「たまこまーけっと」エンディングテーマ「ねぐせ」に関するメモ

 

 
京都アニメーションの新作アニメたまこまーけっとを観ていて一番驚いたのが、エンディングテーマの「ねぐせ」が4つ打ちの曲だったことです。
 
本編がアレだけマッタリとした日常コメディ("喋る鳥"という"非日常"は出てきますが)にも関わらず、EDはクラブ、テクノ的な高揚感のあるビート。
 
「え? 何故、4つ打ち!?」
 
…結構、本気でビックリしました。例えるならば、PANCRASEの試合を観に行って、静かで渋い関節技の取り合いに見入っていたら、いきなりみちのくプロレスの試合が始まったみたいな感じです。本編とEDで、かなり緩急が効いていますね。
 
ただ、こういうインパクトのあるアニソンを聴くと、音楽ファン、アニメファンとしては、それこそ4つ打ちの"ドッドッドッドッ…"というリズムの如く、心音が高鳴るもの。果たして、この曲はどなたによってクリエイトされたものなのか? クレジットを見てみれば、そこには作曲者として、山口優さんのお名前が…。
 
今回は、「たまこまーけっと」EDの「ねぐせ」に関するメモでアレやコレやとエントリを更新です!
 
 

■「ねごと」の作曲者さんは「キルミーのベイベー!」の作曲者さん

山口優さんは、テクノユニット、EXPOのメンバーでもある音楽家さん。EXPOといえば、私は、その名前をテクノポップのディスクガイド本なんかでしか拝見をしたことがない…音の方は、恥ずかしながら聞いたことがないユニットだったのですが、テレビアニメのキルミーベイベーのOPやBGMをクリエイトした…と書けば、私も含めたアニメファンなら「あ〜!」ってなると思います。キルミーのベイベー!」を作られたユニットですね。
 
<やすなとソーニャ(赤崎千夏田村睦心) / キルミーのベイベー!>

 
現在では、EXPO名義での活動も含めて、本当に様々な分野で音楽を作られているようです。しかしながら、繰り返しになってしまいますが、恥ずかしながら、私はこの方の活動をほとんど知らなかったので…以下は、山口優さんについて自分なりに調べたことを書いていきます。いや〜にわかなエントリで申し訳ない!(もし、間違いなどありましたら、コメント欄等でご指摘をいただけるとありがたいです)
 
テレビ番組やゲーム、WEBサイト…様々なメディアで音楽をクリエイトされ続けている山口優さん。公式サイトWikipediaで、いくつか代表的な仕事が紹介をされていたので、早速チェックをしてみました。
 
■「伝える」から「伝わる」へ(Amana)
 
■NEWLLIGHT, NEW LIFE(コニカミノルタ)
 
<ユニクロ / ULTRA LIGHT DOWN>

 
この辺りで聴ける音は、"ピコピコ"した"テクノ"というよりは、"チチチチチッ…"という"エレクトロニカ"的なサウンドですね。こうしたハイセンスなWEBサイトやエレクトロニカ的な音に関する知識が全然ない人間からしても、「ねごと」「ねぐせ」での4つ打ちビートとメロディとの共通項が見えておもしろいところ。
 
キルミーベイベー」では、似非民族音楽風、ラウンジ・ミュージック調の曲が多かった山口さんですが、本来の軸の部分っていうのは、やはりこういった電子音楽ということになるんでしょうか? テクノポップの本などでも、EXPOはテクノロジーを駆使しビジュアライズされたライブ・パフォーマンスをするバンドの先駆者といった言及もされていましたし、こうしたメディアアートやインタラクティヴなWEBサイトに凄く親和性の高い音楽性を持ったクリエイターさんなんでしょうね。山口優さんという音楽家さんは。
 


 
 

■音楽面でも目が離せない「たまこまーけっと

おもしろいのが、この山口優さん。音楽家としての活動に加えて、マニュアル・オブ・エラーズ・アーティスツ」という音楽制作プロダクションの代表もされていらっしゃいます。そして、そこに所属をしているのが、「たまこまーけっと」でBGMやオープニングテーマを作曲されている片岡知子さん。「たまこまーけっと」というアニメの音楽は、この「マニュアル・オブ・エラーズ・アーティスツ」が全面的にバックアップをしているということなのでしょう。
 
片岡知子さんといえば、ボサノバやラウンジ・ミュージックからの影響や、トイ・ピアノを使ったユニークな音楽性、そしてキュートなウィスパーボイスが特徴的だったお洒落なポップ・ユニット、インスタント・シトロンの元メンバー!
 
<インスタント・シトロン / My Melodies>

 
いや〜、何というか、本当に色々な方が出てきますね、「たまこまーけっと」の音楽を探っていくと…。
 
マニュアル・オブ・エラーズ・アーティスツ」には、これまた「たまこまーけっと」の主題歌に携わっていらっしゃる元ラブ・タンバリンズ宮川弾さんやマルチタレントの加藤賢崇さん(アニメファン的には、「ビーストウォーズ」のワスピーターの声優をやられていた人…というと通りが良いでしょうか?)、写真家の常磐響さん…といった様々なクリエイターさんも所属。テクノポップを起点として、80年台のナゴムレコード系や90年台初頭の渋谷系…等への幅広い音楽カルチャーとのリンクが見られます。他にも、80年代には菊地成孔さんとEXPOの共演なんかもあったようで、まぁ、何というか日本の音楽シーンのハイセンスかつエッジの効いた人たちが揃いに揃っているなぁ、と。
 
で、そんなクリエイターさんが作っている「たまこまーけっと」の音楽っていうのが、やっぱり素晴らしくて…EDの「ねぐせ」の4つ打ちビートに顕著なように、音楽の面白さと意外性がタップリと詰まっていて、この音楽の充実具合は、やはり「けいおん!」とも繋がる部分がある。「ねぐせ」のシングル盤は勿論、非常にサントラ盤の発売が楽しみなアニメですね。
 
…あと、余談ですが、80年台のテクノポップってYMOとかP-MODELとか、あの辺の一部を除いてなかなか音源が手に入らない、触れる機会がないのが本当に残念です。本当だったら、このエントリもEXPOの音をちゃんと聴いてから書きたかったんですが…。REAL FISHとかURBAN DANCEとか、あの辺と一緒にCDで再発とかされないもんですかね…。