ロックミュージックもアニメ、声優、ゲームミュージックも長く追い続けた方がおもしろい!






今回のエントリでは、音楽についてアレやコレやと書いてみたい!




■"あの頃"聴いていたバンドやミュージシャンと意外な場所で再会

中学生や高校生の頃に愛聴をしていたバンド、ミュージシャンがライヴハウスや各音楽ジャンルのシーン……といった本来のテリトリーを飛び超えて、アニメや声優ソング、或いはゲーム等の音楽を手掛ける、そんな光景を目の当たりにすることが増えてきた。


例えば、coaltar of the deepersNARASAKIさんによるはなまる幼稚園さよなら絶望先生の各楽曲、或いは、SCAFULL KINGTGMXさんが竹達彩奈さんに楽曲を提供したこと、元Number Girl向井秀徳さんがスペース☆ダンディに曲を提供し、その曲を諏訪部順一さんが歌っていたこと、MOTOCOMPOのメンバーがプリキュアシリーズの主題歌を手掛けたこと……。


自分が中学、高校の頃というのは、まさにインディーズブームの真っ只中で、メロコアスカコア、ミクスチャー系のパンクバンドが次々に登場し、更に90年代のUSオルタナティヴロック、インディーロックに影響を受けたオルタナ系バンドも数多く現れ、そこからエモコアブームも巻き起こり、かと思えば、それまではアンダーグラウンドなシーンだったジャパニーズヒップホップの文化圏がDRAGON ASHの大ブレイクによって一気にオーヴァーグラウンドなものになり、その一方で、UKニューウェーヴテクノポップを雑多に吸収し独自解釈したPOLYSICSの様なバンドがインディーズシーンから飛び出し……と、正に、ロックミュージックの百花繚乱。一気に日本の音楽ジャンルが広がりを見せた年代で、そこから生まれた音楽に刺激を受け続けてきた。


それらのバンド、ミュージシャンが影響を受けた音楽を雑誌やラジオのインタビューで知ることで、オルタナグランジニューウェーヴもミクスチャーロックもブリットポップハードコアパンクもヒップホップも……ありとあらゆる"ロック"のジャンルに触れることが出来たし、今、思い返せば"あの頃"のインディーズブーム、音楽ムーブメントをリアルタイムで通過出来たことは自身の音楽嗜好において非常に有意義な体験だったなと思う。




■インディーズブームとアニソン、その関係性の"今"と"過去"

しかしながら、そうしたバンド、ミュージシャンがクリエイトする"音楽"とアニメ等の音楽には、当時、まだまだかなりの距離感、隔たりがあった様に思う。少なくとも、その両者を行き来することは、今よりももっともっと不自由だった。


2000年代の前半ぐらいまでは、日本のロックミュージックが90年代後半頃から勃興をしたインディーズブームを基板としながら豊潤な広がりを見せ、革新されていったのに対して、アニメの主題歌はまだまだJ-POPアーティストの"タイアップ"とアニソン歌手が中心であったと記憶しているし(だからこそ、鶴巻和哉監督の『フリクリ』におけるthe pillowsの起用は、大きな驚きを持ってアニメファンと音楽ファンに迎え入れられた様に思う)、劇中のBGMや声優さんの作曲は、まだまだ"アニメ作曲家"による専門的な仕事であったハズだ。


しかしながら、前述のインディーズブームで出てきたバンドやミュージシャンが、10年以上の時を経て自身の音楽スキルを磨きプレイヤーとしてだけでなく、作曲家やプロデューサー的な視点と技術を持ち得てきたこと、また、アニメの音楽自体も各音楽ジャンルを貪欲に取り入れていったことで、両者の邂逅が始まっていった様に思う。この辺の動きが一気に顕在化をしてきたのが、2000年代の終盤辺りから現在に至るまでのここ5〜6年の期間ではないだろうか。


その両者の幸福な融合というのは、自身のアニメ体験と音楽体験に数多くの感動と驚きを与えてきてくれたし、そのエモーションに関しては都度、このBLOGでも感想や情報をまとめてきた。


今、思えば90年代後半以降のインディーズブームが輩出をした音楽的才能が、アニメや声優やゲーム音楽と結び付くというのは、音楽とアニメ、その両者のヒストリーとシチュエーションを顧みてみれば、極々自然な成り行きであった様にも感じる。そこには、強烈な必然性があったというか。だから、例えば、自分が学生時代に好んで聴いていたロックミュージックのクリエイターがアニメや声優の音楽に関わったところで、それは今では最早驚くに値しないナチュラルな光景なのかもしれない。




■個人的な"驚き"としての『GUILTY GEAR』とOUTRAGEの話

とはいえ、やはり、ロックとアニメや声優ソングやゲームミュージックの"邂逅"は未だに自分にとびっきりのサプライズと多幸感を与え続けてくれるのだ。例えば、最近の体験だとGUILTY GEAR最新作のイメージソングにおけるOUTRAGEのヴォーカリスト橋本直氏の起用が挙げられる。


橋本直樹 / Big Blast Sonic>



ここまでで名前を挙げてきたインディーズブーム世代のバンドに比べると、OUTRAGEは一回り以上ジェネレーションが上のバンドだけれども、当時のメタル系のバンドがこぞってリスペクトをする対象としてOUTRAGEの名前を挙げていたもので、自分も高校生の頃から後追いながらも聴き続けている……個人的な思い入れもタップリのバンドだ。


ジャパニーズ・スラッシュメタルの源流の一つであり、HR/HMのリビングレジェンドであるOUTRAGEだけれども、そんなOUTRAGEのヴォーカリストが同じく高校生の頃にゲームセンターでドハマりをしていた『GUILTY GEAR』の主題歌を歌うことになるなんて、当時は夢にも思わなかった。


また、OUTRAGEという"ド硬派"なバンドがゲームの主題歌を歌うという特異性の輝きも凄い。『GUILTY GEAR』はヘヴィメタルから多大な影響を受けているゲームだから、そのヘヴィメタルの大御所的なOUTRAGEへのオファーも分からなくはないのだけれど、それにしたってOUTARGEはそういったカルチャーから大きく距離を空けて活動を続けてきたヘヴィメタルバンドだ(一方で、ほぼ"同期"のヘヴィメタルバンドであるANTHEMやEATHSHAKER、LOUDNESS、または後続のX-JAPANといったメタルバンドは、アニメ作品の主題歌に楽曲が提供されたり、アニソンのカヴァーアルバムを作ったり……と、アニメ作品となんらかの接点を有していた)。


<OUTRAGE / LOST>



格闘技とのコラボイベントを行ったり、他ジャンルのミュージシャンとの"異種格闘技戦"的な対バンを積極的に行ったりと、ヘヴィメタル以外のカルチャーとのクロスオーヴァーを見せてきたOUTRAGEだけれども、それが『GUILTY GEAR』というアニメ色や美少女キャラ的な色合いも強い格闘ゲームとコラボをし、そして、ライヴイベントで橋本直樹が女性声優さんと同じステージに立つ……というのは、やはり、自分の中で強い意外性と驚きと……そして、長年このバンドを追いかけてきたからこその感慨がある。


結局、音楽もアニメも(もしくは、それに限らず"カルチャー"と呼ばれるもののほとんどは)長年に渡って情熱を持って追いかけ続けた方がおもしろい。それらが、意外なところで繋がったりするからだ。


ここまでで書いてきた様に自分の場合は、インディーズブームのおかげで様々なバンドと音楽ジャンルを知ることが出来、しかも、それが後に自分の大好きなアニメや声優さんやゲームと結び付くことになった。


地球防衛企業ダイ・ガードを観て、coaltar of the deepersを聴いていた高校生の頃、その両者に繋がりは全く無かったけれど、それから約10年後にディーパーズのNARASAKIさんが『ダイ・ガード』の水島精二監督の作品のスコアや主題歌を作曲することになるなんて考えも及ばないことだったし、学校帰りに毎日ゲーセンに行って『GUILTY GEAR XX』で遊んで、帰宅したらOUTRAGEを爆音で聴いて学校生活におけるフラストレーションの憂さ晴らしをしていた当時は、橋本直樹が『GUILTY GEAR』の新作でヴォーカルを取ることになるなんて想像も出来なかった。


そういう意外性とおもしろさがあるのがアニメや声優ソングやゲームミュージック(と、自分は余り詳しくないのだけれど、アイドルソング)なのだと思うし、長く観続ければ、聴き続ければ……愛情と情熱を持って接すれば接する程、エキサインティングな体験をさせてくれるのではないかな、と思う。




■まとめに代えて、今後の"音楽"の話とか

とはいえ、たまたま自分の場合はインディーズブームの直撃世代だから、こういう体験が出来ただけで、もう次のタームはすぐそこまで迫ってきている。アニメ、声優、ゲーム……こうしたカルチャーの次世代を担うのは、Web発の才能であり、ヴォーカロイドのクリエイターやニコニコ動画発のミュージシャンということになるのだろう。現に、そうした音楽家は既に"メジャー"なフィールドで次々に楽曲を発表しているし、そこから生まれた作品も数多くある。自分がインディーズブーム世代のバンドに10年後にアニメで再会した時の様な驚きと感動を、ヴォーカロイドやニコニコ動画にハマっている中高校生ももうすぐ体験をすることになるのではないかな、と思うのだ。だから、今の若い子達に対しは、全くもって余計なお世話ではあるのだけれど……「今、聴いている音楽を真摯に、情熱を持って追い続ければ、何年か後に物凄くおもしろいことになるよ!」というアドバイスの一つくらい送ってもバチは当たらないと思う。


もうすぐ、自分みたいなおっさんは、アニメなんかの音楽に対して語ることは無くなるのではないかな、と最近感じることが多い。例えば、自分は最近のバンドのことを知らないし、ヴォーカロイドもネット上で活躍するミュージシャンの情報も知らない。いつの間にか、最新の音楽のトレンドからは遅れをとっていて、つまりはそれが歳を取るということなんだろう。


ただ、自分の過去の音楽的体験が現在進行形のシーンに完全に追いつかなくなるまでは、こうした音楽についてタップリと語っていきたいし、追いかけていきたいと思う。そこは、音楽と自分とのガチンコ勝負。幸い、"あの頃"聴いていたバンドやミュージシャンは、アニメやゲームといったフィールドで新しい感動を与えて続けてくれているし、そういう喜びがある限りは、まだまだ良いリスナーであり続けられる気がするのだ。


何だか年寄り音楽ファン、アニメファンの取り留めの無い話になってしまったけれど、最後に、インディーズブームの頃に活躍をして、未だアニメなんかのカルチャーには関わっていない……けれど、両者が結び付いた時の化学反応を自分が待ち望んで止まないバンドの映像を貼って締めに。まさに、ミクスチャーとしか言い様のない雑多な音楽性、打ち込みを多用した楽曲構成、緩急の付いたキャッチーかつハードなメロディーライン、自由自在なリズム感覚……SFロボットアニメのBGMとか担当したら大ハマリしそうな気がするんだが、どうか!?


<WRENCH / FEEL MORE>