「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」は幼馴染ヒロイン界の長州力!

 

<週刊プロレス No.1576 (ベースボール・マガジン社) P.60>
 
ブコメ作品に出てくる"幼馴染"ヒロインに非常に弱いです。もう、出てきた瞬間に、東京ドームで行われた新日本プロレスUWFインターナショナルの対抗戦で長州力と対戦した時の安生洋二の如く、ビックリするくらいアッサリやられます。200%やられます。…何て言うか、"幼馴染"な女の娘に私は惹かれてやみません、物凄く。
 
ただ、幼馴染ヒロインって、割りと報われないことが多いんですよね。特に、近年のラブコメ作品では。そんな中で、他の作品だとサブヒロインというポジションに落ち着きがちな幼馴染キャラをメインヒロインに据えた俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎるを観ていると、この作品から物凄く長州力的な魅力を感じます。強烈に。寧ろ、タイトルとかも「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」じゃなくて、長州力佐々木健介谷津嘉章が修羅場すぎる」WJプロレス崩壊のゴタゴタで)なのではないかと勘違いをしそうになる程です。なにコラ、タココラ!
 


 
…まぁ、いきなり日本のプロレス界のレジェンドレスラー的な革命戦士と2010年代のラノベ原作のラブコメアニメ作品を同一視して語られても、興味がない人には何が何だか…という話だと思うので、私の「俺修羅=長州力」論を順を追って説明をしていきたいと思います。そんなわけで、今回のエントリではラブコメアニメにおける幼馴染ヒロインと長州についてアレやコレやと!
 
…順を追って説明をされても、プロレスに興味が無いアニメファンの方には、やっぱり何が何だかなテーマかもしれませんね…スイマセン。俺は、ゴッチ教室の落第生だからな…。
 
 

■ラブコメ作品における幼馴染ヒロインとは…

アニメや漫画、ラノベ…様々なメディアで展開をされる"ラブコメ"というジャンルですが、その中で幼馴染ヒロインって損な役回りにいることが多い気がします。
 
こういった作品だと、大概、主人公には彼のことが好きな幼馴染ヒロインがいるわけです。でもね、彼女たち、なかなかその想いを主人公に伝えられないの。そうこうしている内に、学園一の優等生だったり、アイドルだったり、宇宙人だの超能力者だの神様だのゾンビっ娘だの獣っ娘だのが登場して、いきなりメインヒロインのポジションに収まるんです。で、幼馴染ヒロインっていうのは、ポッと出のメインヒロインの引き立て役になっちゃたりするの。
 
■ラブコメ作品における幼馴染ヒロインのポジションとプロレスの引き立て役と
 
この辺の幼馴染ヒロインの不遇さと献身的なファイトスタイル、そしていじらしさが綯い交ぜになった独自のポジションについては、上記のエントリでも言及をさせていただいた通りです。良くも悪くも、"サブ"の役回りに徹する幼馴染ヒロインの存在が、"ラブコメ"のエンターテインメント感とドライブ感を加速させるのに大きな役割を担っていると思うんです。で、同時に、それ故に幼馴染ヒロインって、物語上で不遇な扱いを受けることも多いよなぁ〜とも。
 
 

■「俺修羅」の長州力感!

そんなラブコメにおける幼馴染ヒロイン界に突如として現れたのが、「俺修羅」だと思うんです。この作品では、主人公の幼馴染ヒロインが、突然、現れた幼馴染の"彼女"に対して徹底的にライバル意識をむき出しにし、主人公を振り向かせようと奮闘する姿が描かれます。
 


 
前述の通り、幼馴染ヒロインって、ラブコメ作品では正ヒロインの引き立て役になることが多かったんです。そこに、「俺修羅」は新機軸を打ち出したというか、ハッキリと異を唱えたのではないかなぁ、と。そこで、私が連想をする…この作品とリンクをさせて語りたくなるのが長州力なわけですよ!
 
その昔、長州力は、新日本プロレスの若手エースとして躍進を続けていた"ドラゴン"藤波辰爾に突如として牙を剥きました。アマレスで五輪に出場をしたという輝かしいアマチュア実績とそれに裏打ちされた高いポテンシャルを持ちながら、プロレス界では藤波の後塵を拝することの多かった長州。このままではいつまで経っても藤波が一番で、自分は二番手。ずっと藤波と比べ続けられ、その引き立て役で終わってしまう…。そこで、長州は藤波に宣戦布告をします。
 
「藤波! 俺はお前の噛ませ犬じゃないんだ!!」
 
現在では、長州の「かませ犬」発言としてプロレスファンの中で広く知れ渡っているこの台詞。本当は、長州はマイクで「何で、俺がお前の後ろを歩かなきゃいけないんだ!」(プロレスでは、選手のネームバリューや団体内でのポジションが高ければ高いほど、後から入場をしてくる。当時、長州は藤波とタッグを組む際に、常に藤波より先に名前をコールされ、常に藤波より先に入場をしていた)と当時の新日本プロレスにおける"序列"に噛み付いたのですが、それがいつの間にか「かませ犬」というキャッチーなフレーズへと置き換えられ、現在まで続く長州力の代名詞となっています。
 
 

長州力と幼馴染ヒロインの人生にも一度ぐらい…

"プロレス"の世界…その"序列"の中で、本来ならば藤波の二番手、ネクストを走るハズだった長州が起こした革命。藤波に…ひいては、新日本プロレスという団体そのものに反旗を翻した長州は、"革命戦士"と呼ばれ、暴走族や企業勤めのサラリーマン…学校や会社といった体制にフラストレーションを抱えていても、それを爆発させる術がない人々…から熱狂的な支持を受けることになります。こうしてスタートした藤波と長州の抗争劇、一連のシングルマッチの数々は"名勝負数え歌"として新日のドル箱カードへと成長を遂げるのです。
 
こうしたプロレスの歴史を踏まえた上で「俺修羅」を観てみると、本作の幼馴染ヒロインたる千和ちゃんの行動というのは、実に長州力です。幼馴染として長年想ってきた想い人の前に突然現れ、そしてメインヒロイン然としている真涼さんに対して、千和ちゃんはアグレッシヴに噛み付いていくわけですよ! 正に、「俺はお前の噛ませ犬じゃないんだ!」ですよ! 「アイツが死んだら墓に糞ぶっかけてやる!」ですよ!!
 
幼馴染ヒロインって下手したら、自分の想いを差し置いてもメインヒロインの恋の成就を手助けしたりとか、とにかく献身的な存在だったわけです。自分の身を差し置いても、周りを光らせ、ストーリーをよりおもしろくさせるというか…。そんな中で、この「俺修羅」における千和ちゃんの存在というのは、非常に新しいな、と。彼女達の主人公への想いというのは、本物なわけで、そこには誰も立ち入れない…大事な一線というのは誰も踏み込めない、またげないわけですよ。…おう、またぐな。またぐなよ。またぐな。またぐなよ。またぐな…シロー、またがせるな!
 
<長州力「またぐなよ!」>

 
メインヒロインに噛み付く幼馴染ヒロイン、素直に嫉妬とヤキモチを表にする幼馴染ヒロイン、そして、"幼馴染"でありながらメインヒロインたるその独自のポジション…。これまた長州語録を引用させていただけるならば、「幼馴染ヒロインの人生にも一度ぐらい幸せな時があってもいいだろ」。そんな感慨を抱かせてくれる「俺修羅」の幼馴染ヒロイン…。
 


 
俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」は幼馴染ヒロイン界の長州力
 
 

■まとめ

俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」は、"幼馴染"というラブコメにおけるポジションに独自の位置づけを行なっているところが新しくて、そして凄くおもしろいな〜とアニメを観ていて思います。
 
…まぁ、幼馴染ヒロイン好きとして彼女達の恋の行方を応援し続けてきた人間としては、ようやく幼馴染ヒロインが報われる時がきたというか、色々と彼女たちは不遇なところもありましたからね。そこに対して複雑な思いも当然あったわけで、自分としては、時にそこに怒りを覚えることもあって、キレそうになる瞬間というか、彼女たちへの想いが強過ぎてキレそうになることもあって、そこで、自分はいつもキレ…
 
<長州力「キレちゃいないよ」>

 
キレちゃいないよ(微笑)。
 
力説 長州力という男

力説 長州力という男