超個人的に、2010年で印象に残ったアニメ音楽のトピックス、アレやコレや



本年度のアニメ音楽について思ったことやらエキサイトさせられたことなんかをアレやコレやと自分なりに書いてみようかな、と。年末ですしね〜。
 
とはいえ、現在の豊潤なアニメ音楽事情を振り返ってみれば、その注目点や論点は人によって千差万別だと思います。そういう中で、2010年のアニメ音楽というものを顧みた時に、最少公約数であり普遍的なテーマになりえるのって、やっぱりけいおん!Angel Beats!だと思うんですが、その2作品に関しては、たまごまごさんや「まごプログレッシブ」SIZさんが、それはそれは尋常じゃない熱量でエントリを書かれているので、今回は「けいおん!!」と「AB」はショートカットをさせていただいて、本当に超私的な視点と嗜好で感想文をまとめさせていただきます!
 
 

■ミュージシャンがクリエイトするアニメ音楽


   
今年のアニメ音楽を振り返った時に、まず一番最初に鮮烈なイメージとメロディでもって脳裏に思い浮かぶのが、はなまる幼稚園」「HEROMAN」「パンティ&ストッキングwithガーターベルトといった、アニメ専門でないミュージシャンが音楽に携わった作品たち。
それぞれ、COALTAR OF THE DEEPERS(祝! 来年復活!!)、特撮のNARASAKI、元DMBQの吉村由加とBuffalo Daughterのシュガー吉永によるガールズ・インスト・メタルバンドのMETALCHICKS、そしてm-floの☆Takuが音楽面でクリエイティブな活躍を果たしたこの3つの作品は、2010年の「アニメと音楽」を振り返る上で欠かすことのできない作品なのではないかと個人的に思っています。
 
また、それぞれのバンド、ミュージシャンの音楽シーンにおける立ち位置を考えてみると、この3作品、3組のレイアウトもそれぞれ個性があっておもしろいですよね。90年代後半のジャパニーズ・オルタナシーンの中心的ミュージシャンだったNARASAKIさんや、シュガー吉永さんと、世に多数のヒット曲を送り出し、音楽チャートを賑わせるm-floのメンバーが「アニメ音楽」というキーワードで一緒に名前を並べることができるというおもしろさ。
 
この場合、「マス」と「コア」という区分は極端で大雑把過ぎるので何の意味も持ちえませんが、それでもこの間口の広さや人選の自由さというのは、アニメと音楽、両方大好きな自分にとって、本当に嬉しくて幸せな傾向だったりします。
私、今年METALCHICKSのライヴを観る機会があったんですが、その時なんて海外のドゥーム・メタルバンドの来日のサポートで、ハードコアやグラインドコア系のバンド(ABRAHAM CROSSとか)と共演してましたからね…METALCHICKS。そんなバンドやm-floまでもが「アニメ」に託して素晴らしい楽曲を届けてくれた2010年。 
 
勿論、アニメ専門でないミュージシャンやバンドがアニメ音楽に参加した例は、これ以前にも山ほどありますし、NARASAKIさんなんて「はなまる幼稚園」以前に「さよなら絶望先生」の楽曲を手掛けていたりもするんですが、こういったバラエティに富んだミュージシャンの登場は、非常に大きなインパクトがあったように思います。
 
 

■ますます先鋭かつマニアック化するカヴァー曲!


 
そして、「はなまる幼稚園」や「HEROMAN」といった作品とはまた違うアプローチで、音楽とアニメをクロスオーヴァーさせたのが声優さんが歌う歌謡曲やJ-POPのカヴァー。
ダンス イン ザ ヴァンパイアバンドレベッカ「フレンズ」に始まり、昨年に引き続き昭和コロムビア系の歌謡曲がEDで使用されたそらのおとしもの、「キャプテン・フューチャー」の「おいらは淋しいスペースマン」を劇中でフューチャーしたあそびにいくヨ!(これは、アニソン同士のカヴァーですよね)、影山ヒロノブLOUDNESSのメンバーが在籍していたHRバンドLAZYのヒット曲をテクノポップ調にアレンジしたオオカミさんと七人の仲間たち、そして99年のJ-POPが満載だった世紀末オカルト学院といった作品が思い出されます。
 
らき☆すた」辺りからアニメの中でカヴァーを行うという試みが頻繁に行われ始めたように思うのですが(この辺の認識と時間感覚、ズレていたらすいません…)、まぁ、楽曲のセンスとチョイスがマニアックになっていますよね、年々。
こういう音楽的なヒストリーと隠れた名曲の掘り返しなんかが、アニメで行われるようになったというのは個人的に非常に興味があります。
で、一方で「1999年」という時代感覚のリアリティを当時の流行歌に乗せて表現をした「世紀末オカルト学院」のような作品や、作品のテーマになっているお伽噺のイメージとキュートさをLAZYの「赤頭巾ちゃん御用心」に託した「オオカミさん」のように、そのチョイスが単なるネタに収まらず、作品自体を形作るツールとして非常に上手く使用した作品も印象に残りました。
 
カヴァーの選曲センスにますますディープな磨きをかけつつ、「表現」の手法として活用されていた2010年のアニメ作品。来年は、一体どんなアニメがどの楽曲をカヴァーするんでしょうかね? 今から、非常に楽しみです!
 
 

■超個人的に、今年印象に残ったアニメソング

   
最後に、超個人的に2010年のアニメ音楽で特に印象に残ったトピックスをいくつか。まずは思い起こされるのが、清浦夏実さんのファーストアルバム「十九色」がリリースされたこと!
 
私、「スケッチブック〜full color's〜」の大ファンなもので、清浦さんの歌にはデビュー当時から注目をしていたのですが、いくつかのアニメ作品の主題歌としてリリースされた楽曲が、こうして一つのマテリアルとして結実したのは感無量。また、それがファーストにして大傑作だったもんですから…本作は、今年のヘビロテアルバムでした。
 
また、デュラララ!!の主題歌として、THEATRE BROOKが「裏切りの夕焼け」で復活を果たしたのも忘れられません!
 


 
学生の頃、「男臭いロック」といえば、ミッシェルやエレカシよりも、シアブル派な人間だったもんで…。そんな彼らの復活の場が、アニメ主題歌っていうのも何だか大変に嬉しかったですね〜。「デュラララ!!」」劇中での使われ方も、単純に90秒間のタイアップというわけではなく、楽曲に回想シーンやモノローグを合わせたりとか、凝った演出がされていましたし。
 
そういえば、清浦さんの「僕らの合言葉」(「ケロロ軍曹」)や「虹色ポケット」(「ささめきこと」ED)の編曲を務め、音楽的なブレーンになっているのが山本隆二氏ですが、この方、これまた私の好きな安藤裕子さんのプロデュースも手掛けていらっしゃるんですよね。で、その安藤裕子のバックバンドにドラマーとして参加をしているのが、THEATRE BROOK沼澤尚さん。更に、そのバックバンドにはキーボード&コーラスとして、あの新居昭乃さんも参加されていて…と、この辺のピープルズツリーを紐解いていくと、またおもしろい「アニメ」と「音楽」を巡るトピックが色々と出てくるのも素晴らしい!
 
繋がっていくんですよね、全部。
  
 

■まとめ

こんな感じで、2010年のアニメ音楽を好き勝手に語らせていただきました。
アニメ専門のミュージシャンや声優ソングなど、従来の「アニソン」と、本来はアニメの外にいたミュージシャンやバンド、曲による近年の「アニソン」をちょっと分け隔て捉えすぎかな? とも思うのですが、個人的にはその辺のミクスチャー感覚に琴線をビンビンに刺激されまくっているので、こんな感じのまとめになっちゃいました。
 
そんなわけで、2011年も素晴らしい「アニメ音楽」に出会えますように!
 
 
 
<関連エントリ>
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