「夕やけニャンニャン」 - 「にゃんこい!」における、夕やけのセンチメンタルな光と切ない恋心について

 

 
にゃんこい!」ニャンコ09匹目!「ガールズ・イン・ザ・ウォーター」
テレビアニメにゃんこい!」のファンとして、そして住吉加奈子大好き人間として、この場を借りて声を大にして言わせてください。
 
 
「最高のエピソードでした!」と。
 
 
もう、あんなに素晴らしいアニメを観た後だったら、今すぐ死んでしまっても決して後悔はしないです!
 

 
…でも、「にゃんこい!」最終回まで観たいんで、やっぱりあと一ヶ月は最低でも生きたいです…。
 
潤平の楓に対する思いを知っているが故の、切ない加奈子の恋心を描いた「ガールズ・イン・ザ・ウォーター」。Aパートで能天気なお色気回に見せかけておいて、急転直下のBパートでは潤平と加奈子の心のすれ違いを描く構成と脚本の上手さに加えて、感傷的なエモーションを作品の受け手に伝える演出の数々も非常に冴え渡っていた印象を受けました。
 
もう、どんなに言葉を尽くして褒め称えても、自身の感情を全て書き出せないくらいに感銘を受けたエピソードだったのですが、中でも特に印象に残った劇中の見せ方、Bパートで多用されていた夕やけを上手く使った演出についてエントリを書いてみたいと思います。
 
 

■「夕やけ」を見せるのが上手い「にゃんこい!」

元々、「にゃんこい!」というアニメでは、夕やけのロケーションが多用されていた印象があります。
 

 
陽が完全に沈んでしまう前の瞬間の輝き、鮮やかなんだけど何だか物寂しくセンチメンタルな光。こうした夕やけを用いたシークエンスの数々は「にゃんこい!」というアニメ作品において、二つの大きな効果を挙げているように思います。
 

1.劇中での時間の経過が、視覚的に観る人に伝わる。
 
2.キャラクターの感情表現を託したり、作品内で感傷的な空気を描くことができる。

 
にゃんこい!」は、劇中で時間の経過をかなり意識的に描いているアニメ作品だと思うのですが、それがこの作品におけるテンポの良さや、小気味良いリズム感にも繋がっている印象を受けます。空の色の変化で時間の経過をキッチリ表現することによって、作品内のドタバタ感が増しコメディの密度が増しているように思うのです。
 
そして、そうした中で活きてくるのが、キャラクターの感情や感傷的な雰囲気を空の色によって表現をする演出です。
 

 
例えば、第5話での「四角関係の刻(タイムズ・スクウェア)」で遊園地から帰るシーンや、第7話の「暗くなるまで待って」の河川敷から夕日を眺めるシーンでは、各キャラクターそれぞれの距離感や想いが、夕やけの感傷的な光に託されて描かれ、観る人のエモーションに雄弁に語りかけてきます。
 
こうした見せ方が、「ガールズ・イン・ザ・ウォーター」のBパートでは巧みに使われており、住吉加奈子というキャラクターの切ない恋心が見事に表現されていたように思うのです。
 
 

■住吉加奈子の切ない恋心と感傷的な夕やけの風景


 
風邪を引いた潤平を見舞いにくる加奈子。潤平の家のお向かいに住んでいる我が侭な猫、チャトラの存在を絡めながら(また、この猫の我が侭っぷりに絡めて、潤平の無神経っぷりと鈍感さを描く構成が巧み!)話は展開をしますが、そこで効果的に使われていたのが、やはり夕やけのセンチメンタルな光。
 

 
数年ぶりに入った幼馴染の部屋に差し込む夕日や、ベランダを照らす夕やけの光。その感傷的な光が、加奈子の届くことのない潤平への想いと二人の距離を残酷なくらいセンチメンタルに照らし出します。
 
言葉を使うよりも遥かに多くのエモーションを物語る夕やけの風景が、このBパートでは印象的に使われていましたが、中でも特に印象に残ったのが信号機を使ったストーリーと心理描写の描き方です。
親友の楓に対する友情と、加奈子の恋愛感情に全く気付く様子のない潤平に対する苛立ちとで、頭の中がゴチャゴチャになっている加奈子の気持ちを表すかのように登場する赤信号。
 

 
そしてその信号は、加奈子の携帯に届く潤平のメールをきっかけに青へと変わり、再び動き出します。
 

 
つまり、加奈子の潤平に対する想いはto be continued。
 
思考や気持ちを信号機に託すのは、割かしベタな表現方法と言えると思うのですが、それも夕やけの光の中だとグッと映えて、また重みも出てきます。この辺りのセンスっていうのは、ホントに…住吉加奈子というキャラクターが自分は大好きで、感情的に凄く肩入れをして「にゃんこい!」というアニメを見ているので、エモーションを完全に持っていかれてしまいました。
 
 

■「ガールズ・イン・ザ・ウォーター」における空の描き方

結局、潤平は加奈子の想いに気付くことなく(ホンットに鈍感過ぎ!)、次の日を迎えるわけですが、そこでの見せ方も抜群に巧いです。
 

 
念入りに入射光まで描かれ、眩しいくらいに明るい空気が強調された翌朝の学校の描写。そして、自分の想いを胸にしまい込み、潤平と軽口を叩いていつも通りに接しようとする加奈子。
ここでは明るい朝日を用いることによって、前日の夕やけの中での切ない雰囲気との間にギャップを生みだし、そこから加奈子の秘めた想いを更に浮かび上がらせているように思います。この辺りの空と光の見せ方もセンス抜群だなと思うんですが…いや〜それにしても切ない! で、そこからラストシーンのアノ一言に繋がるわけで…。
 

 
プール回のAパートでは曇天を描くことで、Bパートとの間に色彩や物語の雰囲気のコントラストを付け、メリハリを生み出していましたし、この辺りの「空」と「光」の使い分けの上手さ、そしてそれによって一層映えてくる夕やけの見せ方ですよね。
 
もう、何というか住吉加奈子というキャラクターに対しては、切なくてイジらしいとしか言い様がないんですけど、その辺りを見る人に印象付ける演出の数々に、加奈子に幸せになって欲しい自分は、軽く苛立ちを感じてしまう位、今回のエピソードには上手さを感じてしまいました…。
 
 

■まとめ

ハイテンションでスピーディーなコメディ描写が魅力的な「にゃんこい!」ですが、実はこうしたセンチメンタルな心理描写…届かない想いであるとか、すれ違いであるとか…を描くのも、非常に上手いアニメ作品だと私は思います。中でも、印象に残るのが空、特に夕やけを使った見せ方の数々かな、と。
 
「ガールズ・イン・ザ・ウォーター」というエピソードは、そうした上手さが特に冴え、加奈子のキャラクターが非常に切なく、でも一方では魅力的に描かれた回だったと思います。
これからも筆者は、にゃんこい!」というアニメを、そして加奈ちゃんを心から応援していきたいと思います。
 
 
 
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