戦車に疎い人にも優しい作りだった「ガールズ&パンツァー」の総集編「紹介します!」

 

 
ちょっと今更感はありますが、ガールズ&パンツァーの第5.5話「紹介します!」についての感想文。
 
次回予告やネット上での告知をシッカリとチェックしていたにも関わらず、己の間抜けさ加減から本編が総集編であることをスッカリと忘れていて、レコーダーを再生してガッカリする…という経験をしてしまったんですが、その落胆が感心に変わる位に本作の総集編はおもしろかったし、非常に作りもシッカリとしていたと思います。
 
そんなわけで、今回は「ガルパン」総集編についてのアレやコレやでエントリを更新です!
 
 

■前半はオーソドックスな総集編、後半は戦車版「トリビアの泉

「紹介します!」の前半は、正に総集編らしい総集編。サブタイトルの通り、主人公である西住殿のナレーションによって、この作品のこれまでのストーリーと主要人物の紹介が行われます。
 
で、私が凄いと思ったのはこの後。後半は、戦車マニアの秋山優花里がナレーションに加わり、劇中に登場する戦車を紹介し、戦車に関する知識や情報をレクチャーするんです。
 
正直、私は戦車とかミリタリーに全然詳しくありません。軽い苦手意識すら持っているタイプの人間です。「ガルパン」も劇中の戦車の描写に感心したり、エキサイトしたりするよりは、どちらかというと女の娘たちのドラマの部分に興味を持っていて「ちょっと変わった部活もの、青春もの」くらいの認識、距離感で接しています。ところが、そんな戦車に疎い人間でも、この総集編での戦車に関する薀蓄、レクチャーというのが大変におもしろく聞くことができたんです。
 
何故かというと、戦車に関する知識のなさ故に劇中で見逃していた描写、理解できなかったシークエンスを、西住殿と秋山さんのナレーションが物の見事に補完してくれるからなんですね。
 
 

■戦車に疎い人にも優しい作りだった「ガルパン」の総集編


 
例えば、聖グロリアーナ女学院との練習試合での市街戦。ここで、敵を待ち伏せしていたバレーボールチーム(アヒルさんチーム)の砲撃を受けたマチルダII歩兵戦車が、ほぼ無傷で反撃に転じ、相手を撃破するという描写があるんですが、そこで総集編だと「イギリス製の戦車は装甲が厚くて…」とか「対して、コチラの戦車は火力が弱いので至近距離からじゃないと致命傷を与えられない…」みたいなナレーションが入るんです。あと、「(アヒルさんチームの)八九式中戦車は対歩兵用なので火力が弱かった」といったテロップが出たりとか。
 
コレなんて、戦車を知らない人間からするとビックリなわけです。「え!? あのシーンって乗り手の技術の差によるものじゃなかったの? 戦車の性能の差だったのね!!」って。だって、マチルダ戦車の装甲が厚いなんて、コッチは知りませんもの!
 
こんな感じで「ガルパン」を観ている時に、私みたいな人間の場合、戦車の性能差っていうのは頭の中にないわけです。知識として持っていないから。理屈で理解できる部分だったら追いつけるところもあるんですけどね。
サンダース大学付属高校戦で、逃げる戦車を狙撃する為にイチかバチか丘の上に上がって砲撃する場面とか、そういうのだったら分かるんですよ。理屈として「あぁ〜高い所に上がると相手を狙いやすいけど、コチラも狙われやすくなる。コレは捨身の作戦なんだな」とか分かるんで。
でも、それぞれの戦車の性能とか特徴っていうのはデータベースですからね。そこは、知識がない人間からすると、マチルダIIvs.八九式中戦車戦のように、どうしてもストーリーとか演出への理解が追いつかなくなる部分だと思うんです。
 
ところが、そういった描写に関するコチラの知識の無さに対して、総集編は凄く丁寧に解説をしてくれた。アレ観た後で、もう一回グロリアーナ女学院戦を観たら、今度は更におもしろかったんですよ。「あぁ〜だから、ここで主人公たちは市街戦を仕掛けたんだな」とかそういった細かいディティールが理解できたんで。
 
 

■総集編を観た後だと、更におもしろくなった「ガルパン

総集編を観たおかげで、この「ガールズ&パンツァー」というアニメでは、戦車の描写に凄くこだわりを持ってストーリーを構成しているんだな、というのが改めて理解できたんです。なので、5.5話という扱いで装填をされた「紹介します!」の後で放送をされたサンダース大学付属高校戦の後半は凄くおもしろかったですね!
 
ここでは、シャーマン戦車が敵チームが搭乗する戦車として登場をするんですが、これは非常に性能が良い戦車で、対して、主人公たちの載っている戦車は戦力的には一枚も二枚も劣っているんだと。そういう予備知識が入ったものだから、試合を観ている時に熱も入るし、「シャーマン戦車に勝てるなんて…!」という試合後の主人公たちの台詞にも、より一層の感慨を持つことができる。
 
正直、最初は凄く良い場面で総集編が入るということを聞きテンションが落ちた部分もあったんですが、結果的には「紹介します!」は本当に観ておいて良かった思えるエピソードでした。作り手さんの戦車に対するこだわりみたいなものを垣間見ることができたおかげで、作品自体への理解をより深めることができた。戦車に興味がない人間にも、そのディティールを丁寧に解説をしてくれる、それもまた戦車道。
ガルパン」は、そのややぶっ飛び気味の世界観には反して、本当に丁寧にストーリーを作っているなぁ〜といつも感心をしているんですが、その丁寧さが端的に表れたこの総集編は、本当に理想的な総集編だったと思います。
 
あ、あと、余談ですが、「ガルパン」の次回予告で「強豪・シャーマン軍団です!」っていうサブタイを観た時に、てっきり相手の高校は全員巫女服かなんかを着て出てきて、超能力みたいなのを武器に戦うもんだと勝手に思ってました。「咲」の永水女子高校みたいな、そんな感じのキャラクターが出てくるものだとばかり…。"シャーマン"って呪術者とか巫女とかそういう意味じゃなくて、戦車の名前だったんですね。その位のミリタリー知識しかない人間でも楽しめる「ガルパン」。良い戦車アニメですね。
 
 
 
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■「ガールズ&パンツァー」をより楽しむために〜 アニメと戦車のイロイロ(Subculic様)