大川茂伸さんの音楽をまたテレビアニメで聴きたい!

 

 
アニメ関係の作曲家さんって、本当におもしろい音楽を作られている方が多いんですが、そんな中でも私が特別な思い入れがある作曲家さんが大川茂伸さん!
 
この方のクリエイトされる音楽が私は大好きで、また最近になって音源を聴き返したりしているんですが、やっぱり大川さんの創られる音楽って自分のツボをグイグイと押してくる。で、ちょっとコッチの拙BLOGでも思い入れみたいなのを書いてみたくなったので、今回のエントリでは大川茂伸さんとその音楽についてアレやコレやと語ってみたいと思います!
 
 

大川茂伸さんと言えば、何と言っても…

先ず、大川さんの代表曲として挙げられる曲といえば…何と言ってもコレでしょうね。魔法先生ネギま!ハッピー☆マテリアル
 
<堀江由衣茅原実里 / ハッピー☆マテリアル>

 
この曲は、2000年代の中盤を代表するアニメソング。今でこそ、アニメ関連の音楽や声優さんの歌ってオリコンランキングなんかの売上げ上位リストの常連になっていますが、「ハッピー☆マテリアル」は、そういったムーブメントの先達のような曲だと言えると思います。ヤング・ジェネレーションのアニメファンの中には、もうご存じない方もいらっしゃるのかもしれませんが、この曲がオリコンの売り上げ上位にランクされた時の熱狂って本当に凄かったんですから!
 
そして、当時の話題性と盛り上がりに強い説得力を与えていたのが、やっぱりこの曲のクオリティー。上で引用させていただいた動画では、堀江由衣さんと茅原実里さんという夢のタッグによるデュエットによってこの曲が歌われていますが、当時の「ネギま!」出演陣のキーパーソンであった堀江さんと"今"の声優さんである茅原さんが共に歌っても全く違和感がない。この曲のリリースから数年が経っても、そこにはある種の普遍的なアニソンとしてのアイデンティティーというか、色褪せない鮮烈な魅力がある。
 
サビの伸びやかでポップな曲調も素晴らしいし、Aメロで裏打ちのリズムが使われているのもおもしろい。また、リリックも本当に良く出来ていると思います。特に、「前髪の行方を鏡とにらめっこ」というフレーズは、個人的なアニメソング史の中でも特に印象に残っているパンチライン。たった、コレだけの言葉に"女の娘らしさ"みたいなものがギッチリと詰まっていて、当時、大変に感銘を受けた記憶があります。で、そんな歌詞を最高にポップに耳へと届けてくれる大川さんのメロディーライン!
 
ややトリッキーなリリースが行われ、何バージョンも出た「ハッピー☆マテリアル」ではありますが、このメロディーと歌詞の魅力は常に変わらないチャームポイント。で、そんな大名曲、「ハッピー☆マテリアル」を作った大川さんの曲の特徴を自分なりにちょっと考えてみたいと思うんです。
 
 

大川茂伸サウンドの"らしさ"

大川茂伸さんは、本当に沢山の音楽を作られていますので、その音のニュアンスの捉え方っていうのはファンにとっても人それぞれだと思うんですが…個人的にはテクノポップ的な打ち込みでありながら、ロック的なフィーリングも併せ持ったサウンドが、大きな魅力になっているのではないかと思っています。
 
ハッピー☆マテリアル」もそうですが、大川さんの作曲する音楽というのは、全体の音のバランスの中で打ち込みの割合がかなり大きいんです。例えば、堀江由衣さんに提供した「マッシュルームマーチ」なんかがそうですね。
 
<堀江由衣 / マッシュルームマーチ>

 
ピコピコした可愛いテクノサウンドに、イノセントな歌詞が乗っかる何ともポップな一曲。まさに、"テクノポップ"という呼び名がシックリとくる、キュートな曲です。大川さんのテクノポップ的な打ち込みサウンドは、こういった音が好きな人には堪らない特別な輝きを持っていると思うんです。
 
とはいえ、電子音オンリーではないのが大川茂伸さんの凄いところで、こういった打ち込みの音に併せて、強烈にディストーションの効いたギターやアタック感の強いドラムなんかのロックなサウンドを効果的に使用したりもします。
 
<ヒトミソラ / KI・ZU・NA 〜遥かなる者へ>

 
我が家のお稲荷さま。OPの「KI・ZU・NA」。アニメのイメージに合わせた、東洋風、伝奇的な打ち込みメロディーにカッコのよろしいギターサウンドをデコレーションとして使用したり、ロック的なビートもミックスされた"テクノ"と"ロック"の折衷的なサウンドです。「ハッピー☆マテリアル」がメジャーかつビッグ・セールス過ぎて、ちょっと目立たない曲かもしれませんが、この曲は大川さんが手掛けたアニメ主題歌の中でも特に好きな曲。
こういうテクノポップ的な明るいメロディーとロックサウンドのようなカッコいい曲を同時に作ることができる抜群のバランス感覚を持ってらっしゃるのが大川茂伸さんという作曲家さんの凄さなんじゃないかな、と思っています。
 
そして、大川さんが作るロック・ミュージックといえば、かなめものEDだった「YAHHO!!」が、その一つの頂点かな、と。
 
<堀江由衣 / YAHHO!! 〜かなめもver.>

 
この曲、作曲者のクレジットは堀江由衣さんになっているんですが、編曲を手掛けたのは大川茂伸さん。詳細なデイティールは分かりませんが、恐らくは堀江さんが作ったメロディーに、大川さんが楽器を使って肉付け、装飾を行って出来上がった曲…なのではないかと思います。で、コレなんてほとんどシンプルなロックンロール…というか、パンクロックですからね。まるで、RAMONESであるとか、そういった初期衝動かつポップなフィーリングに満ちたパンクバンドの楽曲に近い高揚感と気持ちよさがあります。
 
「マッシュルームマーチ」と「YAHHO!!」を比べてみると、この作曲家さんの音の幅というか、サウンドに対するアプローチの広さが可視化されてくるようで…。同じ堀江由衣さんという歌い手に対しても、これだけおもしろいことをやってますからね。もうね、私、大好きな作曲家さんなんですよ。
 
 

■BGMも手掛ける大川さん

そんなメロディーメイカーである大川茂伸さんは、いくつかのアニメ作品で劇中のBGMを担当されていたりもします。例えば、私の大好きなアニメであるにゃんこい!」
 
本作では、「リトル・バスターズ!」の音楽を手掛けた三輪学(Manack)さんと共作で、このアニメを彩る音楽を作られていらっしゃるんですが、これがアニメ本編の内容に負けず劣らずとにかくポップで楽しい。
基本は打ち込みによるテクノポップ的な明るいサウンドなんですが、そこに加えて遊び心もタップリ。ヒロインの一人である一ノ瀬凪が極道の娘さんであることに合わせて、劇中で「仁義なき戦い」のテーマのパロディー的な音楽が使われていたりもするんです。しかも、深作欣二によるオリジナル版と、2000年代に入ってリメイクされた「新・仁義なき戦い」のテーマ(布袋寅泰さん作曲で、タランティーノの「キル・ビル」に使用されリヴァイバルヒットしたアレ)の両方。
 
■アニメ版「にゃんこい!」における、ふり幅の大きなBGM楽曲のおもしろさ
 
"共作"という形をとっているので、大川さんと三輪さん、お二方がどのくらいの割合で作業やアイデア出しをされていたのか、そのバランスや分量は分からないのですが、このポップなメロディや趣向は如何にも大川茂伸サウンドといった趣。
アニメソングや声優ソングだけでなく、劇中音楽でも非常に優れた仕事が出来る作曲家さんだと思います。
 
そんな大川さんですが、ここ最近、余りテレビアニメでお名前をお見掛けしていない気がします。色々と調べてみたところ、最近では、「1/2summer ワンサイド・サマー」という美少女ゲームでBGMを担当されていたりもするみたいなんですが、やっぱりファンとしてはテレビであのメロディーやサウンドを聴きたい限り。
 
大川茂伸さんの音楽をまたテレビアニメで聴きたい! 心からそう思うんです。
 
 

■最後に一言

今、人気のある作曲家さんによるアニソン、声優ソングも好きで聴いているんですが、やっぱり、大川さんの「ハッピー☆マテリアル」とか、この辺の音楽を聴き返してみると色々と再発見もあって楽しかったりします。
本当に、大川さん、あのポップなメロディーをテレビアニメで聴かせて欲しいなぁ…。