宮繁之監督のアニメ作品と描き文字演出






宮繁之監督の僕らはみんな河合荘を観ていて感じたアレやコレやでエントリを簡易更新。




■「僕らはみんな河合荘」の描き文字演出

昨年の「ブラッドラッド」に続き、今年も監督作である「僕らはみんな河合荘」を発表した宮繁之監督。その作風の大きな特徴となっているのが、描き文字による演出術だ。






ギャグシーンで、モノローグで、あるいは、エフェクトとして度々登場をし、"宮監督的"な画面を作り出すこれらの描き文字演出の数々。非常に漫画的な表現であり、ヴィジュアルとしてもアニメというよりは漫画的なアプローチを感じる。川口敬一郎監督の近作にも通じるカラフルでポップなイメージBGの使用と併せて、描き文字演出は宮繁之監督の十八番の一つと言えるだろう。


さて、そんな宮監督の描き文字演出だが、これが「僕らはみんな河合荘」という作品に強くフィットをしていたように感じる。劇中のドタバタ劇を盛り上げる彩る描き文字の数々は、本作のコメディとドラマ性により強力なパワーを与えていたし、文字の見せ方自体もバラエティーに富んでいて、それそのものを単独で追っていくだけでも十二分にアニメのおもしろさとして成立をしていた様に思うのだ。




■「僕らはみんな河合荘」と描き文字の親和性





特に感じたのが、「僕らはみんな河合荘」という作品と描き文字の親和性の高さだ。それに最も大きく貢献をしていたのが、ヒロインである律の存在。普段は無口な彼女の内面を描き文字で表現をする、演出する…という手法が本作では様々な場面で使われており、それが物語とストーリー性と律のキャラクター性を立てるのに一役買っていた様に感じられる。


無口なヒロインの心情を声優さんによるモノローグでなく、描き文字によって表現をする。宮監督の演出術と原作漫画の作風、ヒロインのキャラクター性が奇跡的にリンクをし、独自のエモーションが生み出されたアニメ化による幸せなケミストリーでありマジックだ。


昨年の「ブラッドラッド」でも画面に頻出をしていた描き文字だけれども、「僕らはみんな河合荘」では、その演出意図やギミックが更に洗練をされ、おもしろみを増していた。今後も同監督が手掛けるアニメを観る際には注目をしていきたいポイントだ。