「けいおん!」とプロレスに見るキャラクター性 - 放課後ティータイム=四天王プロレス説!

 

  
最近、けいおん!を観返していたら、凄いことに気が付きました…!
 
このアニメのキャラクターって…全日本プロレスのレスラーがモデルになっていたんですね。自分はアニメファン、プロレスファンを自称しているにも関わらず、今の今まで気づきませんでした。何ていうか…本当に、お恥ずかしい限りです(恥)。
 
というわけで、今回はけいおん!」と「プロレス」についてアレやコレやと書いてみたいと思います。
 
 

放課後ティータイム四天王プロレス

周知の通り、「けいおん!」の各キャラクターの名前には、P-MODELThe Pillowsといったバンド、ミュージシャンの名前が引用されているわけですが、それと同様に、そのキャラクターの性格付けやポジショニングには、四天王プロレス時代の全日本プロレスへのオマージュが捧げられています。
 
四天王プロレスというのは、三沢光晴川田利明田上明、小橋健太の四人のレスラーが全日マットで創り上げた新しいプロレス。過激な投げ技や打撃、容赦のない攻め、ハードコアなバンプ(受け身)、そしてその攻防が混然一体となった時に浮き彫りになるレスラーの感情と観客の熱狂…。
90年代のプロレスブームの際に、全日本プロレスが大躍進を遂げる原動力となったプロレスのスタイル。それが、四天王プロレスであり、放課後ティータイムの原点もここにあるのです。
 
例えば、「けいおん!」の主人公である平沢唯。この娘なんかは、完全に小橋健太(現:建太)ですよね。
 

 
明るいキャラクターと天然ボケな言動な数々で、誰からも愛される絶対的なベイビーフェイス。老若男女、皆からの支持を受けるその姿に、プロレス界の鉄人と平沢唯というキャラクターを重ね合わせてみることが可能でしょう。
アニメ版の第一期最終話では、幼少期に親友の和の家の浴槽をザリガニで埋め尽くすというケンドー・ナガサキとの『アマゾンリバー・ピラニア・デスマッチ』で、水槽一杯に殺人魚を放った松永光弘的なシークエンスがありましたが、
 
<ケンドー・ナガサキ vs. 松永光弘「アマゾンリバー・ピラニア・デスマッチ」>

 
それを思えば、アレも小橋が北海道で蟹を使った珍特訓中に、乳首を蟹に挟まれ悶絶した名(迷)場面へのオマージュ甲殻類的なギャグだったんでしょうね、きっと。
 

 
その内、東スポの一面に「ザリガニが逆襲 平沢唯 あわや乳首切断」という見出しが躍る日も決して遠くはないでしょう。
 
唯が小橋なら、秋山澪田井中律は、それぞれ三沢光晴川田利明
 

 
三沢と川田は足利工業大学付属高校の先輩後輩だった間柄。対して、澪と律は幼稚園時代からの幼馴染…と、全日入門、放課後ティータイム結成の前から面識があり、周囲のメンバーよりも長い歴史と深い関係性を持つことで、「全日本プロレス」と「けいおん!」という二つの物語の中で、彼、彼女らにしかできない特別で独自の世界観を作ったところがまんま被ってるな〜と。
自分なんかは澪×律の同人誌を読む度に、武道館の三冠戦で川田が腕を折りながらも三沢にパワーボムを仕掛けた名場面を思い返してしまい目頭が熱くなってしまいます…。
 
また、この二人の場合は、そのファン層を見ても見立てが可能ですよね。
その甘いマスクで幅広い層からの指示を得た三沢、澪と、ファンの数自体は三沢や澪に比べると少なくとも、特に熱狂的なファンが付いた川田と律。
もう、この辺りまで川田のストレッチ・プラムと冬木弘道のフユキスペシャルくらいソックリ(小指一本の角度が違う!)です。
 
で、残る「ムギ」こと琴吹紬なんですが…この娘は、もう説明不要でしょうが、残る四天王の一角、田上明その人です!
 

 
軽音部に入る前から楽器の心得があった紬と、プロレスに入る前は角界において「玉麒麟」の四股名十両まで昇り詰めた田上明。お互いに、それぞれの道に入る前から確かな実績と実力を持つエリートタイプ。しかしながら、おっとりしていて、とことんマイペースな辺りがムギとダイナミックT*1の両者に通じるところ。「俺が田上」*2ならぬ「お前が田上」!
一方で、「ここぞ!」という時には内に秘めた熱いものを爆発させるトコロもよく似ています。田上なんて、昔、飼い犬に手を噛まれたことに激高して、日本刀を抜いて犬を追掛け回したこともありますからね。田上火山大噴火。
 
 

あずにゃん秋山準

もう、こうやって見てみると放課後ティータイムのモデルになっているのは、三沢、川田、小橋、田上の四天王であり、放課後ティータイム全日本プロレスであるのは明らかなわけですが、では、「あずにゃん」こと中野梓のモデルになっているのは誰なのでしょうか?
 
あずにゃんのキャラクター性と物語での立ち位置は、放課後ティータイムの初期メンバー(=四天王)より遅れてきたルーキーでありながら、凄腕のテクニックを持ち、上の世代に負けない人気を得た…といったところですが、これを全日のレスラーに当てはめると…もう、お分かりですね。そう、あずにゃん秋山準です!
 

 
アマレスでズバ抜けた実績を引っ提げ鳴り物入り全日本プロレスに入団し、三沢ら上の世代とはジェネレーションを隔てながらも、それに負けない熱く激しい試合内容で四天王プロレスの世界に食い込み、数多くの名勝負を生み出した秋山。
小橋(=唯)と特に強い絆を持っている辺りや、根が物凄くマジメな辺りにも、あずにゃんのキャラクターに秋山準が多大な影響を与えているのが窺えます。秋山、マジメ過ぎて、一時期パニック障害になりましたからね。
あずにゃんが一度はライブハウスでメンバーを集めようとするものの、違和感を感じ、結局軽音部に入部するというくだりも、秋山が一度は社会人として就職を決意するも、夕刻のバスに乗った際に、疲れ切った会社帰りのサラリーマンの顔を見て「やっぱり、俺には背広仕事は無理だ…」と思い直し、全日に入団したというエピソードを、まんま「けいおん!」というストーリーの中にリサイズしたものでしょう。かきふらい先生は、きっと秋山の大ファンだったんでしょうね。
 
ちなみに、秋山が作ったユニットスターネスで行動を共にしていたのが「泉田純」。そして、あずにゃんの親友の名前も「(鈴木)純」
 

  
こんなところも、あずにゃん秋山準たる由縁。その内、純ちゃんが「鈴木純至」とか「鈴木龍角」とか「SUZU」とか、本家の泉田よろしくやたらと名前を変えたり、ザクレロみたいなメイクをして、ジャイアント・キマラと抗争を開始したりするハズです。あぁ、隕石*3
 
 

放課後ティータイム四天王プロレス…では、さわ子は…?

放課後ティータイムの5人のガールズたち…唯、澪、律、ムギ、あずにゃんは、それぞれ、小橋、三沢、川田、田上、秋山がモデルになっているわけですが、続いて「けいおん!」に欠かせないサブキャラクターたちが、一体どのレスラーが元ネタになっているのかを考えてみたいと思います。
 
先ずは、軽音部の顧問である、さわちゃん先生こと山中さわ子。さわ子といえば、マジメな女教師という表の顔と、実はダラシなく、しかもメタルバンドをやっていたという裏の顔とのギャップが大きな魅力になっていますよね。普段の素顔とDEATH DEVILでのキャサリンという二つのパーソナリティーが存在していると。まぁ、その辺りを考えたら、これはもうモデルになっているのはスーパー・ストロング・マシンで間違いないでしょう。
 

 
マシンも、"戦慄の殺戮マシーン"スーパー・ストロング・マシンと、素顔の平田淳嗣という二つの顔が存在していますから、原作者のかきふらい先生もマシンの二面性に「山中さわ子」というキャラクター造形に多大な影響を受けたのでしょう。
そう考えてみると、さわ子のキャサリン時におけるデス声も、スーパー・ストロング・マシン異常に滑舌が悪い&声がくもぐり過ぎていて、サッパリ何を言っているのか分からないマイク・アピールへのオマージュだと考えれば納得がいきます。
  

 
おいしんしゃーおし! 
 
そういうわけで、私は山中さわ子というキャラクターは、放課後ティータイムがイコール三沢や小橋といった四天王であるのと同様に、全日本プロレスをモデルにしているに違いないと思っているんですが…。
 
「いや、それはいくら何でも違うだろ」と「無理やりのこじつけだろ」と、そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
 
…確かに。
 
……確かに、スーパー・ストロング・マシン新日本プロレスの所属選手であって、全日本プロレスの選手じゃないですよ。(そっちかよ!)
ショッパイ試合で、スイマセンでしたぁ!(byスーパー・ストロング・マシン
 
ただよく考えてみてください。マシンはヒロ斎藤高野拳磁と一緒にカルガリーハリケーンズとして全日に上がっていますから、全日のスタイルや試合のリズムにも対応できるので全く問題はないはずです!
そういえば、さわ子率いるDEATH DEVILのセカンドシングルのタイトルは「LOVE」…。武藤敬司が社長に就任し、新体制となった全日本プロレスにおいて、スーパー・ストロング・マシン「スーパー・ラブ・マシン」というリングネームで、嵐*4とのユニット「ラブ・マシーンズ」を結成。対戦相手を檻に閉じ込める*5など、リング上で無法の限りを尽くしていましたが、この「LOVE」というキーワードを通して繋がる辺りも決して偶然とは思えません。
  
残念ながら、三沢や川田や小橋といった四天王プロレス勢(=放課後ティータイム)とは活躍した時代を、やや異にしていますがその辺りも含めて、敢えて「教師」として物語の中に配置する辺りに、かきふらい先生のストーリーテラーとしての巧みさが、マシンのマスクに縫い付けられたラメの輝きばりにキラリと光っていますよね。
 
ちなみに、スーパー・ストロング・マシンの入場曲ハリケーンズ・バム」(超名曲!)を作曲した「福来良夫」はP-MODEL平沢進の変名。
藤波辰爾が覆面レスラーであるスーパー・ストロング・マシンの正体をカメラの前でバラした際の名(迷)言といえば、「お前、平田だろ!」ですが、この場合は「お前、平沢だろ!」なわけです。
 <スーパー・ストロング・マシン入場曲「ハリケーンズ・バム」>

 
けいおん!」キャラクターの名前を見ても分かるように、「けいおん!」は全日本プロレスと同様に、P-MODELからも大きなインスピレーションを受けているわけで、ここでP-MODELとマシン、そして「けいおん!」という作品が繋がってくるのは如何にもおもしろいところです。かきふらい先生、全日大好きだな!
 
おいしんしゃーおし!
 
 

平沢憂真鍋和は…

さて、先ほど「中野梓秋山準」説に絡めて、「鈴木純=泉田純」説を提唱したわけですが、そう考えると唯の妹である憂は、まんま金丸義信だと思います。
 

 
金丸といえば、全日入門当初、小橋の付け人を務めた弟分であり、そのまま小橋が結成したユニット「バーニング」のメンバーに属しながら、バーニング解散後は秋山率いる「スターネス」に加入した選手。もう、小橋(=唯)の弟分で、秋山(=あずにゃん)と行動を共にするっていう、この立ち位置がまんま金丸! こいつは、とんだディープ・インパクト*6です!
 
そして、サブキャラの中でも、やっぱり外せないのが真鍋和でしょう。まぁ、イチイチ無粋な説明をしなくても、もうお分かりでしょうが、この娘は完全に"暴走狼"ジョニー・エースがモデルですよね。
 

 
四天王プロレス全盛期の全日において、常連外国人選手だったジョニー・エース。小橋のタッグ・パートナー、女房役として長年に渡って小橋を支え*7、現役引退後は世界最王手のプロレス団体WWEの副社長として選手のスカウトやマネージメントをこなすジョニーの姿は、幼き頃から「けいおん!」の小橋である唯を支え、マネージャー的な立場から放課後ティータイムをバックアップした和ちゃんの姿にまんまオーバーラップをします。
 
いわば、縁の下の力持ち、決して主役ではないけれど欠かすことができない名脇役。それが、ジョニー・エース真鍋和。思えば、四天王プロレス全盛期の全日も、「けいおん!」も、主役級の登場人物だけじゃない、こういう名脇役が存在していたからこそ輝いていた&おもしろかったんですよね。
自分が子どもの頃に、全日のテレビ中継を夢中になって観ていた時って、やっぱり小橋や川田が大好きだったんですけど、それと同じくらいジョニー・エースが大好きだった。それと同じで、私は「けいおん!」の女の娘の中だと、一番和が好きなんですよね。もう…何ていうか…愛してま〜〜〜す!!(by 棚橋弘至*8
 
あとは、やっぱり、テリー・ゴディゲーリー・オブライトなんかが大好きだったんですが、この辺の全日における外人選手の充実具合も「けいおん!」サブキャラの異常な充実っぷりと相通ずるものがありますよね。まぁ、差し詰めゴディは若王子いちご、ゲーリー・オブライトは、瀧エリといったところでしょうね。
 
"金髪の鷲"ダニー・スパイビーは、立花姫子
 
 

■まとめ

こうして改めて見てみると、始点王プロレス全盛期の全日が、如何に「けいおん!」という作品に影響を与えたかがよく分かります。かきふらい先生は、本当に全日が好きで…
 
…って…
 
 
んなわけあるか、馬鹿ーーー!!!

(三沢が川田を殺し掛けた時くらいのタイガードライバー'91で、自前のノートPCを破壊しながら)
 
 
とはいえ、四天王プロレス全盛期の全日も、「けいおん!」も、バランス良く魅力的なキャラクターが揃っているのは本当に共通点。現在進行形で大人気のアニメ作品に、昔の思い出を重ね合わせれば、そりゃ、こんな無理な見立てもやりたくなりますとも。
 
…正直、スマンかった…(by佐々木健介)。

 
 
 
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*1:田上のあだ名。

*2:空中に持ち上げた相手を喉輪でマットに叩きつける田上の必殺技。技名が変。

*3:泉田の必殺技。大袈裟な名前だが、ただのダイビング・ヘッドバット

*4:その後、大麻の不法所持で逮捕。全日本プロレスから解雇される。

*5:その後、嵐自身が留置所の檻に閉じ込められることになるなんて、当時は思いもよらなかった…。

*6:金丸義信が使う、コーナーポストからの飛びつき式DDTの名称

*7:小橋とのタッグで、世界タッグ王座を二度獲得。

*8:太陽の天才児」「百年に一人の逸材」の異名を持つ、新日本プロレスのエース選手。でもエロい。あと、仮面ライダーが好き。昔、仮面ライダークウガの主人公役をオファーされたことがある。でも、エロい。