよね。
 
「LO」の「YES!ロリータ NO!タッチ」って「ロリータ」と「タッチ」の部分を入れ替えれば、そのまま他ジャンルへの自戒の言葉にもなるんですよね。それっていうのは、「YES!ホラー・ムーヴィー NO!マーダー」でもいいし「YES!ミリタリー NO!ヴァイオレンス」でもいいわけです。
 
そのメッセージっていうのが、ロリコンに限らず、マニアックなジャンルを偏愛している人間にとって、凄く胸を打つんだと思います。よくネット上で「COMIC LO論」みたいなものを目にしますが、それって凄く「LO」っていう雑誌を美化するわけでもなければ、ロリコンを正当化したいわけでもなくて、雑誌が持つメッセージ性に心が動かされた人間が、自分なりにその感情を表現しようとした結果なんじゃないのかな、なんて私は思います。