「プリティーリズム・レインボーライブ」と「シェルショック・ロック」とパンクロック

 

 
プリティーリズム・レインボーライブを観ていて、度胆を抜かれたシーンがあってですね…今回のエントリでは、ちょっとそのことについてアレやコレやと!
 
 

■楽器店の壁に貼ってあったポスターは…

プリティーリズム・レインボーライブ」第19話「心を結ぶいと」。ストーリー自体も、主人公の一人であるちょっと気難し屋の少女、いとの過去と内面に迫った素晴らしい内容だったんですが、観ていてビックリしたのがこのシーン。
 

 
劇中で、いととりんねちゃんが一緒に楽器屋に行くシーンなんですけど、その壁に貼ってあるポスターが凄いんです!
 

 
背景のポスターにバンド名が色々と書かれているんですが、そこに並んでいる名前というのがSTIFF LITTLE FINGERSUNDERTONES…という、実在のバンド、それも、英国のパンクバンドばっかり! 「プリティーリズム・レインボーライブ」のメインターゲット層って、勿論、原作のゲームを遊んでいる女の子達だと思うんですけど、そんなアニメの中でまさかStiff Little Fingersなんてバンド名を目にすることになるとは!
 


 
Stiff Little Fingersは、アイルランドで結成されたパンクバンド。Vo.&Gt.のジェーク・バーンズのがなる様な歌唱法と高速カッティングをするギターがトレードマーク。アイルランド出身者としての政治性に裏打ちをされたハードコア的な激しさを持ちながらも、どこかポップなフィーリングを持ったそのサウンドは、Green Dayのような後のメロコアバンドにも多大な影響を与えたと言われています。ジョン・キューザック主演の映画「ハイ・フィデリティ」でも、このバンドのGreen Dayへの影響が劇中で言及をされ、物語の中でも重要な意味を持つ曲として、この"Suspect Divice"がフィーチャーをされていました。
 
また、彼らの1st.アルバムである"Inflammable Material"は、英国のレコードショップ、インディーレーベルであるRaugh Tradeがリリースをした一番最初の作品で、80年代にインディーシーンで大きく花開き、現在でも多数の優れたアーティストを発掘して続けている(2000年以降も、The StrokesやBelle & Sebastian、My Morning Jacketといった人気バンドがこのレーベルから作品をリリース)Raugh Tradeのヒストリーの出発点として音楽史にその名前を刻まれているグレートなバンドです。
 
Stiff Little Fingersと一緒に名前が出ていたThe Undertonesも、アイルランド出身のバンドで、こちらは所謂"パワーポップ"のような明るく、ちょっと切ないメロディーが持ち味。
 


 
この"Teenage Kicks"は、英国の有名DJ、ジョン・ピールが人生で最も愛したパンクロックとして知られるナンバー。このポップなメロディー…ビジュアルもパンクの持つ荒々しいイメージとは距離がありますし、今で言うところの"青春パンク"の元祖みたいな…この親しみやすい感じがThe Undertonesの大きな魅力なんですよね。
 
プリティーリズム」の世界にパンクバンドの名前が出てくるのも意外ですが、しかもそこでSex PistolsとかThe Clashのような有名どころではなく、Stiff Little FingersやThe Undertones…といったバンドを持ってくるのが渋い! で、よくよく見てみると、他にもRUDIOUTCASTSIDIOTS…といったバンドの名前が書いてある。こちらは、私が不勉強なことに名前が分からなかったバンドでして、調べてみたんですが…。
 
 

■「プリティーリズム・レインボーライブ」と「シェルショック・ロック」


 
これらのバンドは、全て「シェルショック・ロック」という当時のアイルランドのパンクロックシーンを描いたドキュメンタリー映画に出演をしていたバンドであることが判明。"Shellshock Rock"に関しては、この映画が日本で公開をされた時のCD Journalの記事が参考になるかと思います。
 
■パンク・ムービー『シェルショック・ロック(SHELLSHOCK ROCK)』が劇場公開決定!(CD Journal)
 

 
よくよく見れば、「プリティーリズム・レインボーライブ」でもこの映画のポスターがそっくりそのまま使われている。…何故、女児向けアニメにパンクのドキュメンタリー映画のポスターを…? 謎は益々深まりますが、また凄いのが、この映画、日本でも昨年限定公開をされた映画で、そこで陽の目を見るまでビデオ化もDVD化もされることもなかった、いわば幻の映画だったようなんです。
 


 
パンクのドキュメンタリーって自分も好きでよく観ているんですが、コレは恥ずかしながら全く知らない作品でした…。それにしたって、やっぱり気になるのは「プリティーリズム・レインボーライブ」の中で、何故こんなにもマニアックな映画のポスターが使われたのかです。
 
これ、意識をして劇中に潜り込ませていたとしたら、それをやった人はかなりのパンクロック好きですよね。一体、誰が…。
ただ、「プリティーリズム・レインボーライブ」って、ロリータ18号のギタリストであるエナポゥさんが声優として出演をされていたりだとか、実はパンクロックとの接点もある作品でして、もしかしたら、スタッフさんの中に相当なパンクロックファンの方がいらっしゃって、この映画のポスターも意図して劇中に潜ませたのではないかな…と。真相は、ちょっと分からないですけどね。
 
とはいえ、「プリティーリズム・レインボーライブ」というアニメの中で、Stiff Little Fingersのようなバンド名や「シェルショック・ロック」といった映画のポスターがそのまま登場をするという組み合わせは、やっぱり強烈な意外性があって抜群におもしろい! このインパクトだけでも、パンクファンの方にレコメンドをしてしまいたくなってしまいます。
 
TRFからアイルランド・パンクまで。様々な音楽要素が画面に登場をする「プリティーリズム・レインボーライブ」。やっぱり、油断ならないアニメ作品ですね。