「Rio RainbowGate!」の楽しみ方 - Rio的エンターテインメントとWWEのススメ

 

 
今冬から始まった新アニメRio RainbowGate!のエントリを。
漫画やラノベが原作ではなく、元々はパチスロに登場する美少女キャラクターが主人公という異色の出自。劇中でのブッ飛んだストーリー展開やバトルシーンなどなど。今期のアニメ作品群の中でも、特に際立った個性を発揮しているアニメだと思うんですが、個人的にこの作品の楽しみ方っていうのは、アレを観ている時にソックリだな〜と。
 
そう、アメリカ最大手のプロレス団体、ワールド・レスリング・エンターテインメント「WWE」を観ている時とソックリ。
 
超個性的なキャラクターが、ブッ飛んだ演出の中で画面狭しと賑々しく暴れまわる「Rio RainbowGate!」と、キャラ立ちまくりのスーパースター*1がリングの上を縦横無尽に駆け回るWWE
アニメとプロレス。表現のジャンルは違えども、そこにある「人を楽しませよう!」というエンターテインメント精神が持つエネルギッシュなパワーと躍動感は同じ。ちょっと、その辺りの共通項について、アレやコレやと書いてみたいと思います!
 
 

■「Rio RainbowGate!」の個性的なキャラクターたち

Rio RainbowGate!」の最大の魅力って、ストーリーに登場するキャラクターの容姿や性格、物語に対するモチベーションや立ち位置などなど…「キャラクター」として備わっているべき全ての要素が凄く単純明快で分かりやすいところだと思うんです。
例えば、カジノのオーナーであるハワード。下品でスケベだけど豪傑、金と権力を使ってリオに次々にセクハラを仕掛ける様は、誰しものイメージの中に存在するステレオティピカルな「悪のオーナー像」そのもの。
倫理や道徳云々じゃなくて、イメージとしてキャラクターそのものが「ヒール」なんですよね。
 

  
この辺の分かりやすいキャラクターの魅力は、まさにアメプロの魅力にも通ずるところ。リングの中で躍動するスーパースターは、皆から愛される「ベビーフェース」(=善玉)と、「ヒール」(=悪役)にハッキリとコントラストが付けられている。これに見立てるならば、ハワードは差し詰め「WWEの悪のオーナー」ミスター・ビンス・マクマホンといったところでしょうか?
 

 
そう考えると、このオッサンが考える無駄に大仰なバトルステージの存在も納得。WWEだって、「エンターテインメント」を作り出すのに必要になってくるのは巨大なアリーナ、大会場を埋め尽くす観客、大画面のスクリーンに、吹き出す花火や炎、リングを覆う金網…そんな巨大で目を引くセットとアイテムですものね。そりゃ、お気に入りのディーバにコスプレをさせて、大観衆の前に立たせたくもなりますよ。
 
 

■敵役であるエルビス。アメプロ的なキャラの立て方

そんな訳で、「Rio」の世界観やキャラクターをアメプロに見立てていくと、面白いのが第2話「ゲートホルダー」に登場した敵役のエルビス。コイツなんて、本当にアメプロ的なキャラの立て方によって、ベタながらも個性的な輝きを放つキャラだったな〜と。
 

  
天才的な数学の才と勝負運の強さを持ち、沢山の女をはべらかす女ったらしのキザ野郎。
思えば、エルビスのようなナルシストや自信過剰な勘違い男、あるいは女ったらしというキャラクターは、アメプロにおけるステレオタイプなヒール像のパターン。
クリス・ジェリコレックス・ルガー、現在進行形のWWEを支えるネクスト・ジェネレーションのスーパースターで言えば"ダッシング"コーディ・ローズ*2ザ・ミズ*3などなど。
これまた、その言動だけで「ヒール」としてのキャラクターが立ってしまう、そんな単純明快で分かりやす過ぎる位に分かりやすい敵役。
 

 
あとは、ところ構わずマイクで自己アピールを繰り返す様も、もう笑っちゃうくらいにWWE的。リングでの相手のアピールに、あるいは試合前、試合後のストーリー展開に。「マイク」は、WWEで絶対に必要不可欠なアイテム。もう、存在そのものがアメプロっぽいんですよね、エルビス
 

 
そう言えば、ボーリング玉を使ったルーレットで完璧な投球を披露し、「パーフェクトだ!」と自分に酔いしれるシーンがありましたが、この文脈で観ていったら、自分なんかはどうしても、これまたアメプロの名レスラー「何をやっても完璧な男」こと"Mr.パーフェクト"カート・ヘニングがボーリングでパーフェクトゲームを達成し、「I'm Perfect!」と誇らしげにレスリングファンに言い放つ名場面を思い出したり。
 


 
大技に頼らず、基本的なスープレックスと打撃、関節技だけで試合を組み立ててしまう、プロレスのヒストリーにおける最大の技巧者の一人、カート・ヘニング。その「Mr.パーフェクト」としてのキャラクターを立てるのに製作されたのが、ヘニングがありとあらゆるスポーツやゲームにチャレンジし、完璧なスコアを叩き出すというスキット(寸劇)。
とはいえ、ハルク・ホーガンザ・ロック"ストーンコールド"スティーブ・オースティンといった超メジャーどころのスーパースターに比べれば、カート・ヘニングは(技巧派で素晴らしいレスラーではあるものの)やや知名度的に劣る存在。このエルビスの投球シーンが、このパーフェクトゲームのそのままオマージュということはないでしょう。幾らなんでも強引過ぎるもの!
 
ただ、ここで注目すべきは、その両者の「キャラクター」の立て方ですよね。数学の才で運すらも支配下に置き、決してミスをしない凄腕のギャンブラーと、何をやっても完璧にこなしてしまうスーパー・アスリートのプロレスラー。その「Mr.Perfect」なキャラクターを映像を使って最大限に表現しようと思った結果、こんな不思議でユニークなシンクロニシティが生まれた。
 
うん、この大袈裟な分かりやすさっていうのは、やっぱり「Rio」と「WWE」、両者に通じる魅力だと思うんです。
 
 

■絶対的なベビーフェースとしての主人公、リオ


  
そんなわけで、ようやっと本作のヒロインであるリオについて! という話になるんですが…何というか、この人の魅力については、「subculic」のtatsu2さんがtwitterでポストされていた、このツイートが何よりも雄弁に物語っているな〜と。
 
 
単純にギャンブルに強い、ディーラーとして優れている=ギャンブルアニメの主人公に相応しいだけじゃなく、運や博才が、他のキャラクターにも向けられる。皆を愛し、愛される、そんな絶対的なベビーフェース。
ついでに、美人でおっぱいも大きいとくれば、これは好きにならない方がどうかしている。
リングの上で輝くスター選手、凄まじい身体能力を持つアスリート、トンデモなく強いファイター、常軌を逸した極悪人…そんなバラエティー豊かなレスラーに加えて、「スポーツ・エンターテインメント」の世界では「お色気」も絶対的に必要な要素ですからね。
 

  
僕らは、シンプルにリオに声援を送ればいいし、彼女の前に立ちはだかる悪役には遠慮なくブーイングをすればいい。WWEと同じく、とにかく楽しめて、ひたすら楽しいのが「Rio RainbowGate!」というアニメ。
決して難しいことは考えず、大袈裟なアトラクションやストーリーライン、そして個性的なキャラクターのギミックを、ビールなんかを飲みながら「アハハ」と笑って観るのが一番正しく、そして何よりも愉快なこのアニメの視聴方法だと思うんですよね〜。 
 
 

■まとめ

そんな感じでアメプロにも通じるエンターテインメント性を感じさせてくれるアニメ「Rio RainbowGate!」。
何気に、自分の中でこの冬一番の注目作です!
 
 
 
<関連エントリ>
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*1:WWEでは、レスラーのことをこう呼ぶ。

*2:往年の名レスラー、ダスティ・ローデスの息子。入場時に鏡で自身の姿を観てウットリする、手鏡を持ち歩き、試合中は顔を守りながら戦う、自分のように男前になる方法をファンにレクチャーするといった徹底的なナルシスト・ギミックで人気者に。

*3:傲慢で自信過剰だが狡猾で、強豪ひしめくWWEのリングでありとあらゆる卑怯な手を駆使してチャンピオンに上り詰めたヒール・レスラー。以前は、周囲に女をはべらかし、女子レスラーを口説きまくる「自称モテ男」というキャラクターだった。決め台詞は"I'm The Miz! and I'm Awesome!"(俺様はミズ! 超イカしてる!)