『孤独のグルメ 真夏の博多・出張スペシャル』を観て、福岡県出身者が感じた福岡愛






先日、放映をされた孤独のグルメの特別編「真夏の博多・出張スペシャル」。サブタイトルの通り、福岡県の博多区を舞台にしたストーリーで、四期も続く人気シリーズでも初となる夕方枠での放送……と、まさに"スペシャル"の名に恥じない特別編としてのエピソード。


福岡県出身者である自分は今回の放送を物凄く楽しみにしていまして、ドラマの中で自分が見知った風景が映し出される度に思わずニコニコしてしまいました。そんな『孤独のグルメ 博多編』ですが、福岡出身者として思わず嬉しくなってしまったポイントがありましたので、今回のエントリではその辺りについて、ちょっとアレやコレやと書いてみたいと思います!




■博多編に登場をした福岡出身のゲスト俳優の皆さん

松重豊さん演じる主人公、井之頭五郎の個性的な言動やリアクション、そして、劇中に登場をする料理の数々に加えて、ドラマ版の『孤独のグルメ』で大きな魅力の一つになっているのが、毎エピソードに登場をするゲストの俳優さん達の存在ではないかと思います。


所謂"個性派俳優"と呼ばれるタイプの役者さんやお笑い芸人さん、一癖ある文化人の方々、意外な大物芸能人、時には原作者の久住昌之さんまで……と、実に様々なゲストが五郎が訪れる町やお店に現れ、ストーリーに独特の雰囲気を与えてくれています。自分なんかも、この辺の人選のセンスの良さとおかしみが毎回楽しみで仕方がないんですが、今回の博多編でもこれまたナイスなゲストさんが。







五郎の旧友で博多でお店を営む奥村役にはパントマイムパフォーマーシティボーイズの舞台への客演、或いはテレビ東京の伝説的バラエティ番組『TVチャンピオン』のリポーターでもお馴染みの中村ゆうじさんが、そして、五郎が仕事前に腹ごしらえを行ううどん屋さんの店主には喜劇役者の小松政夫御大が、更に、メインとなるお店の女将役にはミュージシャンで役者としてもご活躍をされているりりィさんが……と、博多が舞台ということで福岡出身の芸能人が多数出演


小松政夫さんなんて、博多の老舗和菓子屋さんである石村萬盛堂のCMに出演をされていたり、これまた博多を舞台にしたNHK連続テレビ小説『走らんか!』で主人公の友人の父親役(で、奥さんが中尾ミエさん。中尾さんも福岡県出身!)を演じられていたり……と福岡県民にとっては、地元出身の有名人の象徴的な人物のお一人なんです。『走らんか!』で、小松政夫味覚障害になってラーメンを作れなくなった時とか、メッチャ悲しかったですもん、自分。


そんなこんなで、福岡出身者としては、福岡生まれの有名人をゲストに起用してくれただけでも何だか嬉しくてしょうがなかったんですが、更にビックリしたのが、五郎が食事をする小料理屋にいたサラリーマンやOLの皆さん!




■居酒屋の地元客をよくよく観てみれば……

お店でバリバリの博多弁を話し、五郎を圧倒した地元客なんですが、これを演じているのがケン坊田中さんに寿一実さん、コンバット満さん……といった吉本興業の福岡支部、あの博多華丸・大吉パンクブーブーカンニング竹山らを輩出をした福岡よしもとに所属をされている芸人さん、タレントさんの皆さんだったんです!







童顔のサラリーマン役を演じられていたのがケン坊田中さん、スキンヘッドで年長者のサラリーマンが寿一実さん、そして、二人の女の子と一緒に飲んでいたのがコンバット満さん。いずれも、地元のローカル番組や地元のラジオ、情報誌等で福岡県民、九州人にはお馴染みのローカルタレントの皆さんです。


福岡育ちの人間にとっては、"ソウルフード"ならぬ"ソウルタレント"とでも呼ぶべき、お馴染みの顔をまさか『孤独のグルメ』で見ることになろうとは……。このお三方は、福岡よしもとの大ベテラン。そんな"ザ・博多"なタレントさんを博多が舞台の特別編に起用をしてくれた『孤独のグルメ』。これまた、博多の人間として非常に嬉しかったのと同時に、博多という土地に対するスタッフさんのこだわりも強く感じました。


地元民なら思わず嬉しくなってしまう"おらが村の有名人"の登場に、地元でバリバリ活躍をされているタレントさんだからこそ出来るナチュラルな博多弁の数々。これは、地元民にとってのファンサービスとしても、ドラマ内のディティールに対しても凄く良いアクセントになっていて。ドラマ制作者としての視点で観てみれば、エキストラの役者さんを現地で賄えるという利点もありますし、これは良いことづくめなんじゃないかな、と。


この博多の大ベテランタレントのお三方の他にも、店内にいたお客さんは福岡よしもとの若手芸人や地元のタレントさんで統一をされていた様で、博多を離れて10年近く経つ自分にはお顔が分からない方もいらっしゃったんですが、このこだわりは素晴らしいと思いました。


思えば、主演の松重豊さんも福岡出身の役者さん。この辺が、特別編に博多が選ばれた理由、ローカルタレントさんの抜擢等の細かいネタにも繋がっているのかもですね。




■まとめ




舞台としては勿論のこと、細かいネタの数々も福岡出身者としては楽しめた『孤独のグルメ 博多編』。時々、東京を出て地方ロケを行う『孤独のグルメ』ですが、アレも地元の人達だからこそ伝わる細かいネタの数々が仕込まれているんじゃないかと考えると、またドラマの楽しみ方に深みが出そうですね。




ちなみに……今回のエピソードで登場をした中洲の料理店「一富」さんですが、博多華丸さんが書かれたこちらの福岡グルメガイド本でも紹介をされています!
この本によると、一富に行けば3日に1回、寿一実さんに会えるそうです(笑)。『孤独のグルメ』、そして五郎さん……"福岡推し"をありがとう!