「仮面ライダーウィザード」コミカル回の異色さとリラックス感

 

 
大好きな特撮作品で、その放送を毎週楽しみにしている仮面ライダーウィザード」
 
ここ最近は、シリアスなストーリー展開が続いていたのだけれど、ここに来て一旦"崩し"を入れてきたというか、ちょっと砕けたエピソードを幾つか挿入してきました。具体的には、仮面ライダービースト…仁藤攻介の友人をゲストキャラに招いた「危険なアルバイト」と「金で買えないモノ」という前後編。そして、今週末に後編が放映をされる瞬平くん暴走回「九官鳥は語る」。
 
これらのエピソードは、今までのストーリー展開に比べると、コメディー色の強い異色回。ちょっと、この辺りのエピソードについての感想文で、アレやコレやとBLOGを更新!
 
 

■「仮面ライダーウィザード」コミカル回を手掛けたのは…

突き抜けたギャグ描写がインパクトを残した上記の異色回たち。明らかに他のエピソードとは雰囲気が違っていましたが、ここでスタッフクレジットに注目をしてみるとちょっとおもしろい。「危険なアルバイト」「金で買えないモノ」「九官鳥は語る」…というこれらのエピソード、脚本家さんが今までの「ウィザード」とは違うんです。
 
シナリオを手掛けたのは、石橋大助さん。「ウィザード」は、きだつよしさんと香村純子さんのお二人で脚本を回していたのですが、そのローテーションに後半で加わってきたのが石橋さん。石橋さんが脚本を担当されたエピソードはいずれも、非常にコメディー色が強い仕上がりになっている。全編に渡ってギャグが散りばめられていて、各種演出や役者さんの演技も従来の「ウィザード」の路線に比べるとタガが外れているというか、ハッチャケた出来になっています。
 
まぁ、そのコメディー感というのが、大人になっちゃった自分の感性で観てみると…ちょっと食い足りないところがあるというか、シリアス色が強くなり、緊張感が高まってきた後半の流れの中で、こういうコメディー回を急に挿入されると正直、辛いところがあったりもするんですが…。
 
ただ、「仮面ライダーウィザード」という大きなストーリーを振り返ってみれば、ここで今までは違う色を入れてきたのにも納得がいきます。
 
 

■コミカルな描写がもたらすリラックス感

石橋大助さんが登板をしたエピソードの前後を観てみれば、晴人くんが魔法を失い、それでもファントム相手に決死の戦いを挑み、パワーアップを果たす「魔法の消える日」「涙」、そして、グレムリンこと滝川空の正体…サイコパスシリアルキラーという本性が顕になる「人気モデルの裏側」「空の向こう側」というシリーズ屈指のシリアスなエピソード(脚本は、いずれもきだつよしさん)。
 
ここで、石橋さんという今までにない脚本家さんを抜擢した裏には、シリアス過ぎるエピソードの間に、ギャグをふんだんに散りばめたコメディー回を挿入することで、観る側の緊張を解す、息抜きをしてもらおうという意図があったのかな、と。
 
大人の目から観てしまうと、ちょっと物足りない感もあるエピソードも、そこにはメインターゲットとなる子ども達の目があることを忘れてはいけません。スタッフさん的にも、シリアスなエピソードの合間に、こういうギャグ回を挟むことで、子ども達を楽しませたいという気持ちと飽きさせない工夫を込めたのでしょう。
 
そういう視点から考えてみると、この「仮面ライダーウィザード」の緩急の付いた構成というのは、なかなかにユニークで上手い魅せ方だな、と。
 
恐らくは、石橋さんの描いたシナリオの後は、物語もクライマックスに突入し、晴人くん達にとっても厳しく辛い戦いが続くはず。そんな戦いの合間に、挟まれたコミカルなエピソード。これも、登場人物たちとファンである子どもたちに向けた一種のサービスと言えるのではないでしょうか?
 
いずれにしろ、これからのストーリー展開が非常に楽しみですね、「仮面ライダーウィザード」。