「プリティーリズム・レインボーライブ」勝負論のシビアさと真摯さ

 

 
ここ最近のプリティーリズム・レインボーライブが何だか凄かった。
 
何が凄かったかって、一言で言って非常にシビアなドラマが展開されていたこと。劇中では、"ドリーミングセッション"なる大大会に主人公のなる達が参加をし、彼女たちのライバルチームであるエーデルローズとの対決を行う姿が描かれていたのだけれど、そのバトルというのがとにかく凄まじかったのだ。
 
いいおっちゃんが観てもおもしろい「プリティーリズム・レインボーライブ」。おっちゃんでも思わず心を揺さぶられてしまった「プリティーリズム・レインボーライブ」。そんなわけで、今回のエントリでは本作にまつわるアレやコレやを!
 
 

■「プリティーリズム」の勝負論のシビアさ

ここからは、完全なるネタバレで、なおかつほとんどストーリーを羅列するだけの何の捻りもないストレートな感想になってしまうのが申し訳ないのだけれど、あんなドラマを見せられたら、こちらとして情動を素直に書き綴るしか成す術がない。というのが、ドリーミングセッションでなる達を待ち受けていたのは相手チームに惨敗を喫するという過酷な現実だったのだ。それも、3対3のチーム対決で三連敗、更にスコアで大量の差をつけられての完全敗北。
 
しかも、その負け方というのも凄い。なる達が敗北を喫したのは完全なる実力不足だった…負けるべくして負けたのだ、ということを「プリティーリズム・レインボーライブ」はキチンと描いているのだ。
 
敗北の原因は、ズバリ彼女達の"練習不足"。ほとんど練習をしていなかった大技にチャレンジをして失敗をしたのも、大きなステージでプレッシャーに押し潰されて泣きだしたのも、全ては練習不足が原因なのだとキチンと描いてみせる。
 
"レインボーライブという新機軸をプリティーリズムに持ち込むも、それが審査員に理解されなかった"という敗戦のエクスキューズや、なる達の潜在能力の高さ、敗北を糧にしての成長といった"ネクスト"に繋がるドラマを挟みつつも、本作が描く勝負論はどこまでもシビアで…そして、真摯だ。
 
 

■"勝負"を描く真摯さ

特に、今回の大会でのあんの描き方は非常におもしろかった。相手に勝つ為に、未知の三連続ジャンプという大技に挑む決意をするあん。仲間の励ましを受け、彼女はクライマックスの連続ジャンプまでに完璧な踊りとスケーティング、そして楽器演奏を披露する。
 
また、その見せ方というのが抜群に上手くて、ストーリーの盛り上がり的にも、それを彩る演出的にも、どう考えても"彼女が大技に成功をし、そして勝利をする"というハッピーエンドをイメージさせる流れになっているのだ。しかも、この試合は個人戦ではなく3対3のチーム戦。エーデルローズの伏兵たるおとはに、いとが負けるという前試合の結果もあり、ここはあんが相手に勝利をし、1対1のイーヴンで"大将戦"である、なるとべるの対決を迎える…という物語にしても全くおかしくはないし、そちらの方が盛り上がるだろう。
 
が、ここであんは、最後の大技に失敗をするのだ。
 
しかも、失敗をした理由は、"自分で出来ないと決めつけて、練習をほとんどしなかったから"。勝つ為には、素晴らしいステージを行うには、何よりも練習が必要で、練習量に裏打ちをされた必然性のない勝利はありえないし、奇跡なんてそうそう起こるもんじゃない。そんな、勝負事の心理、プロスポーツの理を「プリティーリズム・レインボーライブ」は見せてくれる。
 

 
だからこそ、あんがステージ裏で流した涙は視聴者の胸に切実に迫ってくるし、なるが最後の最後で隠された実力を発揮し三回連続でジャンプを成功させたなるの姿には強い感動を感じることができたのだろう。彼女たちが今回の大会を通じた悔しさと敗北感、そして、それを乗り越えていこうとする強い精神…は、多くの人が仕事や学業、スポーツ、部活動…といった営みの中で遭遇をする感情に置き換えが可能なものだ。そこに、傷つきながらも果敢に挑戦をしていく彼女たちの姿は、何というか…強く心を打つ。
 
勝負の厳しさとそれを描く上での真摯さ…「プリティーリズム・レインボーライブ」。可愛いキャラクターやダンスとは裏腹に、こちらも真剣に向かい合わなければならないと強く思わされる真っ直ぐな作品ですね。