擬似家族ものとして観る『人生相談テレビアニメーション「人生」』の多幸感








ライターとして参加をさせていただいている『ウレぴあ総研』さんで、新しく自分が書いた記事がアップされました。


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ユニオンプロレスによる"プロレス街コン"のリポート記事を書かせていただきました。ホントに楽しかったな〜ユニオンプロレスの街コン。読んでいただけると大変に嬉しいです。


さて、そんな自分ではありますが、ふと気付けば夏からスタートをした各アニメ作品も、続々とエピローグを迎え……。そんな中で、私がちょっと感想を書き残しておきたい作品が、自分が大ファンである川口敬一郎監督の最新作人生相談テレビアニメーション「人生」。回を重ねる毎に笑いのドライブ感が増していき、良質なコメディ作品となった本作に対して感じたアレやコレやをちょっとまとめておきたいと思います!




■『人生』における"笑い"の最重要キャラクター……鈴木いくみ!




先ほど、『人生』を"良質なコメディ作品"と評しましたが、個人的に本作の何が一番おもしろくて笑いのツボを押されまくったかというと、やっぱりこの娘! "いくみちゃん"こと鈴木いくみの存在です。


第二新聞部の人生相談コーナー、体育会系代表のパネラー。スポーツ万能で元気一杯、見た目も可愛いのに、とにかくアホ。所謂"アホの子"として劇中での笑いを物凄いパワーと勢いで牽引していく女の娘。


人生相談のスタート当時は、梨乃、ふみ、いくみ……という、理系、文系、体育会系それぞれから選出をされた"ちょっと残念"な女の娘三人組がボケ役で赤松がツッコミ役という構成だったものの、ストーリーが進んでくると、劇中のコメディの大部分を、いくみが担っていく様になっていきます。





一番、最初にいくみのコメディアンとしての才能というか、物語上における"笑い"の要素で非常に重要なウェイトをこの娘が占めていることを実感したのが、第2話での反省文を書くシーン。余りにも、いくみがバカなので他の第二新聞部部員が助け舟を出すものの、それでも幾度と無く書き直しをした反省文(と、いくみ本人の心構え)の根本的かつ致命的な欠陥はとうとう修正出来ず、遂には反省文を書かせた教師も匙を投げ出す……というシークエンスなんですが、この場面というのがホントにコメディとしてよく出来ていて大笑いをさせていただきました。「(反省文を何度も書き直していたら)ノーベル賞、取っちゃうぜ!」の台詞はマジでヤバかった……。


いくみの凄い所は、もう何というか純粋に、そして全力で"バカ"で"アホの子"なところだと思うんです。例えば、自分の中で"アホの子"な女の娘といえば、近年の作品で尚且つ大のお気に入りの作品の中では、銀河機攻隊マジェスティックプリンスのタマちゃんやのんのんびよりの夏海ちゃんといった女の娘がいました。






ただ、この娘達の場合、アホはアホなんですが、それを補って余りある器用さというか、要領の良さがあった様に思うんですよ。こう、「勉強が出来る、出来ない」とか偏差値だとかIQだとか、そういうのじゃない頭の良さがあるというか。


対して、いくみちゃんの場合は、ただただバカ。もう、純粋にアホなんです。物凄い真っ直ぐで邪気が一切ない、混じりっけなしのバカ。だからこそ、『人生』の笑いっていうのは、その大部分がこの娘に託される。最強のトリックスターであり、作品内の笑いにおける最重要なキーパーソンだったと思うんですね。




■『人生』を"擬似家族もの"として観る視点

そんな、いくみちゃんではあるんですが、『人生』というアニメを考えた時に、これまた何が素晴らしいかって、いくみちゃんに対する周囲の接し方。これは、本当に良かったと思うんです。


例えば、前述の反省文のシーン。この時は、梨乃もふみも赤松も明らかに彼女のバカさ加減に対して、ちょっと"引いてる"んですよね。一歩下がった状態から、いくみの事を見ている。






それが、第二新聞部の中で絆がちょっとずつ出来ていって…距離感が縮まってくると、その接し方がいくみのことを"見守る"っていうリアクションに変わってくる。この構図が何とも気持ちが良いんです。


それで、自分なんかは思うんです。これは、凄く個人的な見立てなんですけど、この第二新聞部の部員達って、家族みたいだなって。


そう、中盤から第二新聞部のメンバーは、いくみを中心に、いわば擬似家族的な様相を呈してきた様に感じるんです。お父さんが赤松で、梨乃がお母さん。ふみが長女で、いくみが次女。彩香は親戚のお姉さんで、絵美は家によく遊びにくる次女のエキセントリックな友達……みたいな。何だか、あの登場人物達というのは凄く家族っぽいな、なんて自分は思うわけです。


そんな"擬似家族"的な観方をした時に、この『人生』というアニメは、凄く幸福な感じがする。それっていうのが、出来の悪い末の娘(いくみ)を皆で優しく見守る、という何とも優しい構図が劇中で成立していたからではないかな、と。


自分が、いくみのコメディアンとしての資質の凄さ、おもしろさと同時に惹かれるのは、この部分なんです。家族的な温かみの中で、皆に愛されて、見守られているという明るくて幸せなフィーリング。だから、いくみのアホさに呆れながらも、皆で彼女を支えて、力を合わせてミスコンの応募用紙を完成させる終盤のシークエンスっていうのは、凄く大好きなシーン(であると同時に、本作の中で一番大笑いしたシーン!)で。


赤松は、非常に素直で男子高校生らしいリビドーを持った主人公で、周囲の女の娘の身体に欲情しまくっていますし、いくみもそんな赤松に惚れていることを感じさせる描写もあったりで、ちょっと"擬似家族"として見るには無理があるんじゃ……と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それも「発育の良すぎる娘に思わず"女"を感じてまってドキドキするお父さん」とか、いくみの赤松に対する好意も惚れた腫れたではなく純粋に「お父さん、大好き〜!」みたいな好意と解釈をすれば、自分の中では一切矛盾をしない。


やっぱり、『人生』の第二新聞部は"家族"っぽいと思うし、そうして作品を観てみると非常に多幸感を感じさせてくれる。そして、その中心にいるのは、やっぱりいくみちゃん。やっぱり、このアニメのキーパーソンだと思うんですよね、彼女は。